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2012年10月4日木曜日

Henoch-schonlein purpura(小児例)


補足
HSP(成人例)について
HSP(治療)について


Henoch-schonlein purpura; (Current Opinion in Rheumatology 2010, 22:598 – 602)

Small vesselにleukocytoclastic vasculitisとIgA1沈着を認める病態.
 IgAにはIgA1とIgA2の2つあり, その内IgA1のみが関与する.
 全身の血管に生じ, 多いのは皮膚(紫斑), 関節痛, 腹痛, 消化管出血, 腎炎(MesangiumにIgA沈着あり; IgA腎症).
 感染や薬剤, 環境因子が発症のtriggerとなり得る.
 小児の血管炎で最も多い原因であり, 10-20/100000小児-yrの発症率
 通常4wk程度で自然寛解するが, 腎炎合併例は慢性化するため, 治療が異なる. 要注意となる.
 遺伝の関与も大きく, HLA-DRB1*01, HLA-DRB1*11, HLA-DRB1*14が関与. HLA-B35は腎症の発症リスクとなる.
 FMF(Familial Mediterranean fever)の7%でHSPを合併. (MEFV遺伝子との関連が示唆)
A群β溶連菌感染との関連も言われている
 IgA結合streptococcal M蛋白がmesangium, 皮膚血管に沈着することでHSPを発症すると報告されている.

[小児におけるHSP]

HSPの症状
≤16yrの小児例171名の評価では, (発症から4.7-6.4dでの評価(0-63d))

(J Pediatr 2006;149:241-7)
症状
頻度
腎症状
18.7%
Petechiae
100%
タンパク尿 200-300mg/L
5.3%
腹痛
38%
血尿 6-10/HPF
8.2%
関節痛
70.8%
血尿 + タンパク尿
5.3%


≤16yrの小児例223名のLab評価

(Arch Dis Child 2010;95:877–882)
ESR上昇
51.4%
C3上昇
5.7%
CRP上昇
37.4%
C3減少
1.1%
IgA上昇
29.1%
C4上昇
2.3%
IgE上昇
30.8%
C4減少
2.9%
IgG上昇
8.4%
ANCA陽性
14.3%
IgM上昇
2.3%




HSP腎炎(Arch Dis Child 2010;95:877–882)
HSPの30-50%で腎炎を合併.
血尿, タンパク尿で生じることが多い.
基本的に腎炎も予後良好であり, 自然緩解するのが殆ど.  ESRDまで進展するのは1%程度.

223名の小児HSP患者のProspective study
男児122, 女児101, 発症後平均7d[0-65]経過. 102名(46%)で腎炎(+)


腎症状のタイプ

血尿; ≥5/HPF or Dipstickで陽性
14%
タンパク尿; P>200mg/L, Alb>30mg/L or Dipstickで陽性
9%
血尿 + タンパク尿
56%
Nephrotic-range proteinuria; 24hr-Prot >40mg/m2/h
20%
Nephrotic-nephritic syndrome; RBC >200/HPF, 24hr-Prot >40mg/m2/h,
 + 以下の3つ中, 2つ以上認める(乏尿, HT, 腎障害)
1%

HSP発症〜腎炎発症までの期間
発症2wk以内に腎炎が出現することが多い. 少なくとも2mo以内での発症はあり得る.

HSPN; 年齢別発症率
>8yrは発症リスクとなる(OR2.7[1.4-5.1])
他のリスクファクターは, 腹痛 OR2.1[1.1-3.7], HSP再発 OR 3.1[1.5-6.3]
IgA, G, Mの値, 補体値, ANCA, 炎症マーカーの値は腎炎リスクにはならない.

慢性腎不全のリスク(Acta Pædiatrica 2009 98, pp. 1882–1889)
血尿単独 or タンパク尿単独群では, 慢性腎不全への移行率は1.6%のみ.
 一方で, Nephritic, nephrotic syndrome例では19.5%と高頻度となる.
 各腎障害typeとCKDリスク


腎症状のタイプ
CKD移行率
顕微鏡的血尿, 微量タンパク尿
<5%
血尿, タンパク尿
5-15%
Acute nephritic syndrome
~15%
Nephrotic syndrome
~40%
Nephritic-nephrotic syndrome
45-50%


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