体幹に有痛性の結節+周囲の紅斑・熱感
画像上腰椎の面関節の破壊+周囲の石灰化を伴う結節形成 を認めた中年男性の症例.
膝関節のエコーにてDouble contour sign(DCS)を認め, 穿刺すると針状の結晶が認められた.
指PIP伸側, 肘頭滑液包, 足関節には白色の結節を認め, 痛風結節と判断.
これら所見から慢性結節性痛風+体幹の痛風性脂肪織炎と判断.
痛風, 高尿酸血症は主に無症候性高尿酸血症, 急性痛風発作が多いが,
あと一つ, 慢性結節性痛風(Chronic tophaceous gout)と呼ばれる長期経過の痛風結節, 慢性関節炎を伴う病態がある.
痛風結節は尿酸結晶に対する慢性の炎症反応で, 異物肉芽腫を形成することで生じたもの.
・長期間(10年~)の痛風関節炎, 高尿酸血症の持続で生じるとされるが, <10年の症例でも16%で皮下結節を認めた報告もある.
・結節は3層で構成され, 中心に尿酸結晶,周囲にリンパ球や形質細胞, Mφ, 外側に線維組織が認められる.
(Curr Rheumatol Rep (2015) 17:19)
痛風結節は皮下組織や関節・腱に生じる.
・皮膚透過性が高い部位では白色の結節に見える(結晶の影響)
内部の穿刺により尿酸結晶が認められる.
・好発部位は肘頭滑液包, アキレス腱, 第一MTP, 耳, 指腹
他に脊椎や神経根付近, 足根管, 膝蓋腱, 第二中手骨, 三角骨で生じ, 神経圧迫症状や筋症状を呈する症例もある
稀ながら, 気管支に生じて気道閉塞をきたした症例や僧帽弁, 肝臓, 乳腺に生じた報告もある.
高齢者の結節性痛風症例の痛風結節の分布
(Clin Rheumatol (2012) 31:1127–1132 )gouty panniculitis: 痛風性脂肪織炎という病態もある
・稀であるが, 痛風に関連して脂肪織炎を呈することがある.
皮下の痛風結節とその周囲の炎症が認められる.
痛風の診断基準を満たす症例が大半だが, 脂肪織炎が先行する例もある.
(Rheumatol Int (2011) 31:831–835)
結節性痛風の治療
・治療の基本は尿酸降下薬による長期間の尿酸値抑制.
尿酸値の目標は<5mg/dL
コホートでは, 低いほど痛風結節の改善速度は速く, 痛風結節が改善するのは<6mg/dLを達成した症例のみ
・キサンチンオキシダーゼ阻害薬を極量で使用し, さらに他薬剤(ベンズブロマロンなど)を併用するとよい
・関節炎の予防投与として, NSAIDや少量コルヒチンの併用も推奨
63例の結節性痛風患者を対象とした前向きCohort
・アロプリノール, ベンズブロマロン, その併用にて血清UAを組織に析出する濃度以下に維持し, 痛風結節のサイズをフォロー
・痛風結節は最も大きいサイズのものを最大径で測定し, フォロー
治療薬剤別の評価:
・痛風結節が消失するまで2-3年かかる
大体 1ヶ月あたり1mm程度の縮小
血清UA値と痛風結節の縮小速度の関係.
・UAが低値なほど縮小は速い.
<5mg/dLを目標とするとよい感じ