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2021年7月5日月曜日

薬剤過敏性症候群(DIHS)と血球貪食症候群(HLH)

 疾患例: 30歳女性. てんかん既往があり, 3週間前に抗てんかん薬をラモトリギンに変更した病歴がある.

4日前からの発熱, 体幹の皮疹が出現. 徐々に増悪したために来院.

来院時, 全身の癒合傾向のある紅斑, 掻痒+. 

関節痛はなし。口内炎+, 眼球結膜充血などなし.

血液検査では, 軽度の肝障害と, 中等度の血小板減少, 白血球減少, LDHの上昇を認めた.

さらにフェリチン, TGの上昇を伴い, 血球貪食症候群が疑われた.

(症例は架空です)

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タイミング的にはラモトリギンによるDIHSとHLHの合併っぽい.

DIHSでは血球減少を伴うことは多くはないが, ありえる, 程度の認識であった.

この症例のようにHLHの合併というのはどの程度報告があるのか?

また原因薬剤はどのようなものが多いのか?


Literature Reviewにおいて, DIHSとHLHを合併した報告は23例

(Int J Dermatol. 2020 Sep 21. doi: 10.1111/ijd.15196.)

・原因薬剤として,


 抗菌薬 (Amoxicillin 2例, Ceftriaxone, Doxycycline, 
Cefpodoxime, Penicillin, VCM, teicoplanin, ST合剤)

 Sulfasalazine 5例
, Allopurinol, Tocilizumab, 鎮咳薬, Phenobarbital 2例


 抗てんかん薬 (Lamotrigine 3例, Phenytoin, バルプロ酸)

複数報告がある薬剤はAmoxicillin, Lamotrigine, Sulfasalazine, Phenobarbitalがある.

Lamotrigine自体, 薬剤性HLHの原因として報告例がある

(Neurology. 2019 May 21;92(21):e2401-e2405.)


参考: ラモトリギンはDIHSの原因薬剤として4番目に多い

薬剤名

N

%

薬剤名

N

%

カルバマゼピン

746

33.9399454049136

スルファメトキサゾール/トリメトプリム

39

1.77434030937216

アロプリノール

332

15.1046405823476

フェニトインナトリウム

37

1.68334849863512

フェニトイン

173

7.87079162875341

ミノサイクリン塩酸塩

37

1.68334849863512

ラモトリギン

149

6.77888989990901

クロルプロマジン/ブロメタジン配合役

32

1.45586897179254

ゾニサミド

133

6.05095541401274

ジアゼパム

30

1.36487716105551

フェノバルビタール

132

6.00545950864422

ミダゾラム

30

1.36487716105551

メキシレチン塩酸塩

130

5.91446769790719

フロセミド

29

1.31938125568699

サラゾスルファピリジン

126

5.73248407643312

ロキソプロフェンナトリウム

28

1.27388535031847

バルプロ酸ナトリウム

115

5.23202911737944

アスピリン

25

1.13739763421292

アセトアミノフェン

42

1.91082802547771

ファモチジン

25

1.13739763421292

医薬品副作用データベースより, DIHS 2198例の原因薬剤 (薬剤疫学 2014;19(1):31-37)


参考: DIHS + HLHの診療チャート


(Int J Dermatol. 2020 Sep 21. doi: 10.1111/ijd.15196.)