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2014年4月18日金曜日

Periodic Fever Syndrome: その他

Periodic Fever Syndrome 周期性発熱症候群
(Allergy 2007;62:1349-58)
Syndrome
遺伝子
初発年齢
周期性発熱
/
発熱期間
炎症反応
発熱期/寛解期
皮疹
他の症状
治療
PFAPA
不明
0-14yr
あり/4-5d
高値/正常
, 様々
咽頭炎,アフタ潰瘍
頸部リンパ節腫脹
ステロイド
Cimetidine
扁桃切除
HIDS
MVK/ 常・劣
0.5-3yr
時々/4-6d
高値/正常
丘疹
腹痛, 関節痛
頸部リンパ節腫脹
コルヒチン
IVIG,
免疫抑制
Cyclic
Neutropenia
孤発性, ELA-2/
常・優
0-5yr
あり/3-5d
高値/正常
蜂窩織炎
口腔内潰瘍, 歯肉炎,
歯周炎, 細菌感染
G-CSF
FMF
MEFV/ 常・劣
1-20yr
無し/1-3d
高値/中等度
丹毒性
紅斑
腹痛, 関節痛, 胸膜炎,
アミロイドーシス
コルヒチン
TRAPS
TNFr1A/ 常・優
0-53yr
無し/d-wk
高値/高値
移動性
紅斑
筋肉痛, 眼周囲浮腫,
結膜炎, 腹痛, 関節炎
胸膜炎,
アミロイドーシス
ステロイド
Etanercept
FCAS
CIAS1/ 常・優
Any
寒冷誘発
/12
hr
高値/正常
蕁麻疹
関節炎, 結膜炎
寒冷予防
抗炎症
MWS
CIAS1/ 常・優
乳児期
無し/様々
高値/正常
蕁麻疹
関節炎, 筋肉痛, 腹痛
アフタ潰瘍, 難聴,
アミロイドーシス
抗炎症
Anakinra
MOMID/
CINCA
CIAS1/ 常・優
新生児期
無し/持続
高値/高値
蕁麻疹
慢性髄膜炎, CNS障害
難聴, 失明, Eo増多
変形性関節症, 凝固障害
Anakinra

PFAPA; Periodic fever with aphthous stomatitis, pharyngitis, and cervical adenopathy, HIDS; Hyper-IgD syndrome
FMF; Familial Mediterranean fever, TRAPS; Tumor necrosis factor receptor-associated periodic syndrome,
FCAS; Familial cold autoinflammatory syndrome, MWS Muckel-Wells syndrome,
NOMID/CINCA; neonatal-onset multisystem inflammatory disease/chronic infantile neutologic cutaneous and articular syndrome

周期的な発熱を繰り返す, 主に小児に生じる疾患.
遺伝子異常による炎症性サイトカインの増加が原因の1つ.
PFAPA, FMF, TRAPSは成人例での発症もあり.

周期性発熱のアプローチ



History
発熱のパターン
Regular cycle?, 発熱期間, Interval

随伴症状
皮疹, 関節痛, 浮腫, 痛み, 成長障害

家族歴, 人種
同様のエピソードの有無
身体所見
寛解期間は正常か?

発熱期間の身体所見
皮疹, 口腔内潰瘍, 咽頭炎, 頸部リンパ節腫脹, 肝脾腫
検査所見
CBC, ESR, CRP
発熱期, 寛解期での変化

IgG, IgM, IgA, IgD
IgDが上昇していれば, 尿中Mevalonic acidCheck, MVK geneCheck

C3, C4, CH50
低値ならば自己免疫性疾患を精査
ステロイドtrial
PFAPAが疑わしい場合, 2mg/kg Prednisoneの経口投与をTry

数時間で解熱 PFAPAが疑わしい

解熱なし 他の疾患を考慮

経口ステロイドTrialに反応しなかった患者に対する追加検査
A
Regular fever cycles, アフタ潰瘍 or 歯肉炎, 下痢, 細菌感染 CBCを週1Check Cyclic neutropeniaを評価
B
Regular fever cycles, 口腔内病変(-), 丘疹, 関節痛, 脾腫, 腹部症状 MVK遺伝子をCheck HIDSCheck
C
Irregular fever cycles, 1-3dの発熱, 腹痛, 丹毒性紅斑, 関節痛 MEFV遺伝子をCheck FMFCheck
D
Irregular fever cycles, 発熱長期間, 筋肉痛, 移動性紅斑, 眼周囲浮腫, 持続的な炎症反応亢進
 ⇒ TNFr1A遺伝子検査 TRAPSCheck
E
冷感に起因する発熱エピソード CIAS1Check FCASCheck
F
Irregular fevers, 蕁麻疹, 関節炎, 腹痛, 乳児期の発症, 難聴 CIAS1Check MWSCheck
G
持続性の発熱, 蕁麻疹. 乳児期の発症, 持続性の炎症反応亢進, 神経障害 CIAS1Check NOMID/CINCA
H
腹部疝痛, 下痢, 成長障害, 関節痛, 肛門周囲病変 内視鏡検査でCrohn病をCheck
I
発熱時の一過性の丘疹, 関節痛, 筋肉痛, 心膜炎, 心筋炎, 胸膜炎, リンパ節腫大, 肝脾腫, 虹彩炎
 ⇒ Juvenile idiopathic arthritisを考慮.

発熱パターンからの鑑別 (N Engl J Med 2001;345:1748-1757)
FMFは頻回の発作で, 各発作あたり3日以内の発熱が典型的.
Hyper-IgD syndromeは1週間前後続く発熱となる.
TRAPSは年に1-2回と少ないが, 1回あたりの発熱が長期間となるのが特徴的

PFAPA: Periodic fever with aphthous stomatitis
突然発症の発熱(38.5-41度)が4-5d持続. 3-5wk周期で繰り返す
 小児期の発症が多く, 平均発症年齢は2.8yr[6wk-14yr]
 発熱期には炎症反応が上昇するが, それ以外は正常.
 咽頭炎, 頭頸部リンパ節腫脹の合併頻度が高い
 抗生剤には反応せず, ステロイドが著効する
PFAPAに随伴する症状頻度
症状
頻度
症状
頻度
咽頭炎
78%
嘔気・嘔吐
21%
頸部リンパ節腫脹
69%
下痢
8%
アフタ性潰瘍
51%
皮疹
6%
腹痛
35%
関節痛
4%
Hyper-IgD Syndrome
Mevalonate kinase(MVK)遺伝子 @12q24の異常による, 小児期に生じる周期性の発熱疾患
 西欧の白人に多い傾向があり, 報告例の60%がフランス, オーストリア.
 PAFPAと重なる部分が多く, 発症初期は鑑別できないことも多いが, 経過を追うと徐々に異なる病態となる.
 発熱は4-6d持続し, 3-6wk周期で繰り返す. Intervalはバラバラであることが多い.
 外傷やストレス, ワクチンがTriggerとなって, 発熱をきたすこともある

随伴症状
 頸部リンパ節腫脹が最も多い. 関節痛は80%で認める.
 PAFPAと異なり, 咽頭炎やアフタ性潰瘍は認めない
 腹痛も認められ, しばしば虫垂炎と誤診されることも.
 下痢(水様, 血性)が82%, 嘔吐 56%, 丘疹 82%

IgDは>100U/mLとなるが, 発症早期では正常のこともある
 発症後2-3.5yrでIgD上昇し, 異常値となることもある
 発熱期では炎症反応高値となるが, 寛解期では正常.
 FMFと異なり, アミロイドーシスを来たすことは稀.

Hyper-IgD syndrome 50例の解析 (Medicine 1994;73:133-44)
男性28名, 女性22名. 家族歴でHyper IgD syndrome(+)は20名.
 初発年齢は平均0.5yrだが, 生後1wk〜53yrまで幅広い.
 68%が1歳以下で発症している.
 発熱発作は3-7日間持続することが多い. これも患者によりバラツキが大きい.
 発熱発作の回数も2週間毎〜年2回と様々.
 最も多いのは1-2ヶ月に1回の頻度. 無熱期間は一定ではない.
 発熱はSpike Feverであり, 直腸温で38.5-41.2度と高熱になる.
 76%で40度以上となる. 発作中は高熱が持続し, 徐々に平熱に解熱する.
発熱以外の症状;
下痢
41/50
腹痛
36/50
リンパ節腫大
47/50
脾腫
24/50
関節痛
40/50
嘔吐
28/50
皮膚所見
41/50
Serositis
350
悪寒
38/50
頭痛
26/50
関節炎
34/50



腹部消化管症状が最も多い症状となる
 急性腹症様の症状を示し, しばしば虫垂切除される例もある.
 腹膜リンパ節腫脹を認める例, イレウスを合併する例も報告されている.

関節症状, 皮膚所見一覧
膝関節
71%
Erythematous macules
63%
足関節
65%
Erythematous papules
41%
手関節
41%
Urticaria
24%
肘関節
32%
Erythematous nodules
22%
MCP
24%
Morbilliformic rash
19%
PIP
15%
Non-defined exanthema
19%
MTP
12%
Annular erythema
15%
DIP
9%
Purpura
12%
肩関節
6%
Petechia
10%
股関節
6%


CVC
3%


CVC: cervico vertebral column
 多発関節痛, 関節炎を呈する. 左右対称性に生じることが多い.
 長期的な間欠性の発熱を来すが, アミロイドーシスを併発した例は無し.

検査所見
 ESRの平均値は90mm/h[20-150]と発熱期間は上昇する.
 WBCも18700[4600-42000]と高値となる.
 IgDの上昇は診断に必須だが, 発症早期は上昇しないこともある.
 50名ではIgDは0-5300U/mLまで様々.
 IgD値と発熱頻度, 重症度の相関性は無し.

Cyclic Neutropenia
<5yrの小児に発症する稀な遺伝子疾患
 Elastase遺伝子(ELA2) @19p13.3の異常
 周期的な骨髄Myelocyteの成熟障害により, 一過性にNeu <200/mcLとなる.
 発熱は21日周期で3-5日間持続することが多い.
 好中球減少エピソード後に発熱を認めるパターン.
 歯肉炎, 頸部リンパ節腫脹, 口腔内潰瘍, 細菌感染症の合併が多い

TRAPS: TNF receptor-associated periodic syndrome
(N Engl J Med 2001;345:1748-1757)
TRAPSは2wk-53yrまで様々な年齢で発症する周期性発熱
 別名Hibernian fever. 常染色体優性遺伝
 日本国内では30例程度の報告例のみだが, 60台発症もあり得る.
 TNFRSF1A @12pの異常により, 可溶性TNF-Rが減少し, TNF活性が上昇する.
 ただし, 上記遺伝子異常は一般人口の1%で認められるため, それ以外の要素も関連している可能性が高い.
 発熱, 寛解期は不定で発熱はd-wk(平均21d), 寛解期はwk-yrの単位.
 局所的な筋痛が遊走する経過が特徴的で80%で認められる.
 腹痛と消化器症状も多い症状.
 他には限局性の胸膜炎が半数. 眼瞼周囲の浮腫, 結膜炎, 関節痛, 精巣痛, 頭痛. 
 関節炎は稀

日本国内のTRAPS報告例 23例のまとめ (Mod Rheumatol (2013) 23:210–217)
特徴

女性
52.2%
発症年齢
2m-29y
TNFRSF1A変異
78.3%
発熱
100%
腹痛
50.0%
筋肉痛
54.5%
紅斑
84.6%
結膜炎, 眼周囲浮腫
20.0%
胸痛(胸膜炎)
20.0%
関節痛
73.3%
頭痛
10.0%
ステロイドへの反応
66.7%
周期性発熱の家族歴
95.7%
 紅斑, 関節痛を呈する頻度が高い. それ以外はFull-like symptom.

TRAPSはステロイドが効果的で, コルヒチンが無効な点でMFMと異なる
 PSL >20mg/dで効果が期待できる.
 開始初期は著明に改善し得るが, 徐々に効果は低下し, Dose-upが必要となることが多い.
 コルヒチンの効果は乏しい.
 Etanerceptが著効することが分かっている.
 25mg 2回/wkの投与で著明に改善が見込める.