Effect of a Resuscitation Strategy Targeting Peripheral Perfusion Status vs Serum Lactate Levels on 28-Day Mortality Among Patients With Septic Shock The ANDROMEDA-SHOCK Randomized Clinical Trial )
ANDROMEDA-SHOCK trial: 敗血症性ショック424例を対象としたRCT.・敗血症性ショックは感染症(疑い含む)でLac ≥2.0mmol/L, 補液20mL/kgを60分で投与した後にもMAP≥65mHgを保つために昇圧薬を必要とする症例で定義.
出血+症例や重症ARDS症例, DNAR症例は除外
・上記を満たす患者を末梢循環目標群と乳酸目標群に割り付け, 8時間蘇生を行ない, 28日予後を比較した.
末梢循環目標群ではCRTを評価:
・CRTは右示指末端の腹側で, スライドグラスを用いて10秒間, 皮膚が白くなる状態で圧迫し, 元の皮膚色に戻るまでの時間を機器を用いて計測. >3秒を異常と定義する.
・CRTは30分毎に計測し, フォローする. 正常化すれば以後は1h毎.
・この群では正常化させることが目標とする.
乳酸目標群では, 2時間毎に乳酸値をフォロー.
・この群では正常化もしくは2時間で20%低下することを目標とする.
初療後の蘇生のフロー
・1st step: 補液反応性の評価
500mLの外液を30分で投与し, 反応があれば目標達成まで繰り返す
CVPが設定した上限を超えるか, 反応がないと判断されれば不応と判断
判断がつかない場合は輸液投与をCVP上限を超えるか, 目標達成まで継続する.
・2nd step: 慢性高血圧がある場合で1st stepで不応性だった場合
ノルアドレナリンをMAP 80-85mmHgを維持する程度に増量し, CRTやLacを1-2hフォローする.
反応があればその後はMAP目標値を80-85mmHgで管理
反応がなければ元の量, MAP目標値に戻す.
・3rd step: Inodilator試験
低用量のドブタミンやミルリノンを開始し, 1-2hフォローする
反応があれば継続, なければ中止.
・他の管理・感染コントロールはSSCGに則り行う
母集団
アウトカム
・プロトコールのアドヒアランス不良は末梢循環群で13.7%, 乳酸群で10.8%
・28日死亡や90日死亡リスクは両者で有意差なし.
・72h後のSOFAスコアは有意に末梢循環目標群で低い
・入院期間やICU管理期間は有意差なし
・8h時点での補液量は末梢循環目標群でやや少ない(1本ほど)
・透析やIntraabdominal hypertension, In-outバランス, 院内死亡リスクも有意差なし
サブ解析
・APACHE II<25, SOFA<10といった比較的軽症例では末梢循環目標群の方が予後がよい可能性がある
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個人的に敗血症や重症管理ではCRTやMottlingといった末梢循環所見をバイタルサインと同じように頻回に, よくフォローし, 活用しています.
たまにその内容で講演もしてました(最近依頼がないのでしてません)
この本はそれら所見を重要視して診療することを基本に解説しています
内科病棟・ER トラブルシューティング
この論文は末梢循環所見は乳酸値フォローとほぼ同じ精度で病態を把握できるということを示してくれています. こういう研究は素晴らしい. ちょっと興奮.