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2013年4月3日水曜日

ギランバレー症候群と腱反射

Guillain-Barre症候群では通常 腱反射は減弱〜消失する.
 例外は中枢、脳幹が障害されるBickerstaff脳幹脳炎や、Pharyngeal-Cervical-Brachial variantと呼ばれる咽頭〜頸部, 上肢の症状が主な病態であるが, それ以外は低下するのが診断基準にも含まれている.
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症例; 20台女性. 下肢麻痺
 2wk前に下痢症状が持続. 数日の経過で下肢の運動麻痺が出現. 増悪し立位も困難となったために来院.
 所見は両下肢のMMT 2/2と低下しており, 上肢は問題無し. 感覚障害は全く問題無し.
 MRIでは腰椎〜胸椎病変無し. 頭部MRIでは頭頂葉の病変も認めない.
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 AMAN型(Acute motor axonal neuropathy)のGBSか... と思われたが, 下肢の腱反射は普通に保たれている. バビンスキは屈曲.

 ........GBSっぽいのにDTRが保たれている.....ということがあり得るのか?


(J Neurol Neurosurg Psychiatry 1999;67:180–184)
抗GM1抗体が陽性となるAMANでは腱反射亢進するタイプが報告されている.
 GBSと診断された日本人 54名の解析では, 7名(13%)で腱反射が亢進していた. (AMAN 6名, AIDP 1名)
 7例全例で抗GM1抗体が陽性. 抗C jejuni抗体は2例のみ陽性.
 腱反射亢進患者はよりAMANで多く(6/23 vs 1/18(AIDP)), 抗GM1抗体陽性例で多い(7/26 vs 0/28)
 他のタイプでは腱反射亢進例は認めなかった.

コレをみると発症初期でもAMANの2/23例が腱反射 正常 or 亢進となっている.
他のタイプのGBSでは腱反射亢進は認めない.

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GBSのうち, AMANは海外では3-7%だが, アジアでは65%を占める多い型.
カンピロバクター感染後の発症が多く, 経過も一致する.
従ってあまり腱反射消失にこだわる必要性は無いのかもしれない.
これでGM1抗体陽性ならば尚更AMAN型のGBSで良いのであろう.