2015 American Thyroid Association Management Guidelines for Adult Patients with Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer. Thyroid. 2015 Oct 14
ATAより甲状腺腫瘍のガイドラインが10月に発表されました.
普段胸部CTで甲状腺の腫瘤を検出することは多く経験します.
総合内科として重要なことは, どのような患者をFNA適応として耳鼻科に紹介するかとなります.
このガイドラインより甲状腺腫瘍におけるFNAの適応を見てみますと,
甲状腺腫瘍におけるFNAの適応は
甲状腺エコーにてリスク評価を行い, リスクと腫瘍径で決めるとされています.
・中ー高リスク群では腫瘍径>1cmでFNAの適応
・低リスク群では腫瘍径>1.5cm
・最低リスク群では腫瘍径>2cm
具体的にはこちら
| 
パターン | 
US所見 | 
悪性の可能性 | 
FNAの適応  腫瘍径 | 
| 
高リスク群 | 
低エコーの実質性腫瘤 もしくは嚢胞性病変で偏った低エコーの実質領域を含む所見. 且つ以下のいずれかを満たす 辺縁が不整, 微小石灰化, 前後径>横径, 辺縁石灰化と部分的な軟部組織の突出所見, 甲状腺外への進展所見, | 
70-90% | 
>1cm | 
| 
中リスク群 | 
低エコーの実質性腫瘤で高リスク群所見を満たさない | 
10-20% | 
>1cm | 
| 
低リスク群 | 
等エコー, 高エコーの実質性腫瘤 もしくは嚢胞性病変で偏った実質領域を含む所見. 中, 高リスク群の所見を満たさない | 
5-10% | 
>1.5cm | 
| 
最低リスク群 | 
スポンジ様もしくは部分的に嚢胞性の病変であり 低, 中, 高リスク群の所見を満たさない | 
<3% | 
>2cm もしくは経過観察 | 
| 
良性 | 
嚢胞性病変のみ | 
<1% | 
経過観察 | 
エコー所見の写真
エコー所見は他に弾性度を評価する方法などある.
<1cmのものは、いくら甲状腺癌のリスク因子があっても, エコー上悪性所見があってもFNAの適応とはならない.
・これは, <1cmの腫瘍ではFNAを行っても検体不良となるリスクが高いことと, 悪性でも<1cmならば組織浸潤やリンパ節転移など問題となるリスクが低いためとされる(World J Surg (2008) 32:1253–1263).
・ちなみに, <1.5cmの腫瘤では検体不良率27%, 1.5-3cmでは16%, >3cmでは13%との報告もある(World J Surg (2008) 32:1253–1263).
フォローは?
・FNAで良性であったならばエコー所見に応じてフォロー間隔を決める
・エコーやFNAで良性と判断された無症候性の甲状腺腫瘍患者992例の前向きコホートでは, 5年間んフォローして69%が大きさは変わらず安定, 18.5%が縮小, 15.4%が拡大.
 経過中に甲状腺癌を診断したのは7例のみ. 
 結節の拡大リスク因子: 結節径, 数, 年齢, BMIがリスクとなる
| 
結節径 | 
結節数 | 
年齢 | 
BMI | 
OR | 
| 
≤7.5mm | 
1 | |||
| 
>7.5mm | 
1 | 
>51歳 | 
2.8[1.2-6.8] | |
| 
≤51歳 | 
4.9[2.1-11.2] | |||
| 
>1 | 
>43歳 | 
≤28.6 | 
6.1[2.6-14.2] | |
| 
>28.6 | 
13.4[5.5-32.6] | |||
| 
≤43歳 | 
20.7[8.6-50.1] | 
(JAMA. 2015;313(9):926-935. )
FNAが良性の場合のフォロー間隔
・USで高リスク群では12ヶ月以内のエコーフォローと再度FNAを行う
・USで低〜中リスク群では12-24ヶ月でエコーフォローし, 腫瘍が増大する場合はFNAを行う.
増大とは, 腫瘍径が20%以上増大するか, 容積が50%以上増大する, もしくは新たな悪性を示唆するエコー所見が出現する場合
・USで最低リスクでは24ヶ月以降のフォローでOK
また, 再度FNAを行った場合, その結果良性ならばそれ以上のFNAは必要なし.
FNAの適応とならない患者のフォロー間隔
・USで高リスク群では6-12ヶ月でフォロー
・USで低〜中リスク群では12-24ヶ月でフォロー
・USで最低リスク〜良性群で腫瘍径>1cmでは24ヶ月以降にフォロー
・USで最低リスク〜良性群で腫瘍径<1cmではフォロー必要なし.
・USで高リスク群では12ヶ月以内のエコーフォローと再度FNAを行う
・USで低〜中リスク群では12-24ヶ月でエコーフォローし, 腫瘍が増大する場合はFNAを行う.
増大とは, 腫瘍径が20%以上増大するか, 容積が50%以上増大する, もしくは新たな悪性を示唆するエコー所見が出現する場合
・USで最低リスクでは24ヶ月以降のフォローでOK
また, 再度FNAを行った場合, その結果良性ならばそれ以上のFNAは必要なし.
FNAの適応とならない患者のフォロー間隔
・USで高リスク群では6-12ヶ月でフォロー
・USで低〜中リスク群では12-24ヶ月でフォロー
・USで最低リスク〜良性群で腫瘍径>1cmでは24ヶ月以降にフォロー
・USで最低リスク〜良性群で腫瘍径<1cmではフォロー必要なし.
・甲状腺癌のリスク因子がある場合や, エコー上悪性様であるが, 径<1cmでFNAの適応となら無い場合は, 結節径が上記FNA適応を越えればFNAを行う.
甲状腺癌のリスク因子
(N Engl J Med 2015;373:2347-56.)
最近発表されたNEJMからの甲状腺結節についてのReviewにおけるフローチャート
(N Engl J Med 2015;373:2347-56.)


