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2022年3月16日水曜日

ITP(自己免疫性血小板減少症)に対するオセルタミビル(タミフル®)

 ITPにタミフル®って, なにこの組み合わせ, という感想が最初.

いくつかの後向き研究において, Oseltamivirはインフルエンザ感染に関係なく, PLTを増加させる報告がある.

また, 敗血症で血小板減少を生じた患者において, Oseltamivirを追加すると血小板改善が早いとのRCTもある.


重症敗血症で血小板減少を合併(PLT≤5万/µL)している患者を対象とし,
通常の全身管理+抗菌薬に加えて, Oseltamivir併用群 vs 非併用群に割り付け比較したOpen-label RCT

(Journal of Hematology & Oncology (2017) 10:104)


・PLTの上昇や, 改善までの期間は有意にOseltamivir群で良好, 短縮.


 改善: PLT≥10万/µLで定義


症例報告やPilot studyでも, 
ITPに対するPLT改善を早める
効果が認められている.


そして, 2021年にPhase 2 trialが発表.


(Lancet Haematol 2021; 8: e289–98)

中国の5施設におけるOpen-label RCT(phase 2)

新規診断, 未治療の成人例ITPを対象とし,
 Dexamethasone + Oseltamivir群 vs Dex単独群に割り付け, 比較.

・患者はPLT<3万/µL and/or 出血症状を伴う症例.


 60歳以上の症例では他の血液疾患評価目的に骨髄検査を施行.

・除外: 3ヶ月以内にGC, Oseltamivirなど治療薬を使用.
 

 二次性の血小板減少, 悪性腫瘍既往, 重度の免疫不全, HIV, HBV, HCV, TB, 活動性感染症, 妊婦/授乳婦, 糖尿病, 高血圧, 心疾患, 重度肝障害, 精神疾患, 骨粗鬆症, IBD, VTEなど.

・治療内容: 

 Dexamethasoneは40mgを4日間,
Oseltamivirは75mg bidを10日間使用.

・Day 10でPLT <3万/µLの群では, 両群でさらにDexを同量使用.

・D+O群において, 初期には反応(PLT>3万)したが, その後再度低下した患者群では再度Oseltamivirを10日間使用可能とした.


・アウトカムはDay 14における血小板の反応,
 

 また6ヶ月間における反応性の維持効果を比較した.


母集団


アウトカム


・14日における反応性, 6ヶ月における反応の維持は
有意にOseltamivir群で良好.

・PLTピーク値も高いが,
 反応までの日数は両者で有意差なし

・Osertamivirは19%で
2サイクル使用した.



・治療反応維持期間は,
D+O群で9ヶ月間, D単独群で5ヶ月間