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2016年10月17日月曜日

重症患者における血球貪食症候群

血球貪食症候群 Hemophagocytic lymphohistiocytosis(HLH)はNK細胞, 細胞障害性T細胞の異常が関連し, Mファージの活性化により網内系での血球貪食が増加し, 血球減少を呈する病態.

先天性の遺伝子異常, 免疫欠乏や
後天性では, ウイルス感染症, 細菌感染症, 悪性腫瘍, リンパ腫, 自己免疫性疾患などが原因となる.

日本国内からの報告によるHLHの原因頻度:
(Int J Hematol. 2007;86:58-65.)
・2001-2005年に診断されたHLH 799例中, 567例で原因を評価.
・年齢分布と原因の頻度
・若年性が半数以上
・原因は, EBV関連が最多
 次いで他の感染症,悪性腫瘍, 自己免疫.

感染症ではウイルス感染が大半を占め, 細菌感染は少ない.
TBも原因にはなり得る.

成人例HLHの原因
(Lancet 2014; 383: 1503–16)

さて本題,
ICU患者における血球減少ではDICや薬剤性など考慮するが, HLHも鑑別にはいる.
ICU患者のHLHはどのような特徴があるか?

2000-2012年にICU患者で血球減少を認め, 骨髄検査よりHLHと診断された106例の解析
(Crit Care Med 2016; 44:e1045–e1053) 
・106例のデータ
血小板減少のみが30%
 Bicytopeniaが53%
 Pancytopeniaが17%

HLHの原因: 81/106で細菌感染症を認めた(76%)
・多い原因菌は大腸菌, 緑膿菌, 黄色ブドウ球菌, 肺炎球菌など.

他の原因
・HLH全体でみると多いウイルス感染症はICU患者群では少ない.
 悪性腫瘍や膠原病も同様.

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重症の細菌感染症で血球減少を伴う場合はHLHも考慮する必要がある
LDH高値や, TG高値, フェリチン高値がヒントとなるかもしれない