ページ

2016年2月1日月曜日

慢性腎臓病に対する重炭酸ナトリウム

腎臓はアンモニア合成により酸を排泄する
 → 慢性腎臓病では腎容量, ネフロンの減少によりアンモニア合成が低下し, 代謝性アシドーシスに傾く
 代謝性アシドーシスでは骨量の減少や低アルブミン血症のリスクとなる他, 腎機能の低下リスクも指摘されている.

eGFR>=15mL/min/1.73m2の5422名のRetrospective studyでは
HCO3 =<22mEq/Lは 3-4年以内の腎不全進行を示唆する
HCO3 >22群では有意差認めず
(腎不全: eGFR<15もしくは50%以上の低下と定義.)
(Am J Kidney Dis 2009;54:270-7)

慢性腎臓病に対する重炭酸ナトリウムの効果を評価したRCT
CrCl 15-30mg/min, HCO3 16-20mmol/Lを満たす134例において, 
Bicarbonate投与 vs control群に割り付け比較したRCT.
(J Am Soc Nephrol 20: 2075–2084, 2009)
・Bicarbonateは1.82±0.80g/dを投与.(炭酸水素ナトリウム®)
アウトカム:
・血中HCO3はBicarbonate投与群で上昇.
・Na排泄量も増加
・血圧や尿蛋白は有意差なし.

・1年以上の投与で, 重炭酸ナトリウム群で有意にCrCl維持効果が認められる.

CKDに対するBicarbonateのMeta-analysis
・短期的には効果はないが, 長期的な投与でGFRの改善, Cr値の低下, BUNの低下が認められる. 
・透析導入リスクも軽減. RR 0.21[0.08-0.54]

慢性腎疾患患者におけるHCO3の目標値は明確ではない
・HCO3 <22mEq/LではBicarbonateの投与が推奨される.
・また, エビデンスは少ないものの, >24mEq/Lは心血管イベントリスクが上昇する報告もあるため, 22-24mEq/Lを目標にBicarbonateを使用するのが良いかもしれない.
(Am J Kidney Dis. 67(2):307-317. )

CKDに対するBicarbonateのRCTは, UBI studyやSoBic-Studyが進行中
(Trials. 2013 Jul 4;14:196.)(J Nephrol. 2012 May-Jun;25(3):437-40.)