治療のためには背景疾患の鑑別は重要.
特に悪性リンパ腫の鑑別は大事であるが, しばしば難しい.
悪性リンパ腫に関連した血球貪食症候群と, それ以外の鑑別において, sIL-2R/Ferritin比が有用な可能性がある.
日本国内からの報告:
悪性リンパ腫(11例)とそれ以外(10例)の血球貪食症候群におけるsIL-2R, フェリチンを評価
(Ann Hematol (2014) 93:821–826)
・リンパ腫以外の疾患に付随する血球貪食症候群 10例では,
sIL-2R 4176±677 U/mL, フェリチン値 20462±9330 ng/mL
sIL-2R/フェリチンは0.66±0.25
原疾患はCMV, EBV, マラリア, AOSD, 肺炎など
・リンパ腫に伴う血球貪食症候群では,
sIL-2R 13451±3611 U/mL, フェリチン値 2561±544 ng/mL
sIL-2R/フェリチンは8.56±2.79 と有意に高い.
リンパ腫は主にIVLが多い, ついでDLBCL
日本人患者のLiterature reviewにおけるsIL-2R/Ferritin比の評価
(Ann Hematol (2012) 91:63–71)
・リンパ腫関連(LAHS)と非リンパ腫関連症例の
sIL-2R(B), Ferritin(D), sIL-2R/Ferritin比(F)の分布
横線はsIL-2R 5000, Ferritin 3000, sIL-2R/Ferritin 2のライン
・sIL-2RとsIL-2R/Ferritin比で解析した分布
・カットオフはsIL-2R ≥5000 U/mL, sIL-2R/Ferritin比 ≥2
双方満たす場合は43/45(96%)がLAHS
双方満たさない場合は LAHSは3/38(7.9%) のみ
参考:このLiterature reviewの疾患
Table 1がLAHS, Table 2が非LAHS
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血球貪食症候群ではフェリチンもsIL-2Rも上昇するが, その程度がリンパ腫によるものかどうかで異なる可能性がある.
比をとることでよりリンパ腫らしさを検討することが可能かもしれない.
(とはいえ、この間診療したIVLは IL-2R 4000程度, Ferritin 2000-10000程度だったのでこれには当てはまりませんでしたが...) まあ参考まで。