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2020年12月1日火曜日

短期的ステロイド投与も合併症リスクは上昇する(2020/12/1 UpDate)

医療保険のデータ(Nationwide dataset of private insurance claims)より, 18-64歳の患者1548945例を後ろ向きに解析し, 短期的ステロイド使用による合併症リスクを評価.
(BMJ 2017;357:j1415)
・このうち, 327452(21.1%)が外来にて短期間のステロイドを使用
・短期間は30日以内の処方で定義される.
患者群は1年前よりデータがあり, 基礎疾患や過去1年以内のステロイド使用歴がないことが確認されている

・短期的ステロイド投与された患者の平均年齢は45.5±11.6.
・投与期間は平均6日間(6-12), 7日以上使用したのは47.4%
・投与量はPSL換算で20mg/d(17.5-36.8), ≥40mg/d使用したのは23.4%
短期的ステロイド投与の主な理由は上気道感染症, 脊椎疾患, 椎間板疾患, アレルギー気管支炎, 下気道感染症.

母集団データ

アウトカム: 30日以内, 31-90日の合併症頻度
・敗血症, 深部静脈血栓症, 骨折リスクを評価
どの投与量でも敗血症, VTE, 骨折リスクは上昇する.
・PSL<20mg/dでも上昇しさらにリスク上昇効果は31-90日も認められる結果.

投与原因別の評価
・投与理由に関わらず, リスクは上昇する.

(2020/12/1 UpDate)
台湾のNational Health Insurance programのデータにおいて20-64歳で短期的なステロイド投与(14日以内)を受けた患者のその後5-30, 31-90日における副作用リスクを評価
(Ann Intern Med. 2020;173:325-330. doi:10.7326/M20-0432)
・対象は15859129, このうち2623327例で短期的ステロイドを使用
・使用理由は主に皮膚疾患や呼吸器感染症
・投与前5-90日と比較して, 投与後のイベントリスクを比較した

副作用リスク
短期的ステロイドの使用は, その後の
 GI出血 IRR 1.80[1.75-1.84]
 敗血症 IRR 1.99[1.70-2.32]
 心不全 IRR 2.37[2.13-2.63] のリスクを有意に上昇.
 特に投与後30日以内でリスクが高い

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ステロイドを使用する理由があるので, その後の各病態リスクが上昇する, という交絡因子の可能性もありますが, 短期的な使用でもGI出血や心不全の増悪のリスク, 軽度の敗血症リスクは上昇する可能性は考えておきましょう.