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2019年2月6日水曜日

関節リウマチ: MRIを用いたフォローと臨床所見によるフォロー

IMAGINE-RA: 関節リウマチにおいて, MRIを使用したtreat-to-target strategy臨床所見によるtreat-to-target strategyを比較した研究
・デンマークの9施設が参加した研究で臨床的寛解(DAS28-CRP<3.2, 且つ腫脹関節無し)を達成した200例をMRIを使用したフォローと, 従来の臨床所見によるtreat-to-target trategy群に割り付け, 2年間フォロー.

患者はACR/EULAR 2010基準でRAと診断された成人症例でCCP抗体高値, XPで骨びらん+, csDMARD単独, 併用で, 投与量が一定量で6wk以上安定
・除外項目はbDMARD使用, MTX不耐(≥7.5mg/wkを継続できない), 6wk以内のステロイド関注・ 静注・筋注歴, 経口PSL>5mg/d3ヶ月以内の投与量変更, 肝酵素>2ULN, TNF阻害薬禁忌, MRI禁忌症例

・MRI群ではMRIにて骨髄浮腫を認めず, 且つ臨床的寛解を維持
・臨床所見群では, 臨床的寛解(DAS28-CRP≤3.2且つ腫脹関節無し)を維持するように治療アルゴリズムに則って薬剤を調節する.


・フォローは4ヶ月毎に臨床所見, 利き手の造影MRIを評価.
 臨床所見群でもMRI12, 24Mで評価するが, 結果はBlind
アウトカムは24ヶ月におけるDAS28-CRP寛解(<2.6)達成率とレントゲン所見の増悪リスク(van der Heijde-modified Sharp score)

母集団

アウトカム: MRI群では脱落率が25%と高い.
・24ヶ月時点のDAS28-CRP<2.6, XP所見の進行は両者で有意差を認めない.
 MRI所見は骨炎所見のみ有意にMRI併用群で改善

患者や医師のGlobal assessment scaleMRI併用の方が低下する.

24Mにおける治療内容
・MRI群ではよりbDMARDの使用頻度が上昇.
 治療強度を上げたのはMRI群で73%, 臨床群で17%
合併症はMRI群で17%(SAE 19), 臨床群で6%(SAE 7)
 重大な感染症は各3例ずつ.
 MRI群で治療と関係すると考えられる合併症は7件で, 6例が治療中断した.

脱落の理由:
12ヶ月時点での脱落症例
MRI(9): 治療ルールに則らない(4), 希望しない(2), MRIにより不快(2), 治療の副作用(1)
臨床群(4): 希望しない(2), 悪性腫瘍診断(1), 経口PSL使用(1)

12-24ヶ月時点での脱落症例
・MRI(15): 副作用(5), 希望しない(3), 悪性腫瘍診断(3), 治療ルールに則らない(2), 経口PSL使用(1), プロトコールから外れる(1)
臨床群(1): 中断(妊娠するため)

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csDMARDで臨床的寛解導入できた患者において, 臨床所見にMRI所見を加えてフォロー, 治療調節を行っても2年後のXPによる骨びらん, 臨床経過に有意な点は認めない

それどころか, MRI所見を加味すると治療強度が上がり, bDMARD使用頻度も増加. 薬剤の副作用も増加してしまう結果に.

さらに長期フォローではどうなるかは未だ分からないものの, やりすぎてしまうリスクがあること考えなければならない.