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2018年4月14日土曜日

蕁麻疹様血管炎

蕁麻疹様血管炎 Urticarial Vasculitis(UV)

24h以上続くじんま疹と病理でLeukocytoclastic vasculitisを認める病態.
Cutaneous vasculitis(CV)1.

UV24時間以上持続する膨疹に加えて発熱や関節痛, 皮膚色素沈着, 腹痛などを呈する場合に疑う.
・組織所見ではLeukocytoclastic vasculitis所見が認められる
・病変は数カ月持続するが, 数年持続する例は稀
・慢性蕁麻疹の2-20%で認められる報告がある.
 また病理組織で定義すると慢性蕁麻疹の5%で認められる.

補体低下を伴うHypocomplementemic UV(HUV: 53-82%)補体正常のNormocomplementemic UV(NUV: 18-47%)がある.
・NUVでは全身症状を呈することは少ないが
 HUVでは肺や腎臓, 眼など全身症状を呈しやすい. さらいHUVでは発熱や関節痛, 倦怠感, 結膜炎, Episcleritis, 腎炎, 弁膜症なども生じる
HUVの一部では抗C1q抗体の関連がある. C1q抗体はSLEでも認められ, SLEで抗C1q抗体が陽性となる場合, 85%で糸球体腎炎を伴う.
・SLE患者の5-10%UVを伴い, SLE+C1q抗体陽性の28-47%UVを合併
 SLE, C1q抗体によるUVHUVS(syndrome)と呼ばれ

UVは特発性が多いが, HBV, HCV感染や悪性腫瘍, 薬剤, 寒冷, 運動により誘発されるタイプもあり
・薬剤はUV10%で関連あり: Infliximab, Procainamide, 抗不安薬, MTX, ST合剤, ジルチアゼム, シメチジン, Enalaprilin, NSAIDで報告あり
UV患者では背景疾患の精査を行うべき: ウイルス感染, M蛋白血症, 血清病, SLE, Sjogren症候群, クリオグロブリン血症, PV, ET, SSc, リンパ腫, 白血病, 甲状腺疾患.
 近年IgG4関連疾患によるUVの報告もあり

M蛋白血症に伴うUVSchnitzler syndrome(SchS)とのオーバーラップがある
・SchSは自己炎症性疾患の1つで, MMWMへ進行するリスクがある
 (SchSは血管炎ではなく, 血管周囲, 皮膚間質への好中球浸潤を認め, UVとは区別される. 論文によりこの辺は異なる)
(Medicine 2014;93: 53-60)(http://dx.doi.org/10.5772/68109)(Intern Med 50: 1109-1112, 2011)

UVの臨床症状/所見
・24時間以上持続する蕁麻疹(64%)改善後に紫斑や色素沈着を生じる(35%)
 皮疹は無症候性~掻痒感を伴うもの, 有痛性, 圧痛, 焼けるような痛み(~33%)と様々.
 皮疹は主に膨疹だが, 稀にLivedo reticularis, 水泡も生じる
・血管浮腫は蕁麻疹と共に出現することもある(~42%)
 HUV13%, NUV23%で血管浮腫を伴う報告もあり

UVにおける全身症状
・全身症状はHUVで特に多い.
 NUVでは45%, HUVでは65%で全身症状を伴う

症状の頻度
(Immunol Allergy Clin North Am. 2014 Feb;34(1):141-7.)

HUVSとSLEの症状の比較
(J Clin Aesthet Dermatol. 2012;5(1):36–46.) 

(Curr Rheumatol Rep. 2009 Dec;11(6):410-5)

UVの組織所見
・皮膚組織所見が診断のGold standardとなる.
皮膚毛細血管のLeukocytoclastic vasculitis所見が重要
・炎症は血管壁, 血管周囲に認められる
 浸潤炎症細胞は主に好中球で, EoLyは少ない
・免疫染色では血管壁, 血管周囲へのIg, 補体, Fibrinogenの沈着を58-79%で認められる.
 基底膜への沈着はHUVで多い(70-96%). NUVでは少ない(1-18%)

(Immunol Allergy Clin North Am. 2014 Feb;34(1):141-7. )


UVの治療
治療選択はステロイド, ヒドロキシクロロキン免疫抑制療法, RTXが多い.
 コルヒチンも一部で選択されている
・ケースレビューにおける各薬剤の反応性
(Arthritis and Rheumatology 2015;67:527-534)

UVのケースレビュー

766例のCV(皮膚血管炎)の内, UV21(2.7%)であった.
男性例9, 女性例12, 平均年齢35y[1-78]. 8/2120歳未満の発症であった.
(Medicine 2014;93: 53-60)
・発症のトリガーと考えられるものは,上気道感染症と薬剤(ペニシリン)が最多で4.
 他にはHIV(1), 悪性腫瘍(1)が挙げられる.
皮疹以外の症状は, Palpable purpura(7), 関節痛, 関節炎(13), 腹痛(2), 腎症(2), 末梢神経障害(1).
補体低下は2(C4C1q)

治療はステロイドを含めた免疫抑制剤が主(12),
・他は抗ヒスタミン(6), クロロキン(4), コルヒチン(2), NSAID(3), アザチオプリン(1).
再燃は4例で認められた.

インド南部における前向き報告:
(JEADV 2008, 22, 789–794)
・UV患者 75例中NUV 54, HUVS 14
・全身症状はHUVSでより多い
検査, 組織所見


いくつかのケースレビューのまとめ

(ASIAN PACIFIC JOURNAL OF ALLERGY AND IMMUNOLOGY (2009) 27: 95-102 )