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2018年5月24日木曜日

重症ARDSに対するECMOのRCT

EOLIA trial; 重症ARDS患者を対象としたRCT.
(N Engl J Med 2018;378:1965-75.)
・ARDS
 P/F <50>3時間持続
 P/F <80>6時間持続
 呼吸器設定でPplat≤32cmH2Oを維持するような呼吸器設定(FiO2≥0.8, VT 6mL/kg, PEEP 10cmH2Oの設定)で呼吸回数が35回まで増加し, 且つ動脈血液ガスpH<7.25CO2 ≥60mmHg>6時間持続数する患者群を対象.
主治医は腹臥位呼吸や神経筋ブロックの併用を推奨され他の追加治療としてNO吸入, Recruitment, High-frequency oscillatory ventilation, almitine infusionの使用は許可されている.
除外項目: <18, 7日間を超える呼吸器管理, 妊婦, 体重kg>身長cm, BMI>45, 慢性呼吸器疾患で酸素投与やNIV導入されている患者VA-ECMOが必要な心不全合併, HIT既往, 悪性腫瘍で予後5年以内, SAPS-II>90, 薬剤以外の昏睡, 心停止, 不可逆性神経障害, DNARなど

上記患者をすぐにVV-ECMO導入群 vs 通常治療群に割付け, 予後を比較

母集団

アウトカム: 60日死亡リスクは両者で有意差なし
 control群の28%ECMOへ移行(6.5±9.7)

合併症の頻度: 血小板減少や出血リスクはECMOで多い

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重症ARDSにおいて, 初期からECMOを導入することは予後改善効果は認めず, 出血副作用や血小板減少を増悪させる可能性がある.
他の管理を行い, その後にECMOの適応を考慮するのでもよいかもしれない,

ただし予後改善傾向はあり(p=0.09), 今後の追加報告によってはどうなるか