ページ

2015年10月6日火曜日

リウマチ性多発筋痛症(PMR)のMRI所見

25例のPMR症例と, RA 43例, Control50例で肩と股関節MRIを評価. (Mod Rheumatol, 2015; 25(5): 761–767 )
Control群はFrozen shoulder, 腱板損傷, 石灰化性腱炎, OA, 非特異的滑液包炎, 仙腸関節炎, 特に異常を認めない症例を含む.

MRI所見の評価方法
・MRIによる滑液包炎, 滑膜炎はFluid貯留でスコア化して評価.
 0pt: 貯留なし, 1pt: 貯留が確認可能, 2pt: 中等度, 3pt: 壁が進展するほどの貯留
・腱板靭帯の肥厚は棘上筋腱の肥厚で評価.
 棘上筋腱は環状斜断, 矢状断でfat-saturated PDWIで評価し
 腱付着部から1cmの位置で腱の走行に垂直に測定. >6mmで肥厚ありと判断

・Tendinopathyや関節周囲炎はFS−PDWIで高信号で描出されることで定義

肩関節炎、関節周囲のFluid貯留の評価(スコア)
所見
PMR
RA
Control
肩峰下, 三角筋下滑液包
1.78±0.67*
1.36±1.00
1.24±0.78
上腕筋長頭腱鞘
1.52±0.67*
0.91±0.68
1.24±0.72
関節窩上腕関節
1.65±0.65*
1.23±0.75
1.04±0.73
合計
4.96±1.46*
3.55±1.84
3.52±1.23
*は有意差あり
股関節炎、股関節周囲のFluid貯留の評価(スコア)
所見
PMR
RA
Control
腸腰筋滑液包
1.33±1.21*
0.32±0.84
0.24±0.66
転子滑液包
0.67±0.82*
0.18±0.66
0.08±0.28
寛骨臼大腿骨関節
1.83±0.75
1.45±0.8
1.44±0.58
合計
3.83±2.32
1.95±1.24
1.72±0.89
*は有意差あり

所見
PMR
RA
Control
局所の骨異常所見(肩)
48%
50%
24%
局所の骨異常所見(股関節)
17%
27%
24%
関節周囲の高信号(肩)
61%
5%
8%
関節周囲の高信号(股関節)
67%
5%
24%
棘上筋腱肥厚
35%
0%
8%

・PMRはRAと比較して, 肩, 股関節の滑液包炎を呈する頻度が高い.
・骨の異常所見は有意差なし. RAに特異的な所見とも言い難い
・関節周囲組織の高信号所見はPMRで有意に多く認められる所見.
・棘上筋腱の肥厚所見もPMRで有意に多く, 特異的な所見と言える
 PMRで 5.77±1.52mm, 範囲は2.3-8.8mm
 RAで3.64±0.93mm, 範囲は2.3-5.6mm
 Controlで3.79±1.20mm, 範囲は2.0-7.0mm

画像所見の例
解説が青なのがPMR, 赤なのがRA