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2019年4月15日月曜日

成人Still病と悪性腫瘍

約1年ほど前にAOSDと診断され, PSLにて治療・フォローされていた高齢女性.
発熱, 再度フェリチン値の増加を認め, 再燃。。。と思いきや, 1年前に認めなかった縦隔LN腫大が出現, 結果的に悪性リンパ腫であった...という症例.

AOSDの診断基準に自己免疫性疾患や悪性腫瘍の除外があるものの, 完全に除外するのは困難であり, AOSD診断後に悪性腫瘍が判明することはある.
・AOSD自体が悪性腫瘍に付随して出現したものなのかAOSDが悪性腫瘍のリスクとなるのかは判断が難しい.

参考) 診断基準
Yamaguchi criteria
Sn 93.5%
Cush criteria
Sn 80.6%
Fautrel criteria
Sn 80.6%, Sp 98.5%
Major
 
関節痛 >2wk
 
間欠的な39度以上の発熱>=1wk
 
典型的な皮疹
 WBC>10000(
顆粒球>80%)
2 pt
 1
1回の発熱>39
 
一過性の典型的なRash
 WBC>12000 + ESR>40mm/hr
 RF, ANA
陰性
 
手根骨癒合
Spiking fever>39関節痛
一過性の紅斑
咽頭痛
PMN>=80%
Glycosylated ferritin=<20%
Minor
 
咽頭痛
 
リンパ節腫大and/or 脾腫
 
肝酵素異常
 ANA, RF
陰性
1pt
 
発症年齢が35歳未満
 
関節炎
 
咽頭痛の前駆症状
 
網様系の浸潤or 肝酵素異常
 
滑膜炎
 
頸部手根骨癒合
丘疹
WBC>10000/µL
除外感染悪性腫瘍リウマチ疾患Probable; 12wk観察で10pt4 major or 3 major + 2 minor
2つ以上のMajor, 5つ満たせば診断Definite; 6mo観察で10pt


AOSDに引き続き, 悪性腫瘍が判明した症例報告のReview
(Seminars in Arthritis and Rheumatism 45 (2016) 621–626)
・Yamaguchi, Fautrel, Crispin基準のいずれかを満たした36例を解析
 (Yamaguchiが34例, さらにその29例はFautrel, 21例はCrispin基準も満たす)
・年齢は50±15, 症状出現~悪性腫瘍診断までは中央値9ヶ月

悪性腫瘍の原発巣
・固形腫瘍と血液腫瘍が半々
 固形腫瘍では肺癌, 乳癌, 消化管癌が主
 血液腫瘍ではリンパ腫が大半.
・ちなみに, 腫瘍の治療によりAOSD症状が改善したのは33%であった

悪性腫瘍に関連したAOSDと特発性AOSDの比較では,
・好中球数, 肝障害, ESR, フェリチン値, 自己抗体は鑑別に有用なほど差はない
・Red flagとしては高齢者, 非典型的な皮疹, LDH上昇が高度, 末梢血の異形細胞, IL-2Rの高値が挙げられる.

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AOSDの診療で常に問題となるのが「他疾患の除外」
特にリンパ腫をはじめとした悪性腫瘍の除外は限界がある.

AOSDでは傍腫瘍症候群の可能性を常に考慮し, 一旦診断しても経過中に腫瘍が顕在化する可能性を念頭においてフォローする. 
特に高齢者症例や非典型的な皮疹, LDHやIL-2Rが高度上昇している場合は要注意