(Ann Intern Med. 2019;170:453-464. )
橋本病では, チラーヂンによる甲状腺機能正常化後も倦怠感や甲状腺機能低下症状が持続することがある.
・ホルモン以外に自己免疫機序の症状が推測されている.
橋本病でホルモン補充により甲状腺機能正常化したが, 症状が残存している150例を対象としたRCT
・患者は18-79歳で, 抗TPO抗体>1000 IU/mLを満たす群
ホルモン補充療法で甲状腺機能正常化した後も, 重度の症状を自覚している群
・症状は倦怠感, 睡眠の欲求, 睡眠の質の低下, 関節や筋の圧痛, Dry mouthやDry eyes
上記患者群を甲状腺全摘群+ホルモン補充 vs 補充のみに割り付け症状を比較した.
母集団
アウトカム: SF-36, 倦怠感
・手術治療群ではQOLや倦怠感の改善が認められ, ホルモン補充のみでは特に変化は認めない結果
抗TPO抗体の変化
・甲状腺切除群では抗TPO抗体も有意に低下する
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橋本病では甲状腺機能正常化させたあとも症状が持続する例があり, その場合甲状腺切除により症状が改善する可能性がある.
症状には甲状腺機能以外に抗TPO抗体といった自己抗体も関与していると考えられる.
この考えは慢性疲労症候群や繊維筋痛症にも関わってくるような印象があります.
いままでこれら患者では抗TPO抗体を狙ってみることはしていませんでした(TSH, FT4, ANAどまり).
気にしてみようかと思います.