(Lancet Infect Dis 2017; 17: 1255–65)
18歳以上の男性, 非妊婦のインフルエンザ症例で, 且つ合併症リスクを上昇させる基礎疾患を有する患者を対象としたDB-RCT.
・インフルエンザはH1N1, H3N2, Bの迅速抗体, PCRで診断.
・また, 患者は症状出現から96時間以内の患者を対象とした
・合併症リスクは65歳以上, 慢性疾患既往, BMI≥40
・貧血, 白血球減少, 好中球減少, PLT減少, ヘモグロビン症, CCr <50-60, 自己免疫性肝炎既往, 非代償性の重症肝疾患, 2種類以上の抗インフルエンザ薬を使用していた患者は除外.
上記を満たす患者を
Oseltamivir 75mg + Ribavirin 200mg + Amantadine 100mgを1日2回内服群
vs Oseltamivir + Placebo群に割付け, 比較した
母集団
アウトカム:
併用療法では有意にウイルス量は低下
・3日目での検出率は併用で29%m, 単剤群で40%
・7日目では有意差なし
症状の持続期間は有意差なし
----------------------------
・抗ウイルス薬を併用することで有意にウイルス量を減らすことができる
が
・薬剤によるウイルス量の低下は臨床アウトカムには関連しない
特に専門は絞っていない内科医のブログ *医学情報のブログです. 個別の相談には応じられません. 現在コメントの返事がうまくかけませんのでコメントを閉じています. コメントがあればFBページでお願いします
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2017年11月25日土曜日
造影剤腎症予防にBicarbonate, NACは生食負荷に勝るものではない
(Outcomes after Angiography with Sodium Bicarbonate and Acetylcysteine. NEJM)
PRESERVE trial: CIN予防目的のBicarbonate, NAC, NSを比較した2x2 factorial design RCT.
・血管造影を予定されている, CIN高リスクの5177例を対象.
・患者は冠動脈, 非冠動脈の血管造影を予定されている患者で,
・eGFR 15-44.9ml/min/1.73m2を満たす群
・DMを有する患者でeGFR 45-59.9を満たす群を対象
・上記患者群を.
Bicarbonate 1.26%(150mmol/L) vs NS(154mmol/L) と,
NAC経口投与 vs Placebo群に割付け比較
・Bicarbonate, NSは1-3mL/kg/hを造影の1-12時間前より投与
造影中は1-1.5ml/kg/h, 造影後2-12時間は1-3ml/kg/hで継続.
・NACは1200mgを造影前1時間, 造影1時間後に2回投与し, 以後は1200mg bidを4日間継続
・アウトカムは死亡リスク, Cr値, CINリスク.
母集団データ
アウトカム
・CINも90日死亡リスク, 入院リスクすべて有意差なし
------------------------------
・造影剤腎症予防のNの大きい大規模Study
・BicarbonateはNSに勝るものではないし, NACの大量投与も予防効果はなし
・ゴチャゴチャやるのではなく, しっかり補液さえしておけばよいということ.
PRESERVE trial: CIN予防目的のBicarbonate, NAC, NSを比較した2x2 factorial design RCT.
・血管造影を予定されている, CIN高リスクの5177例を対象.
・患者は冠動脈, 非冠動脈の血管造影を予定されている患者で,
・eGFR 15-44.9ml/min/1.73m2を満たす群
・DMを有する患者でeGFR 45-59.9を満たす群を対象
・上記患者群を.
Bicarbonate 1.26%(150mmol/L) vs NS(154mmol/L) と,
NAC経口投与 vs Placebo群に割付け比較
・Bicarbonate, NSは1-3mL/kg/hを造影の1-12時間前より投与
造影中は1-1.5ml/kg/h, 造影後2-12時間は1-3ml/kg/hで継続.
・NACは1200mgを造影前1時間, 造影1時間後に2回投与し, 以後は1200mg bidを4日間継続
・アウトカムは死亡リスク, Cr値, CINリスク.
母集団データ
アウトカム
・CINも90日死亡リスク, 入院リスクすべて有意差なし
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・造影剤腎症予防のNの大きい大規模Study
・BicarbonateはNSに勝るものではないし, NACの大量投与も予防効果はなし
・ゴチャゴチャやるのではなく, しっかり補液さえしておけばよいということ.
2017年11月24日金曜日
著明な1度房室ブロック "Marked first degree AVB"
1度AVBはPR間隔が0.2秒(大きいマス1つ分)以上で定義される
特にPR間隔が0.3秒以上となるものを”Marked ABV”と呼ぶ
・論文報告では稀ながら0.48秒や0.56秒に及ぶものもある.
・通常1度AVBは無症候で治療の必要もないが, Marked 1度AVBでは心房の収縮と心室の収縮がうまく連動しないため, ”ペースメーカー症候群” 様の症状を呈することがある
→ 偽性ペースメーカー症候群と呼ぶ.
左心機能が正常でも生じる
・ペースメーカー症候群とはVVIのペースメーカーを留置することで, 心房と心室の収縮に乖離が生じ, 心室→心房への逆流や, 心房→心室への血流低下を生じ, その結果心拍出量が低下. 呼吸苦や動悸, めまい, 倦怠感などを呈する.
*VVI: 心室刺激, 心室センス, 抑制モード
(Arch Cardiovasc Dis. 2013 Dec;106(12):690-3.)(BMC Research Notes 2014, 7:781 )
また, Marked 1度AVBでは心電図をフォローすると, Wenckebach型AVB, Mobitz II型AVB, III度AVBを移行したり, 1度AVBに戻ったり, ダイナミックに変化する例もある
(BMC Research Notes 2014, 7:781 )
Marked 1度AVB患者は安静時には無症候のことが多い.
・軽度~中等度の運動でPR間隔が短縮しない場合, P波(心房の収縮)が先行するQRS波(心室の収縮)に近づき, 偽性PM症候群となる.
・また, 著明なPR間隔延長が運動時にのみ出現することもある.
・したがってこのような患者ではトレッドミル負荷検査を考慮
心電図変化や症状の評価を行うべき.
(J Interv Card Electrophysiol (2006) 17:139–152 )
Marked 1度AVBで, 症状がある場合や心不全兆候を伴う場合はペースメーカー留置の適応となる(Class IIa)
・症例報告レベルであるが, このような患者においてPM留置することで症状の改善, 血流動態の改善が得られた報告が多い.
・無症候性の場合は経過観察.
(J Interv Card Electrophysiol (2006) 17:139–152 )
--------------------------------
・良性と言われる1度AVBでも症状を呈し, PM適応となるものもある.
・通常1度AVBではPR間隔は0.2をやや超える程度であるが, 1マス半(0.3秒)を超える場合は何かおかしいと思った方が良いかもしれない.
特にPR間隔が0.3秒以上となるものを”Marked ABV”と呼ぶ
・論文報告では稀ながら0.48秒や0.56秒に及ぶものもある.
・通常1度AVBは無症候で治療の必要もないが, Marked 1度AVBでは心房の収縮と心室の収縮がうまく連動しないため, ”ペースメーカー症候群” 様の症状を呈することがある
→ 偽性ペースメーカー症候群と呼ぶ.
左心機能が正常でも生じる
・ペースメーカー症候群とはVVIのペースメーカーを留置することで, 心房と心室の収縮に乖離が生じ, 心室→心房への逆流や, 心房→心室への血流低下を生じ, その結果心拍出量が低下. 呼吸苦や動悸, めまい, 倦怠感などを呈する.
*VVI: 心室刺激, 心室センス, 抑制モード
(Arch Cardiovasc Dis. 2013 Dec;106(12):690-3.)(BMC Research Notes 2014, 7:781 )
また, Marked 1度AVBでは心電図をフォローすると, Wenckebach型AVB, Mobitz II型AVB, III度AVBを移行したり, 1度AVBに戻ったり, ダイナミックに変化する例もある
(BMC Research Notes 2014, 7:781 )
Marked 1度AVB患者は安静時には無症候のことが多い.
・軽度~中等度の運動でPR間隔が短縮しない場合, P波(心房の収縮)が先行するQRS波(心室の収縮)に近づき, 偽性PM症候群となる.
・また, 著明なPR間隔延長が運動時にのみ出現することもある.
・したがってこのような患者ではトレッドミル負荷検査を考慮
心電図変化や症状の評価を行うべき.
(J Interv Card Electrophysiol (2006) 17:139–152 )
Marked 1度AVBで, 症状がある場合や心不全兆候を伴う場合はペースメーカー留置の適応となる(Class IIa)
・症例報告レベルであるが, このような患者においてPM留置することで症状の改善, 血流動態の改善が得られた報告が多い.
・無症候性の場合は経過観察.
(J Interv Card Electrophysiol (2006) 17:139–152 )
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・良性と言われる1度AVBでも症状を呈し, PM適応となるものもある.
・通常1度AVBではPR間隔は0.2をやや超える程度であるが, 1マス半(0.3秒)を超える場合は何かおかしいと思った方が良いかもしれない.
2017年11月21日火曜日
マイコプラズマ肺炎における抗菌薬変更のリスク
(Clinical Infectious Diseases® 2017;65(11):1837–42)
マイコプラズマ肺炎の治療はマクロライド, キノロン, テトラサイクリンがあるが, 近年マクロライド耐性が増加しており, 日本国内では80%が耐性と言われている.
・マクロライドを使用し, 48時間で解熱しない場合は耐性と考える.
国内のJapanese Diagnosis Procedure Combination national databaseより, 2010-2013年に診断(検査にて証明), 入院加療されたマイコプラズマ肺炎1650例を解析.
・患者は18歳以上で, ペア血清, PCR, 抗体検査で診断.
・2日以内に退院, 2日以内に複数抗菌薬を使用した症例, 2日以内に抗菌薬を使用しなかった例, 抗菌薬使用期間が<3日の症例は除外
開始薬剤はマクロライド 508例, キノロン 569例, テトラサイクリン 573例であった
・抗菌薬を変更したのはマクロライド群52.8%
・キノロン群で21.8%, テトラサイクリンで38.6%.
・マクロライド群でキノロンへ変更することが多い
・入院期間や30日死亡リスクは有意差なし.
・Total costはキノロン群で高い. テトラサイクリンで安い
抗菌薬変更のOR
キノロン群とテトラサイクリン群よりPropensity-score matched analysisで抽出した487例を比較
・テトラサイクリンでは他薬剤への変更するリスクが高いが,
・入院期間や死亡リスクは有意差なし.
・費用は有意差ない結果
--------------------------------
マクロライド耐性は多いものの, マクロライドで効果乏しく治療を変更せねばならない症例は約半数程度.
キノロンで2割, テトラサイクリンで約4割程度ということを考慮すると, In vitroでは耐性だけどもIn vivoでは効果があるか, もしくは治療せずとも自然に改善する症例が多いのか.
どの薬剤で治療を始めても, しっかりとフォローし, 必要に応じて変更すれば予後には影響しない可能性が高い.
まあ、重症ではなければマクロライド開始でもよいでしょうし, いきなりキノロンにする必要もないでしょうか.
マイコプラズマ肺炎の治療はマクロライド, キノロン, テトラサイクリンがあるが, 近年マクロライド耐性が増加しており, 日本国内では80%が耐性と言われている.
・マクロライドを使用し, 48時間で解熱しない場合は耐性と考える.
国内のJapanese Diagnosis Procedure Combination national databaseより, 2010-2013年に診断(検査にて証明), 入院加療されたマイコプラズマ肺炎1650例を解析.
・患者は18歳以上で, ペア血清, PCR, 抗体検査で診断.
・2日以内に退院, 2日以内に複数抗菌薬を使用した症例, 2日以内に抗菌薬を使用しなかった例, 抗菌薬使用期間が<3日の症例は除外
開始薬剤はマクロライド 508例, キノロン 569例, テトラサイクリン 573例であった
・抗菌薬を変更したのはマクロライド群52.8%
・キノロン群で21.8%, テトラサイクリンで38.6%.
・マクロライド群でキノロンへ変更することが多い
・入院期間や30日死亡リスクは有意差なし.
・Total costはキノロン群で高い. テトラサイクリンで安い
抗菌薬変更のOR
キノロン群とテトラサイクリン群よりPropensity-score matched analysisで抽出した487例を比較
・テトラサイクリンでは他薬剤への変更するリスクが高いが,
・入院期間や死亡リスクは有意差なし.
・費用は有意差ない結果
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マクロライド耐性は多いものの, マクロライドで効果乏しく治療を変更せねばならない症例は約半数程度.
キノロンで2割, テトラサイクリンで約4割程度ということを考慮すると, In vitroでは耐性だけどもIn vivoでは効果があるか, もしくは治療せずとも自然に改善する症例が多いのか.
どの薬剤で治療を始めても, しっかりとフォローし, 必要に応じて変更すれば予後には影響しない可能性が高い.
まあ、重症ではなければマクロライド開始でもよいでしょうし, いきなりキノロンにする必要もないでしょうか.
2017年11月17日金曜日
片頭痛に対するノバミン
片頭痛の頭痛治療に制吐剤が有用.
以前ブログでもプリンペランの効果は良いと書いた
以前ブログでもプリンペランの効果は良いと書いた
片頭痛にプリンペラン
2017年のNEJMのレビューでも制吐剤というカテゴリーがある
(下から3行目)
(N Engl J Med 2017;377:553-61.)
片頭痛患者におけるProchlorperazine(ノバミン®)とオピオイドであるHydromorphoneの効果を比較したDB-RCT
(Neurology® 2017;89:2075–2082)
ニューヨークの2箇所のERにおいて, 片頭痛で受診した127例を対象
・患者は21歳以上でICHD3βの片頭痛の基準を満たす中等度~重度の頭痛でERを受診した群
・他の疾患が疑われる場合, 発熱(+), 頭部画像評価が必要と考えられた症例などは除外.
また1ヶ月以内にオピオイドを使用した症例, 薬剤アレルギーも除外
Hydromorphone 1mg vs Prochlorperazine 10mg + Diphenhydramine 25mg投与群に割付け, 頭痛の改善を比較. 薬剤は5分かけてIV投与.
・1時間後に効果不十分の場合は再投与(Diphenhydramineを除く)
・Diphenhydramineはアカシジア予防目的に使用.
・頭痛の改善は2h以内に頭痛が軽度~消失し, その後48時間レスキュー治療が不要であることで定義.
頭痛の強度はPain scale 0-3点で評価. 中等度は2, 重度が3点.
母集団
アウトカム
・薬剤を1回のみ投与し, その後48時間頭痛が消失~軽度となった症例は, Prochlorperazine群で60%, Hydromorphone群で31%
AD 28%[12-45], NNT 4[2-9]と有意にProchlorperazine群で良好.
また, 1-2回投与後の頭痛改善は60% vs 41%, AD 19%[2-36], NNT 6[3-52]とProchlorperazine群で良好となる
・Prochlorperazine群では2回目の投与が必要となることが少ない.
・48時間後の評価では, 機能障害, 薬剤再投与, Restlessness, Drowsyのリスクは両者で変わらない.