ページ

2014年11月17日月曜日

心房細動と心不全

心房細動と心不全
心房細動のリスク因子はこちら
心房細動と脳梗塞リスクについてはこちらを参照
心房細動 治療: Rate vs Rhythmコントロールはこちら
心房細動 治療: Rateコントロールについてはこちら
心房細動 治療: Rhythmコントロールいついてはこちら

Afは心不全のリスクであり, 心不全はAfのリスク.
 心不全ではAf発症Riskは5-6倍
 又, 心不全増悪, 重症度をAf有病率は相関する.
 Class Iでは4%, Class II-IIIでは10-27%, Class IVでは50%がAf(+)

心不全では, 交感神経, R-A-A系の亢進 → Afに関連.
 Remodeling, 弁膜症もAfと関与.
 Diastolic dysfunctionの方がAfとの関連が強い

心房性頻脈は重度の両心室収縮不全を来たす
 Tachycardia-induced cardiomyopathy
 Complianceの低下, Filling timeの短縮化が原因. 通常可逆性.

 高齢者では心拍出量の25%-50%をAtrial kickが関与しており, AfではAtrial kickがなくなるため, 急激に心拍出量の低下を生じることがある.

Afから心不全を発症するリスク因子
日本国内の単一施設でのProspective cohort Am J Cardiol 2012;110:678–682
 1942名のAf患者をフォローし, 147名(7.6%)が心不全を発症 (776±623日フォロー)
 HFを発症するリスクファクターを評価.
このリスク因子からH2ARDD scoreを作成

pt
Heart disease
2
Anemia
1
Renal dysfunction
1
DM
1
Diuretic use
1
ScoreとHF発症率

ただし, ValidationがされていないStudyであることに注意.

心不全を合併したAfでの治療
Rhythm control vs Rate Control (NEJM 2008;358:2667-77)
AF-CHF trial; Af + HF患者に対するRhythm, Rate治療の効果. (Randomized, non blinded, N= 1376, ITT, 37±19Mフォロー)
 Rhythm control; 抗不整脈薬, 電気的除細動(6wk, 12wk), 維持療法として, アミオダロン
 Rate control; β blocker + digitalis ⇒ 安静時 <80bpm
 Heart Failureの治療; ACE, ARB, β blockerを両群で使用
アウトカム
 心血管イベントによる死亡 HR 1.05[0.85-1.29]
 全死亡 HR 0.97[0.80-1.17]
 Stroke risk HR 0.74[0.40-1.35]
 HF増悪 HR 0.87[0.72-1.06]
 Rhythmコントロール群の方が全入院数が多い(64% vs 59%)
Afによる入院(14% vs 9%)
徐脈による入院(6% vs 3%) が有意に多い

心不全を合併したAfでのRateコントロール Am J Med 2010;123:198-204
 β阻害薬が1st-line; Carvedilolなど, 心臓選択性β阻害薬が心不全の進行予防, Rate Controlに有効.
 DigoxinもHF治療, Rate controlに有効であるが, 双方に対して1st-lineとなることは無し.(心不全に対しては症状緩和効果のみ証明されている)
 β阻害薬に耐えられない患者に関してはDigoxinの適応と考える.
 もしくは併用療法が効果的.
 HFを伴うAfでは抗凝固療法の適応にもなる.

心不全を合併したAfでのRhythmコントロール
 1st-lineはAmiodarone, Dronedarone.
 Catheter-based ablationも効果的. 78%が1yr後もSinus Rhythm.
 Rate Controlと比較して, 死亡リスクは同等であり, 再度Afとなることも多いが, 抗不整脈薬の副作用が少なければ, これも選択肢の一つとなり得る.

Afに対するRate, Rhythm controlを比較したStudyでは基本的に両者にOutcomeの有意差は認めない.
 しかし, Sub-analysisではHF合併例ではRhythm Controlがより死亡率の低下に繋がるとの結果
 AF-CHF trialではAf+CHF群で治療により有意差は無い 
 → これはβ阻害薬+Digoxinでしっかりと治療しており, 心不全に対する治療も抜かりないためとされている.
Af + CHFでは, Rate治療をするならばしっかりとβ阻害薬を使用することを忘れない!