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2019年9月18日水曜日

PEXIVAS: ANCA関連血管炎に対する血漿交換, ステロイド早期減量を評価したRCT

先日参加した勉強会にて, PEXIVASの結果が2018年に発表されていることを知りました.
論文発表は未だですので, 知りませんでした.

PEXIVAS trial:
(Trials 2013, 14:73)

重症のAAV患者を対象とした2x2 factorial design RCT.
・重症AAV:  
  腎炎合併でeGFR<50mL/min/1.73m2, 血尿・蛋白尿を認める, もしくは腎生検にてFocal necrotizing glomerulonephritis
  肺出血合併(画像所見+他に原因がない場合で, 以下の1つ以上を満たす: BAL所見, 血痰, DLCOの上昇, Hb<2g/dLの低下)
・GBM抗体陽性例, AAV以外の血管炎, 妊婦, 割り付け前21日間以上透析を行なっている患者, 腎移植, 3ヶ月以内に血漿交換を行っている患者, CYCRTX・高用量PSLを使用している患者は除外

上記患者群を血漿交換群 vs 非施行群,
PSL通常管理群 vs 早期減量群に割り付け, 予後を比較.

血漿交換は14日間で7, 3-5%Alb60mL/kg/回用いる
・出血リスクがある場合(腎生検後や肺胞出血)ではFFPを用いる.

ステロイド減量スケジュール
・早期減量群ではmPSLパルス後1mg/kgくらいで1wk
 翌週から半減
 4週間時点で25mg/d程度
 3ヶ月目には10mg/d程度,
 4ヶ月以降には5mg/dで維持

PEXIVASの結果
(https://acrabstracts.org/abstract/the-effects-of-plasma-exchange-and-reduced-dose-glucocorticoids-during-remission-induction-for-treatment-of-severe-anca-associated-vasculitis/)
N=704, 男性56%, PR3-ANCA陽性41%, MPO-ANCA陽性59%
 腎炎合併例が98%, 肺胞出血合併例が27%
免疫抑制療法はRTX15%. CYC85%

アウトカム: ESRD+全死亡
・血漿交換群で28%, 非施行群で31%, HR 0.86[0.65-1.13]
通常PSL減量群で26%, 早期減量群で28%, ARD 2.3%[-3.4~8.0]

血漿交換の有無, PSL早期減量でESRDや死亡リスクに有意差はない

・1年以内の重大な感染症リスクはPSL早期減量群で有意に低下
 通常PSL減量群 33%, 早期減量群 27%, HR 0.70[0.52-0.94]

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血漿交換はAAVの糸球体腎炎, 肺腎症候群では効果は期待できない可能性が高い.
また, 以前から言われているように, AAVでは免疫抑制薬をしっかり使って, 早期にPSLを減らす, という姿勢が重要であることが示された.

論文化されたらもう少し肉漬けします.