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2021年6月29日火曜日

VonoprazanとPPIの副作用の比較

 Vonoprazan: タケキャブ®

2015年2月に販売開始された比較的新しい制酸薬. 最近よく処方されているのを見る様になった.

PPIとは異なる機序であり, 副作用も気になるところ. 新しいため, また情報の蓄積は少なく, わからないことも多い.

(Pharmazie. 2020 Oct 1;75(10):527-530. doi: 10.1691/ph.2020.0604.)

日本国内のJADER(Japanese Adverse Drug Event Report) 
医薬品副作用データベースを用いて,
VonoprazanとPPIの副作用を比較した報告

・2004-2017年に報告された副作用を解析

・この間に報告された副作用はPPIで11433例, 

 Vonoprazanで636例 (
Vonoprazanの販売は2015年2月〜)


PPIで報告された副作用 Top 10

・肝障害, 間質性肺炎, 顕微鏡的大腸炎

・血球減少: 顆粒球減少, 血小板減少, 汎血球減少

・薬剤性皮疹: TEN, 薬疹, 多型滲出性紅斑

・特に顕微鏡的大腸炎のRORが高い. 薬剤別ではランソプラゾール, ラベプラゾールで多い


Vonoprazanで報告された副作用 Top 10

・肝障害

・出血性腸炎

・発熱

・血球減少: 血小板減少, 汎血球減少

・薬剤性皮疹: 薬疹, Rash, 多型浸出性紅斑, TEN

出血性腸炎のRORが86.5と非常に高い.

 PPIと異なり, 顕微鏡的大腸炎の報告は多くない


Vonoprazanと出血性腸炎の報告は,
症例報告を調べる限りは見つからず.

ピロリ菌除菌において, AMPC, MNZ, クラリスロマイシンなどに加えてVonoprazanを併用し, 出血性大腸炎を生じた症例報告は散見(この場合, 抗菌薬によるものと判断されていることが多い)

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PPIとVonoprazanで共通する多い副作用は肝障害, 血球減少, 薬疹

腸炎については, PPIでは顕微鏡的大腸炎が多く, Vonoprazanでは出血性腸炎が多い.

しかしながら, Vonoprazanと出血性腸炎で検索しても, その症例報告は見つからない.

判断が難しい.


代替薬がある新薬はひとまず処方は避けて様子見, が自分のスタイルではある