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2021年8月13日金曜日

ICUによる補液負荷の種類, 速度の比較: BaSICS trial

BaSICS: ブラジルにおける多施設ICU研究.

ICUに入室し, 24h以上滞在することが予測された患者群で, さらに1つ以上のAKIリスク因子*を有し,1回以上の補液負荷が行われる患者を対象 

・補液負荷をBalanced solutionで行う群 vs NSで行う群と,
 (JAMA. doi:10.1001/jama.2021.11684)

・補液負荷の速度をSlower vs Faster群に2x2デザインで割り付け,
 90日予後を比較した. (JAMA. doi:10.1001/jama.2021.11444)


*AKIリスク因子: 
65歳以上, 
 低血圧(MAP <65, sBP<90, 昇圧薬使用)
, 敗血症, 人工呼吸器(Invasive, non-invasive)を12h以上使用
, 早期腎障害兆候(UO <0.5mL/kg/hが3h以上, Cr上昇[女性>1.2mg/dL, 男性>1.4])
, 肝硬変/急性肝不全

・除外項目: 入院から6h以内に透析療法が必要な症例, 重度の電解質異常(Na<120mEq/L, >160), 24h以内の死亡が予測される症例, 脳死が予測される症例, BSCを選択される症例


 Study開始から, 高K血症(>5.5)も除外項目に追加された.


Balanced solution vs NSの比較(Double-blind)

(JAMA. doi:10.1001/jama.2021.11684)

・母集団は10520例を対象.

・敗血症は18-19%

・APACHE IIは12[8-17], SOFA 4[2-7]

・>1000mlの補液を行われた症例が3割程度

・Study開始前は主にNSが使用されている.


アウトカム: 両群で90日死亡リスクに有意差なし



補液速度の比較: Slower vs Faster(un-blinded)
(JAMA. doi:10.1001/jama.2021.11444)

・Faster群では1000mL/hの速度で負荷
 
 Fluid challengeの速度(500mLを30分)に準じて行う
・Slower群では333mL/hの速度で負荷
 Slower群でも活動性出血や重度の低血圧(sBP<80, MAP<50)では, 主治医の判断によりFaster rateでの投与が許容された

アウトカム: 両者で90日死亡リスク, 他アウトカムに有意差なし