PTUによる膠原病ではANCA関連血管炎と薬剤性ループスとなる
PTUによる膠原病11例中, 7例が血管炎で4例がLupusであった.
(Rheumatol Int (2012) 32:679–681)
・血管炎はANCA陽性で, 血管炎所見ある場合に診断し, LupusはANA陽性で, 1つ以上のSLEの特徴を有し, 血管炎所見(-)で定義
ANCAは全例で陽性.
・薬剤開始~発症までは15m~134mと様々.
・超期間経過後に発症する可能性もある.
・血管炎はLupusよりPTU長期内服例で多い(74.7±29.3m vs 32.3±24.9m)
PTUによる血管炎, 薬剤性Lupusの解析(Literature review)
(Semin Arthritis Rheum. 2006 Aug;36(1):4-9.)
・1966-2004年に血管炎 30例, 薬剤性Lupus 12例が報告.
・血管炎症例の方がLupusよりもより高齢であり, PTUの内服期間も長い傾向がある.
臨床所見とLabの比較;
・Lupusではより筋骨格系症状が多く, 血管炎では腎障害, 肺障害が多い
・PTU-lupusではANA陽性が90%, ANCAは血管炎もLupusも同程度陽性.
c-ANCAはLupusでの陽性例は無かった.
ANCA関連血管炎 vs PTUによる薬剤性血管炎の比較
ANCA関連血管炎(WG 29, MPN 23, CSS 4例)と, PTU/MethimazolによるANCA関連血管炎 16例を比較.
(Arthritis Research & Therapy 2005, 7:191-192)(Arthritis Research & Therapy 2005, 7:R1072-R1081)
臨床症状の比較
・皮膚所見は薬剤性血管炎でより多く(63% vs 25%: 非薬剤性)腎炎所見は薬剤性の方が少ない(19% vs 75%: 非薬剤性)
肺病変や神経障害も薬剤性では少ない.
・薬剤性の16例中, 4例は血管炎症状で発症したが, 残りの12例はLupus-like syndromeで発症.
血液検査所見の比較
・薬剤性では大半がMPO-ANCA, ANA, 抗ヒストン抗体, 抗カルジオリピン抗体が陽性で, C4が低値である一方, 非薬剤性のANCA関連血管炎はそれらの陽性率は低い.