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2014年8月11日月曜日

アルコール依存の評価

アルコール依存の評価
アルコール依存, リスクのある飲酒行為の評価には, CAGE Questionが有名
CAGE Question
 Cut Down; 減量しようとしたことはあるか
 Annoyed; 周囲の人から指摘されて, イライラしたことは
 Guilty; 飲酒に対して罪悪感を感じたことはあるか

 Eye opener; 二日酔いに対して, 朝起床時に向かい酒をするか
満たす項目数とリスクのある飲酒行為に対するLR
CAGE score
LR
0
0.14
1
1.5
2
4.5
3
13
4
101
JAMA; RATIONAL CLINICAL EXAMINATION

他にはAUDIT: Alcohol Use Disorders Identification Testがある
1. どの位の頻度で飲酒するか
(0)なし
(1)=<1/mo
(2)2-4/mo
(3)2-3/wk
(4)>=4/wk
2. 飲酒時は何杯程度飲むか
(0)1-2
(1)3-4
(2)5-6
(3)7-9
(4)>=10
3. 6杯以上1度に飲むのはどの位の頻度?
(0)なし
(1)<1/mo
(2)Monthly
(3)Weekly
(4)Daily
4. 過去1年間で, “一旦飲み始めると止まらないことを自覚したのは?
(0)なし
(1)<1/mo
(2)Monthly
(3)Weekly
(4)Daily
5. 過去1年間で, 飲酒のせいで しようと思ったことができなかったことは?
(0)なし
(1)<1/mo
(2)Monthly
(3)Weekly
(4)Daily
6. 過去1年間で, 二日酔い後の向かい酒の頻度は?
(0)なし
(1)<1/mo
(2)Monthly
(3)Weekly
(4)Daily
7. 過去1年間で, 飲酒に対して罪悪感, 後悔をしたことは?
(0)なし
(1)<1/mo
(2)Monthly
(3)Weekly
(4)Daily
8. 過去1年間で, 飲酒のせいで前夜のことが思い出せないことは?
(0)なし
(1)<1/mo
(2)Monthly
(3)Weekly
(4)Daily
9. あなた, もしくは他の人があなたの飲酒のせいで傷害を受けたことは?
(0)なし
(1)あるが, 1年以上前
(2)1年以内にある
10. 親族, 友人, 医師から飲酒を減らせとアドバイスされたことは?
(0)なし
(1)あるが, 1年以上前
(2)1年以内にある
過去1年以内で評価, >=8ptで依存ありと判断する

AUDIT-C(Consumption Question)
1. どの位の頻度で飲酒するか?
 1=ビール1, / ワイン1/ カクテル1/ スコッチ,ジン,ウォッカ1shot
(0)なし
(1)=<1/mo
(2)2-4/mo
(3)2-3/wk
(4)>=4/wk
2. 飲酒時は何杯程度飲むか
(0)1-2
(1)3-4
(2)5-6
(3)7-9
(4)>=10
3. 6杯以上1度に飲むのはどの位の頻度?
(0)なし
(1)<1/mo
(2)Monthly
(3)Weekly
(4)Daily
女性では≥3pt, 男性では≥4ptがCutoff
アルコールによる障害に対する感度73%, 特異度91%.
7-10ptはアルコール依存に対する感度86%, 特異度89%
N Engl J Med 2013;368:365-73.

T-ACE; Tolerance, Annoyed, Cut down, Eye opener
>=2ptでRiskありと評価

Tolerance; 酔っていい気分になるのは何杯くらい?
>2杯ならば2pt
Annoyed; 周囲に飲酒を注意され, いやな気分になる?
1pt
Cut down; 減酒の必要性を自覚したことは?
1pt
Eye opener; 二日酔いに向かい酒をすることは?
1pt

TWEAK; Tolerance, Worry, Eye opener, Amnesia, Cut down
>=3ptでHeavy/Problem DrinkerのRiskあり

Tolerance; 何杯まで飲酒するか?
  最初に飲酒の影響を自覚するのは何杯目?
>=6杯ならば2pt
>=3杯
ならば2pt
Worry; 家族から飲酒を心配されたことはあるか 
2pt
EYE; 二日酔いに向かい酒をすることは?
1pt
Amnesia; 飲酒後の早朝に,前夜のことを覚えていない
1pt
Cut down; 減酒の必要性を考えたことは
1pt
各評価方法の特性を評価したMeta(JAMA Rational Clinical Examination)
Outcome; At Risk, Harmful, Hazardous Drinking
成人
Sn(%)
Sp(%)
LR(+)
LR(-)
AUDIT-C >=8
40
97
12[5.0-30]
0.62[0.52-0.74]
AUDIT >=8
57-59
91-96
6.8[4.7-10]
0.46[0.38-0.55]
CAGE >=2(>60yr)
14
97
4.7[3.7-6.0]
0.89[0.86-0.91]
CAGE >=2
49-69
75-95
3.4[1.2-10]
0.66[0.54-0.81]
妊娠女性
Sn(%)
Sp(%)
LR(+)
LR(-)
TWEAK >=3
67[61-73]
92[91-93]
8.4
0.36
TWEAK >=2
91[87-94]
77[76-78]
4.0
0.12
T-ACE >=1
89[81-94]
75[70-79]
3.6
0.15
CAGE >=2
48[44-53]
93[92-93]
6.9
0.56
CAGE >=1
66[62-70]
81[81-82]
3.5
0.42
危険性の高い飲酒の評価では,AUDIT, AUDIT-Cが成人に適す
妊婦に対してはTWEAK, T-ACEが良い指標となる

Outcome; Alcohol Abuse, Dependence
成人
Sn(%)
Sp(%)
LR(+)
LR(-)
CAGE >=2


6.9[4.2-11]
0.33[0.25-0.43]
CAGE >=1


3.4[2.3-5.1]
0.33[0.25-0.43]
AUDIT >=8
66-71
85-86
4.6[3.5-6.1]
0.37[0.28-0.49]
女性
Sn(%)
Sp(%)
LR(+)
LR(-)
CAGE >=2
58[32-80]
93[90-95]
8.3
0.45
CAGE >=1
89[82-93]
83[79-86]
5.2
0.13
年齢>=60yr
Sn(%)
Sp(%)
LR(+)
LR(-)
CAGE >=2
13-82
82-99
5.2[3.0-9.0]
0.37[0.29-0.47]
CAGE >=1
79-98
56-88
2.6[1.5-4.5]
0.24[0.15-0.40]
AUDIT >=8
33
91
3.6[1.6-8.0]
0.75[0.58-0.90]
成人ではCAGE, AUDIT双方が有用
高齢者ではAUDITの感度が低下する傾向にある

どの指標を用いるべきか?
US Preventive Health Services Task Force Recommendations
Population
AUDIT
CAGE
TWEAK, T-ACE
Risky, Harmful Drinking
成人
×
×
 >=65yr
×
×
 妊娠女性
×
×
Alcohol Abuse, Dependence
成人
 >=65yr
 妊娠女性
×
×
妊娠女性にはTWEAK, T-ACEを
リスク評価にはAUDITを
依存性の評価にはなんでもOK

高齢者の評価は難しい という結論になる.