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2015年1月8日木曜日

体質性黄疸

体質性黄疸
Best Practice & Research Clinical Gastroenterology 24 (2010) 555–571 

肝障害や溶血に由来しない先天性の黄疸を体質性黄疸と呼ぶ.
 体質性黄疸にはDubin-Johnson, Rotor, Gilbert-Meulengracht, Crigler-Najjar syndromeが含まれる.
 主に間接ビリルビン(Unconjugated)が上昇するのがGilbert-Meulengracht, Crigler-Najjar syndromeであり,
 間接, 直接双方が上昇するのがDubin-Johnson, Rotor syndrome.

体質性黄疸の原因となる疾患
Gastroenterology 2014;146:1625–1638

Dubin-Johnson syndrome: 慢性経過の直接, 間接bil優位の上昇  類洞内のATP依存性輸送体であるABCC2をコードするABCC2遺伝子の異常が関連しており, 胆汁中の胆汁酸以外のOrganic anionの分泌が障害されている.
 男女差はなく, スペイン系ユダヤ人に多い.
 肝胆道系酵素, CBC, アルブミンは正常範囲であり, 肝硬変の進展リスクもない.
 ビリルビンは間接, 直接双方上昇し, 変動する(50:50%)
 ビリルビン値は2.9-5.8mg/dL程度まで上昇. 報告では23.4mg/dLもある

DJS診断に有用な検査
 尿中Coproporphyrin値: DJSではcoproporphyrin Iが80%を占めるが健常人ではcoproporphyrin IIIが75%を占める点で鑑別が可能
 肝生検は推奨されない

DJSの治療と予後
 予後は良好であり治療はない
 他の疾患の除外が重要となる.

Rotor syndrome: DJSと似ているが, 肝細胞の抱合型Bil保持能の低下により抱合型Bilが血中に漏出することが原因となる  常染色体劣性遺伝. OATP1B1/3遺伝子の異常
 DJSと同様, 肝胆道系酵素やCBCは正常
 肝生検でも組織異常は認められない.
 Bil値は2.9-5.8mg/dL程度まで上昇
 尿中Coproporphyrinは健常人の2-5倍に増加し, I型が65%をしめる. このパターン違いはDJSとの鑑別点となる.

治療もなく, 予後は良好.
 これもDJSと同様に他疾患の除外が重要となる.

非抱合型Bilが上昇する体質性黄疸 (Gilbert-Meulengracht, Crigler-Najjar syndrome)について  ビリルビンのグルクロン酸抱合に関わる遺伝子異常は多く, 白人の10%で認められる.
 GSやCNSではグルクロン酸抱合に関連する蛋白遺伝子の異常によりビリルビン代謝が困難となる病態(UGT1A1遺伝子).
 この蛋白活性の程度により黄疸の重症度も異なり, 重症例では肝硬変や脳症のリスクとなる. 
GSでは他に様々な遺伝子異常, 代謝異常が関連している報告もある。


またUGT1A1遺伝子異常は他に胆石や腫瘍, 心血管リスク因子となる.
GSやCNSの治療は重症度に応じてフェノバルビタール, 血漿交換, 肝移植が行われる。