小児期からのてんかん既往があり, 抗てんかん薬3剤を使用しているが, コントロールは不十分の背景あり。
朝方物音がし、確認しにゆくと呼吸停止で発見。救急隊到着時Asystoleであり、CPR開始され搬送された。最終生存確認は20分前。
ER搬送後ECMO CPRに移行し, その際肺塞栓、ACSは除外。全身CTでもSAHや脳卒中, 動脈解離, 出血は認めず, 電解質や薬剤でも原因となるものは認められず.
心停止の原因はなんだろうか?
--------------------------------
てんかん患者では一般人口と比較して突然死のリスクが高く,
明らかな原因を認めないてんかん患者の突然死をSUDEPと呼ぶ.
明らかな誘因は不明であり, そのような病態・症候群として現在リスク因子や病態の解明が行われている感じ
以下(Lancet Neurol 2016; 15: 1075–88): SUDEPのReviewのまとめ:
SUDEP: sudden unexpected death in epilepsy. てんかん発作による予測不能な突然死
・20-45歳のGeneralized tonic-clonic seizureで多く, 脳幹機能の障害による無呼吸や徐脈が原因と推測されている.
・頻度は母集団により異なり,
てんかん手術を予定している患者, 術後患者では6.3-9.3/1000pt-y
てんかんクリニックの患者では1.1-5.9/1000pt-yで, 主に難治性痙攣患者.
一般人口では0.35-2.3/1000pt-y
・てんかん患者全体では1.2/1000pt-yとの報告がある.
SUDEPの定義(主にStudyで使用される)
SUDEPの機序
・痙攣後の副交感神経が有意となることで, 心血管系や脳幹機能が抑制され, 突然死に至る
SUDEP 2例における心拍数と呼吸数の変動.
遺伝子の関与も示されている
SUDEPの頻度と年齢分布
SUDEPのリスク因子
・どの年齢でも生じるが, 多いのは20-40歳代.
・もっとも強いリスク因子は, コントロール不良なGeneralized, tonic-clonic seizure(GTCS)である.
・他は男性例(OR 1.42), 16歳未満での発症(OR 1.72), 罹患期間が15年以上(OR 1.95), GTCSの発作頻度: 1-2/yでOR 5.07, 3回/y以上でOR 15.46
・てんかん発作後の無呼吸もSUDEPのリスクとなる報告もある(Neurology® 2019;92:e1-e12.)
最近のReviewにおけるリスク因子のまとめ
(Curr Treat Options Neurol (2019) 21:7 )
SUDEPは夜間, 睡眠時に多い.
・4時~8時に生じるのが58.5%をしめる.
夜間の痙攣発作はSUDEPリスクを2.6倍に上昇させる
・非睡眠時に生じるのは31%で, 8-12時, 16-20時に多い
10.5%は発症時間が不明.
SUDEPと同様に突然死を呈するSIDS, SUDCとの比較
SIDS: sudden infant death syndrome,
SUDC: sudden unexplained death in childhood
SUDC: sudden unexplained death in childhood