イグラチモド vs プラセボ
活動性RA 280名のDouble-blind RCT (Chinese Medical Journal 2008;121:615-619)
イグラチモド50mg/d, 25mg/d, Placeboに割り付けて比較.
全例中国人で, 活動性RAは以下の4/5を満たすものと定義.
◯ 圧痛関節部位が5箇所以上
◯ 腫脹関節部位が3箇所以上
◯ 朝の強ばりが60分以上
◯ ESRが28mm/h以上
◯ 安静時に中等度から重度の疼痛を自覚
また, 4wk以内にDMARDの使用は無く, PSL≤10mg/dのステロイドの併用は可としている
Outcome; ACR 20,50,70の達成頻度
ACR20は@6-12wkで25mg/d, 50mg/d群双方で有意に達成率が良好.
それ以降の18wk, 24wkでは50mg/d群が有意に達成率が良好となっている.
イグラチモド vs Salazosulfapyridineの比較
日本人RA患者376名のDouble-blind RCT (Mod Rheumatol 2007;17:1-9)
イグラチモド 25mg/d 4wk, その後50mg/d 24wk継続群と, Salazosulfapyridine 1000mg/d群, Placebo群に割り付け, 28wk継続.
RA患者群は以下の3つを満たす患者を対象とした
◯ 6箇所以上の圧痛関節あり
◯ 3箇所以上の腫脹関節部位がある
◯ CRP≥1.0mg/dLもしくはESR≥30mm/hを満たす
これもDMARDの4wk以内の投与歴は無し, PSL ≤5mg/dの併用は可.
Outcome; ACR20の達成率
イグラチモドとSASPのACR20達成率はそれぞれ 63.1%, 57.7%, Difference 5.4%[-7.9~18.7]と有意差無し.
イグラチモドの方がSASPよりも効果発現は速そう.
イグラチモド vs MTXの比較
活動性RA患者489名のDouble-blind RCT (Arthritis and Rheumatism 2009;61:979-987)
イグラチモド25mg/d 4wk, その後50mg/d 20wk群(Group 1)
イグラチモド50mg/d 24wk群 (Group 2)
MTX 10mg/wk 4wk, その後15mg/wk 20wk群 に割り付け, 24wk継続.
活動性RAの定義は(Chinese Medical Journal 2008;121:615-619)と同様.
他のStudyと同様, DMARDは4wkは投与されていない. PSL≤10mg/dまで併用可.
MTX不応性(≥15mg/wkを20wk継続しても効果不十分)の症例や, MTXによる副作用で中断を余儀なくされた症例は除外される.
副作用出現時の対応プロトコールは,
ALT≥3ULNでは一次中断し, 改善後に再開. 再度≥3ULNとなった場合は終了.
ALT≥5ULNではその時点で終了.
好中球<500/µLではその時点で終了.
Outcome; ACR20,50,70達成率
MTXとイグラチモド50mg/d投与群の効果は同等.
25mg/d→50mg/d群ではやや劣る.
イグラチモドによる副作用
肝障害、好中球減少、消化管症状があるが、MTXと比較して消化管症状や食欲不振は少なく、肝障害やめまいも少ない.
特に25mg→50mg/d群でより少ない傾向.
イグラチモド+MTXの併用について (Mod Rheumatol (2013) 23:430–439)
MTX単剤治療でも効果不十分*なRA患者253例のDB-RCT.
MTX + Iguratimod 25mg/d 4wk, その後50mg/d 20wk群 vs + Placebo群に割り付け, 24wk継続. 臨床症状をフォロー
MTXは6-8mg/wkを継続.
*MTX ≥6-8mg/wkを12wk以上使用しても6箇所以上の圧痛関節(+), 4つ以上の腫脹関節(+), ESR≥28mm/hもしくはCRP ≥1.0mg/dL
治療導入前に他のDMARDを使用していた場合は4wk, 生物学的製剤を使用していた場合は3MのWash-out期間を設ける.
母集団:
アウトカム:
Igratimod併用群ではMTX単剤よりも有意に臨床症状の改善を認める.
このStudy後, Open-labelとしてさらに24wk投薬を継続, Placebo群はIgratimodに切り替え継続した報告(Mod Rheumatol, 2014; 24(3): 410–418)
ACR50,70達成率はIgratimod長期使用でさらに改善する. また, Placeboから切り替えた群も有意にACR20, 50, 70は改善.
このStudy後, Open-labelとしてさらに24wk投薬を継続, Placebo群はIgratimodに切り替え継続した報告(Mod Rheumatol, 2014; 24(3): 410–418)
ACR50,70達成率はIgratimod長期使用でさらに改善する. また, Placeboから切り替えた群も有意にACR20, 50, 70は改善.
イグラチモドの52wk継続投与の副作用頻度の調査 (Mod Rheumatol 2007;17:10-16)
日本人RA患者394名にイグラチモドを52wk使用.
初期投与量は25mg/dとし, 4wk後に50mg/dへ増量.
Adverse event; 不快な症状、所見、Lab異常
Adverse reaction; 上記イベントと薬剤の関連が否定できないもの, と定義した時,
投与期間とそれらの頻度は
日本人RA患者394名にイグラチモドを52wk使用.
初期投与量は25mg/dとし, 4wk後に50mg/dへ増量.
Adverse event; 不快な症状、所見、Lab異常
Adverse reaction; 上記イベントと薬剤の関連が否定できないもの, と定義した時,
投与期間とそれらの頻度は
Outcome
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@52wk
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@100wk
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Adverse event
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97.6%
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97.6%
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Adverse reaction(AR)
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61.8%
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65.3%
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ARのうち, 症状, 所見のみ
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30.0%
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33.2%
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Lab異常
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48.4%
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50.4%
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重大な副作用としては,
他の副作用一覧
MTXやSASPと同等の効果があり, MTXよりも副作用が少ない. また併用も良いという使い勝手の良さそうな新しいDMARDの印象.
特に高齢者でMTXでご飯が食べられなくなったりする人を数人抱えている身としては, 試してみたい気が満載です.