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2019年1月21日月曜日

重症インフルエンザにおける細菌感染合併の評価にはPCTが有用

昨日のインフルエンザ感染症+細菌感染症の症例に関連して,
炎症マーカーは細菌感染合併の予測に利用できるかどうかを検討.

2009年のH1N1インフルエンザ流行期にフランスの23 ICTsで管理されたインフルエンザ肺炎例を後ろ向きに解析.
(Intensive Care Med (2011) 37:796–800)
・103例のH1N1インフルエンザ肺炎症例の解析において48(46.6%[37-56])で細菌感染合併が証明された.
 主に肺炎球菌が54%, S aureus31%

PCTを評価した症例は52例であり, このうち37%が細菌感染合併
・PCTは細菌感染合併群で有意に高い.
 細菌感染合併群 29.5[4.0-45.4]µg/L
 非合併群 0.5[0.12-1.8]µg/L
PCT>0.8µg/L感度91%, 特異度68%細菌感染合併を示唆する

・CRP
 細菌感染合併群で26.0[11.0-34.7]mg/dL
 非合併群で9.5[5.7-16.1]mg/dL
 カットオフ>23mg/dLで細菌感染合併を示唆する結果

韓国における2009年のH1N1インフルエンザ流行期にインフルエンザ市中肺炎と診断された60例の解析.
(Influenza and Other Respiratory Viruses, 2011;5, 398–403)
・このうち16例で細菌感染合併と判断された.
細菌感染で多いのは肺炎球菌とS aureus
・細菌感染合併の有無とPCT, CRP値
 カットオフと感度, 特異度は以下の通り:
PCT>1.5ng/mLは感度56%, 特異度84%
・CRP>10mg/dLは感度69%, 特異度63%で細菌感染合併を示唆

2009-2014年にH1N1インフルエンザA感染によりICU管理された患者群を対象としたCohort.
(J Infect. 2016 Feb;72(2):143-51.)
・972例中, 196(20.3%)で細菌感染の合併が証明.
肺炎球菌が50%と半数を占める.

細菌感染の評価にはPCTが利用できるがCRPはアテにならない.
 PCTのカットオフと細菌感染合併の感度, 特異度

他にはショックバイタルも細菌感染に関連性があり, これらデータからのICU管理中のインフルエンザ患者における細菌感染合併リスクの評価アルゴリズム.
・YES が細菌感染合併率
・再高リスク群では52.9%で細菌感染が合併. 最低リスク群では5.5%

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重症インフルエンザ感染症, インフルエンザ肺炎症例において,
細菌感染の合併の評価にはCRPよりはPCTを参考とした方が良い.
とは言え, あくまでも補助的に用いるべきではあるが