急性の呼吸不全にて挿管管理, ICU入室となった70歳代男性.
既往や背景疾患は不明.
胸部CT, XPでは両側の浸潤影, GGO, 胸水貯留あり.
心エコーではびまん性の壁運動低下もあり. 急性心原性肺水腫が疑われた.
しかしながらHtが56%, Hb 18g/dLと血液濃縮があり, 本当に心不全なのか? という疑問があった.
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結論からいうと, 急性心原性肺水腫では間質や肺胞に低浸透圧のFluid貯留を生じることで, 血液濃縮が生じ, 治療し, 改善傾向となると間質の水分が戻り, 血液は希釈される
急性心原性肺水腫でICU管理となった症例とCOPD急性増悪でICU管理となった症例を後ろ向きにReview
(Crit Care Resusc 2011; 13: 108–112)
・入室時と24時間後, または臨床的に改善した後に評価した
Ht, TP, Alb, 血液ガスを比較.
母集団
治療前後のパラメータ(B: before, A: after)
・急性心原性肺水腫では治療前のHt, Hbが有意に高い.
・COPD急性増悪でも高いが, 上昇の程度は急性心原性肺水腫の方が強い
・血液量, 血漿量も治療に伴い急性肺水腫では顕著に上昇
他のパラメータ
急性心原性肺水腫 95例と,
冠動脈造影を行なったが, 陰性であった50例(Control 1)
冠動脈病変を認めたが, 心不全は認めない21例(Control 2)を比較
(Circulation. 1977 Jan;55(1):195-9.)
・血漿浸透圧は有意に急性心原性肺水腫で高い.
急性心原性肺水腫症例において, 改善を認めた患者群では, 治療後Htは低下し, 血漿浸透圧も低下する
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落ち着いて考えると当たり前のことではあるが,
「心不全」というVolが増加する病態も, 肺水腫が急性に増悪すれば血液濃縮を生じるという一見矛盾しているように錯覚する.
・・・まあそれだけです.
この辺のデータは調べてみましたが, 報告が少なく,
急性呼吸不全における血液濃縮と原因の関係とか, 臨床研究の題材にならないものかな