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2020年11月17日火曜日

関節リウマチや乾癬性関節炎で使用する生物学的製剤使用時の感染症リスクのまとめ

 ちょうど良いReviewがでましたので要点をまとめ:

Ann Rheum Dis. 2020 Dec;79(12):1532-1543.

Infectious complications of rheumatoid arthritis and psoriatic arthritis during targeted and biological therapies: a viewpoint in 2020

TNF阻害薬における感染症リスク
RCTより:

Observational Studyより:

TNF阻害薬による感染症: 要点

・重大な感染症に罹患した場合, TNF阻害薬は一時的に中止すべき. 感染症が治癒し, 安定すれば再開を考慮する


TNF阻害薬開始前に潜在性結核の評価を行う. また活動性結核を除外し, リスク因子も評価すべき. 潜在性結核と判断された場合, 抗結核薬による治療を行う.


TNF阻害薬はHBVの排除や再活性化に影響する. TNF阻害薬開始前にHBs抗原, HBc抗体による評価を行うべきである


TNF阻害薬使用者において, 細菌感染や真菌感染症予防はルーチンに行う必要はない. 年齢に応じたワクチン(肺炎球菌), インフルエンザ, 他のワクチンは推奨される.

 一部の生ワクチン(VZV, MMR)TNF阻害薬使用患者への投与は避けるべきかもしれない.


TNF阻害薬以外の生物学的製剤における感染症リスク


TNF阻害薬以外の生物学的製剤による感染症: 要点

IL-6阻害薬もTNF阻害薬と同程度, 感染症全体のリスクを上昇させる. また, CRPを抑制することで感染症に気づきにくくさせる可能性がある.

IL-6阻害薬における潜在性結核における再活性化のリスクはTNF阻害薬よりも低い可能性が高いが, それでも使用前に評価, 抗結核薬の使用は推奨される.


IL-17阻害薬は投与量依存性に皮膚粘膜カンジダ症(口腔や陰部)リスクを上昇させる. 軽症~中等症がほとんど.


JAK阻害薬は帯状疱疹(多分節, 播種性含む)のリスクを上昇させる. 特に65歳以上, ステロイド併用者ではリスクは高い. アシクロビル/バラシクロビルによる予防投与はリスクが高い患者群で考慮する


RTX投与による低γグロブリン血症では, 莢膜を有する細菌感染のリスクを上昇させる可能性がある. 年齢に応じた肺炎球菌, H. Influenza B, インフルエンザに対するワクチン接種を行うべきである

RTXHBVの再活性化リスクとなりえる. 使用前にHBVのスクリーニングを行うべきである. HBsAg陽性例では, RTX終了後12-18ヶ月間は予防投与を行うべき. また予防投与終了後12ヶ月間はHBVの再活性化のフォローを行う(HBV-RNA). HBsAg陰性, HBc抗体陽性例でも予防投与を行う.


生物学的製剤使用者におけるワクチンの推奨


生ワクチン接種時における免疫抑制治療のWaiting period