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2021年7月2日金曜日

メトホルミンによるPET/CTの腸管への集積亢進

Metformin使用中の患者でPET/CTをとると, 
腸管にびまん性に集積が認められることがある.


(AJR 2010; 195:1404–1410)

・METは高血糖患者で
腸管のGluの取り込みを
60%増加させるため
PET/CTでの集積が生じるとされる(BMJ Case Rep 2014. doi:10.1136/bcr-2013-202058)

最近のPET-MRIを用いた報告では, 
Metforminにより, グルコースは腸管壁ではなく, 腸管内腔へ集積していることが示されており,
Metがグルコースを便中に排泄している可能性が示唆されている(Diabetes Care. 2020 Aug;43(8):1796-1802.)


PET/CTを評価した糖尿病患者77例と, 
性別, 年齢, BMIを合わせた非糖尿病患者のControl群と
腸管の集積を比較した報告.

(Clin Nucl Med 2011;36: 452–456)

・45/77でMetforminを使用

・腸管への取り込みは
以下のScaleを用いて評価(紹介する様々なStudyで同様のVisual scaleを使用)

アウトカム

・糖尿病患者では非糖尿病患者と比較して,
有意に腸管の集積が亢進する.


・Met(-)のDM患者と非DM患者の比較では差はなし.

・DM患者群において, Met(+)と(-)の比較では,
有意にMet(+)群において腸管への集積が上昇.


Met(+)のDM患者 32例, Met(-)のDM患者23例(其々G1a, 1b)
非DM患者 95例(G2)のPET/CTを評価

(Eur J Nucl Med Mol Imaging (2008) 35:95–99)

・DM患者, 非DM患者の比較では, DM患者で有意に腸管の集積は亢進

・Met(+), (-)の比較ではMet(+)で有意に取り込みは上昇


 Met(-)のDM群はControl群とほぼ同等.


では, PET/CTのどのくらい前にMetforminは中止すべきか?

>> 少なくとも2日以上前. 可能ならば3日前とか


PET/CTを評価する患者群を以下に分類し, 評価:

(AJR 2010; 195:1404–1410)

A) Met(+)のDM患者 107例
 

 このうち, PET/CT撮影時も継続させた77例をA1,
 

 PET/CT撮影の2日前に中止させた30例をA2


B) Met(-)のDM患者 31例


C) 非DM患者 52例

・DM患者のうち10例は, Met継続した状況と中止した状況の2回PET/CTを評価.

・血糖値と腸管の集積を各群で比較.

アウトカム


・回腸〜結腸にかけて, 
Metを継続したDM群で有意に集積が亢進する.
・撮影の2日前にMetを中止したDM群や,

 Met(-)のDM群では, 集積はControl群と同等

継続, 2日前中止の2回評価した患者

・2日間の中止で明らかに集積は低下.
・血糖値は変わらない〜やや増加するが
集積は低下する.

240例のDM患者を以下の4群に分類し, PET/CT所見を評価
(Ann Nucl Med (2016) 30:629–636)
A) Met中止<24h 86例 
B) Met中止 24-48h 40例

C) Met中止 48-72h 12例 
D) Met使用無し 102例

アウトカム

・Visual score 3-4は48-72h前に中止しても, 下行〜直腸の集積は亢進

SUVmaxの評価

・これも48-72h前の中止でも下行〜直腸の集積は亢進している.
・中止とともに徐々に低下するが, 2日前では不十分かも.

PET/CT前のMet中止期間を比較したRCT.

(Radiology 2018; 289:418–425)

・糖尿病でPET/CTを撮影する患者 90例を対象とし,

 
24h前に中止する群, 48h前に中止する群, 継続群に割り付け, 
腸管への集積を比較.

・48hの中止により有意に
腸管の集積は低下する.


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Metforminを使用している場合, 腸管への集積が著明に亢進する.

中止により, 集積も低下する. 一般的には2日前に中止することが推奨されるが, それでも下行〜直腸の集積は亢進している.

疾患や病態により, しっかりと腸管を評価したい場合は72h以上前の中止を検討した方が良い