(JAMA. 2018;319(23):2388-2400. )より
外傷や近しい人の死亡, 著しい環境の変化では多大な精神的なストレスが生じる.
・これらのストレスによりPTSDや急性ストレス障害となる患者もいる
・ストレスは自律神経障害や副腎-下垂体-視床下部のバランスの障害など身体への影響もあり, 免疫機能にも影響する.
・これらストレスを契機に自己免疫疾患を発症する可能性もあり, これらの関連を評価した
スウェーデンにおける国勢調査を元にしたCohort研究
・1980年時にスウェーデンに在住(スウェーデン生まれ)の国民を対象
・1981年~2013年に初めてストレス関連障害と診断を受けた患者で, 自己免疫疾患の既往がない/疑うような病歴がない患者群と, その親族, 上記要素を認めない群をフォローし, 比較.
・ストレス関連障害はさらにPTSD, 急性ストレス反応, 適応障害, その他に分類して評価.
PTSDは初期での診断が難しいため, 初診後1年以内にPTSDと判断された患者はPTSDに分類した
解析・比較は以下の2つで施行
・Population-matched cohort: ストレス障害と診断された106464例と
診断されていない対象群 1064640例を比較(1:10で生年, 性別を一致)
・Sibling cohort: ストレス障害と診断された78635例と
その親族(兄弟)である126652例を比較
・自己免疫疾患は41疾患を対象. 一般的な膠原病~インスリン依存性DM, 神経疾患(MS, 脳炎, MG, GBS), などなど
アウトカム:
・ストレス関連疾患の既往は有意な自己免疫疾患リスクとなる:HR 1.36[1.33-1.40]
・男女双方とも同等のリスク.
・年齢は若年ほどわずかだがリスクも高い.
・診断~発症まではどの年数でもある. 1年未満~10年以上
疾患別: 全体的にリスクは上昇
・内分泌疾患や炎症性疾患のリスクは上昇する印象
・血液疾患リスクはあまり差はないか
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・日本国内ですと震災後のこれら疾患の発症, 診断頻度が気になるところです.
・東日本大震災後の甲状腺疾患云々・・・というのはこういった要素もあるのでは、とも思ってしまいます.