レベチラセタム(イーケプラ®)は増量も容易で, 静注製剤もあり, 使用しやすい抗てんかん薬の1つと言える.
その反面, 副作用として精神症状が多い(イライラ, うつ症状, 自殺念慮など)
抗てんかん薬による精神症状, 行動障害
・てんかんに対してAEDを新規に開始された4085例の解析.
副作用としての精神症状, 行動障害を評価.
・精神症状, 行動障害は抑うつ症状, 精神症, 不安, 自殺企図, イライラ, 攻撃性, 癇癪で定義.
・精神症状, 行動障害は17.2%, 耐えられないの症状は13.8%であり
頻度はLEVで最も多かった: 22.1%(OR6.87).
薬剤別の精神症状, 行動障害のリスク
・LEVはイライラやよくうつ症状, 不安症状のリスクが特に高い
耐えられない精神症状, 行動障害のリスク
(Epilepsy & Behavior 76 (2017) 24–31)
レベチラセタムによる感情症状の出現タイミング
・開始後2年以上に渡って出現しえる.
(Epilepsy & Behavior 4 (2003) 124–132)
レベチラセタムを使用した薬剤抵抗性のてんかん症例71名のprospective study.
・12/71(16.9%)が自殺念慮を含む副作用により薬剤を中断.
・薬剤中断のリスク因子は, 精神疾患の既往 OR 4.59[1.22-17.32]のみ.
・一方で, Levetiracetam自体で不安症状や心身症, 強迫観念が緩和する結果も得られており, その効果はてんかん-freeの有無に関連せず, QOL改善が見込める.
(J Clin Neurol 2011;7:128-136)
レベチラセタムの精神症状リスク因子
(JAMA Neurol. 2019;76(4):440-446.)
・てんかん治療において, 初めてLevetiracetamを開始された患者群を後ろ向きに解析したCohort.
・1173例を解析. 中央年齢39歳[25-56].
・精神症状は開始後2年間で14.1%で認められた.
精神症状の頻度は
抑うつ 65%
行動障害 18%,
不安 13%,
精神症・mania 2%,
自殺念慮 2%
・精神症状のリスク因子は,
女性例 OR 1.41[0.99-2.01]
高度な社会的剥奪の経験 OR 1.15[1.01-1.31]
うつ病既往 OR 2.20[1.49-3.24]
不安神経症既往 OR 1.74[1.11-2.72]
麻薬使用(快楽目的) OR 2.02[1.20-3.37]
女性, うつ病, 不安, 麻薬の4つのうち
リスク因子0では8%,
1項目では11-17%,
2項目では17-31%,
3項目では30-42%
全リスクを認める場合は49%で精神症状をきたす
リスクの組み合わせと発症率