診断するならばMR静脈造影やCT血管造影, 脳血管造影検査が必要となる.
単純CT所見ではどのような所見が有用か、またその感度・特異度はどの程度なのだろうか?
285例のCVT症例と303例のControl群のCT所見を比較.
(Neurology® 2019;92:e841-e851. )
・CVT症例は発症2wk未満で評価された単純CTで, Reference standardはCT血管造影, MRI, 脳血管造影による評価.
・Control群は同じ病院のERを受診した, 急性・亜急性の頭痛, 神経局所症状, 痙攣, 意識障害で, 単純CTを撮影した成人例(年齢は±5歳で合わせた). さらにCVTはMRI, CT血管造影, 血管造影で否定され, CVT以外の診断がついている患者.
・3名の読影者(神経内科医師)が診断, 経過, 所見をBlindされた状態で, 以下の要素を評価.
Visual Impressionによる評価
静脈洞のCT値(HU),
患部と非患部の静脈洞CT値の比
Visual Impressionは直接所見と間接所見を評価
・直接所見: 頭蓋内出血, 硬膜下血腫, 脳浮腫, 静脈梗塞
・間接所見: Cord sign, Hyperdense sinus
Cord sign: 単純CTで静脈洞に沿って長い高濃度域を認める
Hyperdense sinus: 静脈洞が高濃度に描出される
以前のStudyより, CT値のカットオフは,
・患部静脈洞 CT値>62HU,
・Ht補正: HU/Ht (H:H ratio) > 1.52
・患部/非患部CT値比 >1.3 とした.
所見の例
・A,B: A: 右横静脈洞の血栓症疑い. CT値は3箇所で67, 72, 69HUと上昇している. B: 健側との比較では, 患側71, 健側47HU
・C,D, E: Cでは正常であるが, Dでは出血性梗塞を認める. EはCT静脈造影で, 右の横静脈洞が造影されない.
・F,G,H: Fでは直静脈洞と内大脳静脈のCT値の上昇を認める(71HU). 左視床, レンズ核の低吸収域を認める. G,H: 直静脈洞の造影がされていない.
・I, J: Iでは上矢状静脈洞のCT値が亢進(79HU). J: 血管造影では同部位が造影されていない
・I, J: Iでは上矢状静脈洞のCT値が亢進(79HU). J: 血管造影では同部位が造影されていない
母集団
・発症48h以内の評価は43%
アウトカム
CT値による評価
・どの指標を用いても感度, 特異度は同等.
感度は6-7割程度であり, 否定に十分な所見とは言えない.
Visual impressionによる評価
・特異性は高く, 経験をつめば典型的な所見があれば疑うのは容易いが, 感度はバラツキがかなり大きく, やはり否定が難しい