ページ

2016年9月3日土曜日

紅皮症 Erythroderma

紅皮症は全身性の皮膚の紅潮と落屑が認められる病態.
別名剥奪性皮膚炎と呼ばれる.
・様々な全身疾患に合併する可能性がある皮疹.

紅皮症103例の解析 (J Dermatol Case Rep. 2016; 10(1): 1-9)
発症年齢は54.4歳(17-89歳)

紅皮症の原因は,
・乾癬が44.7%, 薬剤性が18.4%, 湿疹が16.5%, 悪性腫瘍が12.6%, 特発性が3.9%, その他(皮膚ループス, 後天性魚鱗癬, 落葉状類天疱瘡, 疥癬)

発症〜入院までは数週間.
・薬剤性では10日前後と比較的早い経過.

紅皮症の随伴症状

紅皮症は掻痒感や末梢の浮腫, 発熱を伴うことが多い.
・発熱は薬剤性で特に多い(p=0.01).
・Palmoplantar keratodermaや爪の変化は乾癬で多い(p=0.01~0.02).
・肝脾腫やリンパ節腫大は悪性腫瘍で多い(p=0.01~0.02).
・また, てんかん発作は薬剤性で認められることが多い(p=0.02)

紅皮症の検査所見

・ESRやCRPの上昇はほぼ全例で認められる.
・好酸球増多は1/4~1/2程度.

紅皮症の原因頻度を調べた報告のまとめ
 原因は背景にある皮膚疾患に合併するもの, 悪性腫瘍に随伴するもの, 薬剤性, 特発性の4つに分類される.

皮膚疾患と, 悪性腫瘍の頻度
・皮膚疾患では, 乾癬, 湿疹, 毛孔性紅色粃糠疹が多い. 
 他に皮膚筋炎, サルコイドーシス, 疥癬, 天疱瘡などで報告がある. 
悪性腫瘍では, 菌状息肉腫, Sezary症候群が多い.
 他にはB細胞CLL, 鼻咽喉腫瘍, 肺癌, 舌癌, LCH など.

紅皮症の原因薬剤

・抗生剤, NSAID, アロプリノール, フェニトイン, カルバマゼピン, アセトアミノフェンが原因として報告されている.