比較的徐脈(relative bradycardia)は体温上昇に比例したHRの上昇が生じず, 発熱の割には脈拍が遅い状態のこと
・体温が38.3度を超えると, 1度あたり8-10bpm心拍数が増加する
この反応に満たないHRの上昇では比較的徐脈, Pulse-temperature dissociation, Faget’s signと呼ばれる.(WMJ. 2018 Jun;117(2):73-78.)
・体温≤38.9度では体温と脈拍の解離を判断しにくいため, >38.9度の場合に有意な所見として捉えた方がよいとする報告もある.(Clin Microbiol Infect. 2000 Dec;6(12):633-4.)
・入院患者では熱型表から判断可能なことも多い
(Clin Microbiol Infect. 2000 Dec;6(12):633-4.)
比較的徐脈を呈する疾患
(Clin Microbiol Infect. 2000 Dec;6(12):633-4.)
2016年10月までに報告された比較的徐脈の症例Review
(WMJ. 2018 Jun;117(2):73-78.)
感染症と比較的徐脈の頻度
・頻度はばらつきが大きいが,
デング熱では23-76%, レジオネラでは0-60%, マラリアでは13.6%,
ツツガムシ病では38-53%, 野兎病では42%, チフスでは14-63%.
感染症による比較的徐脈の原因一覧
非感染症による比較的徐脈の報告は
・リンパ腫,
薬剤熱,
人為的な発熱,
副腎不全,
周期性好中球減少症で報告あり
・薬剤熱は148例中11例で比較的徐脈を認めた報告もある
さらに発熱の比較症状がない, 消耗症状がないことも薬剤熱を示唆する所見
(Ann Intern Med. 1987 May;106(5):728-33.)
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不明熱患者で比較的徐脈を伴うことがたまにあります.
新しいReviewがでていたので、メモがてら.