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2016年4月26日火曜日

PMRにおけるステロイド反応性

PMR(リウマチ性多発筋痛症)はステロイドが著効する疾患として有名.
ステロイド投与後に速やかに改善すると, やはりPMRだね〜と言ったりすることもある位.

PMR診断基準の会議におけるエキスパートのコンセンサスでも, 「ステロイド反応性良好」という項目の賛同が50%以上あった(J Rheumatol 2008;35:270-7)

しかしながら 「ステロイドは全ての疾患を一時的に改善させる(ように見せる)」薬剤であり, 「著効」というのがどの程度のことなのか, 他の疾患との区別がつくのかはよく分からない.

EULAR/ACRのPMRスコアリングからはその項目は外れている

PMRにおける短期的なステロイドへの反応
何例かの関節炎患者において, ビタミンC , PSL(15mg), ビタミンCを1週間ずつ投与し,
その間症状がどのように変化したかをフォロー (J R Coll Physicians Edinb 2012;42:341-9)

患者はPMR 4例, RA 3例, Capsulitis 2例.
症状の変化は以下通り
・PMRの4例では投与開始翌日〜翌々日には症状が1/10程度まで改善している.
 そして投与終了すると2-3日の経過で再度10/10まで増悪する
・RA患者ではPSL開始すると徐々に症状が改善する経過となる. 投与中止後も徐々に増悪する経過
・Capsulitisではあまり症状の改善は認められていない.

従って, ステロイド投与への反応性を評価する際は, 投与した1-2日での著名な改善を有意と考えるべきであろう.

長期的にはどうか?
PMRにおいてPSLを開始後〜どの程度の期間でどの程度改善するかをまとめたStudyは見つけられず. 幾つかの報告から抽出すると,

・経口ステロイド投与後 3週間後にはESRは正常範囲となる
(British Journal of Rheumatology 1998;37:189–195).
経口PSL投与後〜寛解までの期間は20.3日.
 一方でmPSLを使用した場合, 15.2日と有意に短縮する(PSL 25mg/日, mPSL 20mg/日)
(Rheumatol Int. 2015 Apr;35(4):735-9. )
ステロイド開始から4週以内に73%で臨床的改善が認められた結果.
 臨床的改善とはVASの70%以上の改善で定義
(J Rheumatol. 2012 Apr;39(4):795-803.)

ということから, 大体3-4週間程度で炎症反応が陰性化, 症状の改善, 寛解が認められるのが典型的なのかもしれない.

たまにPMRと診断しても, ステロイドの効きがなかなか遅い患者もおり, その場合はちょっと不安になります. そのような場合はやはり注意した方が良いのかもしれません.