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2014年3月26日水曜日

バセドウ病

Graves' Disease, バセドウ病について
(NEJM 2008;358:2594-605)
甲状腺に対する自己免疫機序の疾患であり, IgG抗体がG-protein-coupled thyrotropin receptorに結合する.
 それが活性化刺激となり, 小胞性の過形成が亢進 ⇒ 甲状腺腫大, 甲状腺ホルモン産生増多(20-30%UP)を認める.

有病率0.5%, 甲状腺機能亢進症の50-80%を占める
 女性:男性 = 5-10:1
 40-60歳がピークだが、全年齢で起こる
 一卵性双生児で発症率は35%
 ストレスにて発症することが多い(敗血症, 出産など)

甲状腺機能亢進症の症状, 所見一覧

症状
所見
神経,
感情不安定, 不安, 混乱, 昏睡
るいそう, 反射亢進, 振戦, 周期性四肢麻痺
消化管
下痢, 排便亢進

生殖器
稀発月経, 性欲減退, 月経不正
女性化乳房, クモ状血管腫
甲状腺
頸部緊満, 圧痛
び漫性腫大, 雑音
心血管
動悸, 呼吸苦, 胸痛
Af, ST, CHF, Hyperdynamic precordium
皮膚
体毛減少
前頸骨部粘液水腫, 手掌紅斑
眼球
複視, 眼球過敏
眼球突出, 眼筋麻痺, 結膜充血

眼症状は30-50%で認められる
 画像所見では80%で陽性
 眼球突出, 眼窩周囲浮腫, 炎症, 露出性角膜炎, 光過敏, 外眼筋浸潤, Eyelid lag

粘液水腫は0.5%-4.3%で認められ, そのほとんどが眼症に合併する. 
 重度の眼症の13%に粘液水腫が合併し, 眼症は粘液水腫による突出であるとの考えも強い.

下肢の粘液水腫には様々なTypeがある
 Glycosaminoglycanが皮下組織に沈着し, それに伴いリンパ管の圧迫され, リンパ浮腫が起こる機序. これが最も多く, 甲状腺機能亢進症による皮膚症状の43%を占める.
 斑状(27%), 結節様(18%)の粘液水腫も認められる. 稀な病態として象皮症となることもあり(5%).
 軽症ならば治療は必要ないが,  重症の場合は中等度〜強ステロイド塗布にて治療する.

バセドウ病の血液検査所見
バセドウ病では T3/T4 >=20 のことが多く, その他の亢進症では T3/T4 < 15 であることが多い(Werner’s and Ingbar’s The thyroid. 9th edition)
 高血糖; catecholamineによるInsulin阻害, 糖新生, 
 Ca↑, ALP↑; 骨再吸収促進, 血液濃縮
 心電図; STは40%, Afは10%で認める

自己抗体所見
Thyrotropin-R Antibodies; Sn≒100%
 Thyrotropin-R-binding inhibition ⇒受容体刺激作用 or 抑制作用かの判別は不可能
 ・ 診断の手助け程度
 ・ 寛解時は減少するが, モニタリング必須ではない

 TSI ⇒Thyrotropin-R-stimulating activityに特異性がある
  費用はかかるが, 受容体刺激作用を証明できる

TPO Antibodies (Thyroid Peroxidase)(=ミクロゾーム抗体)
 45名の橋本病, 48名のGrave’s Disease患者で測定したところ, 58%, 65%で陽性. 健常人では8%.
 検出部位を変更することで 23% vs 53%と有意差を持って橋本病で有意に検出されるが, 両者の鑑別となる検査ではない (J of Clin Endocrinol Metab 1993;77:1098-101)

画像検査所見
超音波検査: 結節の有無も評価可能.
 びまん性腫大と血流増加がバセドウ病に特徴的な所見となる.
 反対に血流低下の場合は甲状腺炎を示唆するが, 実際は判断が困難なことも多い.

Radioiodine-uptake Scan
 Graves’ ⇒ 取り込みUP
 Thyroiditis ⇒ 取り込みDOWN
 Multinodular Toxic Goiter ⇒ 斑状Uptake など

Neck CT, MRI ⇒ 気道閉鎖, 閉塞の評価に使用
Orbital imaging ⇒ CT, MRI, US
 眼症状(+)のみに用いる. 悪化しない限りモニタリングも必要なし

バセドウ病の治療
抗甲状腺薬 or 放射線療法 or 外科手術があるが, 効果はどれも同じ

再燃率抗甲状腺薬(40%) > 放射線療法(21%) > 手術(5%)

抗甲状腺薬では寛解率 30-50%
 投与期間 >12M vs 6Mでは前者で寛解率が高い
 >18M vs 18Mの比較では有意差なし

β-blokcerは症状緩和に即効性◎
抗甲状腺薬は効果を認めるまで3-4wkかかる

抗甲状腺薬
 合成阻害(MMI), T4 → T3変換阻害作用(PTU)
 メチマゾール(MMI, メルカゾール®) 15 or 30mg PO
 プロピルチオウラシル(PTU, チウラジール®) 200-400mg/d bid,tid

副作用の観点から1st; MMT, 2nd; PTUを使用 (PTUは経直腸投与も可能)
 (妊婦や妊娠希望がある場合はPTUを優先)

薬剤動態 (N Engl J Med 2005;352:905-17.)
 経口投与後速やかに吸収され, 1-2hrで血中濃度はピーク.
 PTUの半減期は12-24hrであり, q8-12hr投与が必要.
 MMIの半減期は長く, 1日1回投与で治療可能.
 PTUの80-90%はAlbと結合. MMIは殆どがFree-MMIとして血中に存在.
 腎機能障害, 小児, 高齢者でのDose調節の必要無し.
 肝機能障害でも調節必要ないが, MMIの排泄は遅延する可能性がある.
 副作用の問題, 投与間隔の問題からMMIが1st choiceとなる.

MMIの初期投与量はTSHに応じて調節
 無顆粒球症はHigh DoseほどHigh riskとなる.
  30mg vs 15mg (0.814% vs 0.219%) (Thyroid. 2009 Jun;19(6):559-63) 
 FT4<7 ならばMMT 15mg/dから開始がBetter.(後述)

投与開始後のフォロー (N Engl J Med 2005;352:905-17.)
 4-6wk毎の甲状腺機能評価を継続. 投与開始後1-3moは2-3wk毎が推奨.
 大半の患者では4-12wk後には機能正常となる.
 TSHはT4正常化後, 数週〜数ヶ月は抑制され続けるが, 特にDose変更する必要無し. ただし, TSHが高値となる場合は減量を.
 その後は徐々に投与量を減量. MMI 5-10mg/d, PTU 100-200mg/dでコントロールできることが多い.

MMIの投与量はFT4値で決める
(J Clin Endocrinol Metab, June 2007, 92(6):2157–2162)
303名のGD患者のOpen-label RCT;
MMI 30mg/d vs PTU 300mg/d vs MMI 15mg/dで12wk比較.

FT4<1.7ng/dL達成率
@12wkのFT4<1.7達成率は MMI 30mg/d群 96.5%, PTU 300mg/d群 78.3%, MMI 15mg/d群 86.2%と, MMI 30mg/d群で良好.

初期FT4値でのSub-group analysis

FT4<7ng/dL群では, 12wkでのFT4<1.7達成率はMMI 30mg/dが有意差に良好となるが,
FT4≥7ng/dL群ほどの差は無し.

副作用はMMI 15mg群で有意に少なく, 軽度〜中等度のGD(FT4 ≤5ng/dL)ではMMI 15mg/dから開始とし, FT4≥7ng/dLでは30mg/dより開始.

FT4 5-7ng/dLは症状に応じて決定することが推奨される (バセドウ病薬物治療のガイドライン2006)

血中FT4 <1.7ng/dLに入った割合
@4wk
FT4 ≤5ng/dL
FT4 5-7ng/dL
FT4 ≥7ng/dL
MMI 30mg
60.4%
52.9%
38.5%
MMI 15mg
55.2%
17.4%
14.3%
 HR
0.91[0.76-1.10]
0.33[0.25-0.44]
0.37[0.30-0.47]
PTU 300mg
58.8%
31.3%
13.0%
 HR
0.97[0.79-1.21]
0.59[0.43-0.82]
0.34[0.27-0.43]


@8wk
FT4 ≤5ng/dL
FT4 5-7ng/dL
FT4 ≥7ng/dL
MMI 30mg
87.2%
88.9%
65.4%
MMI 15mg
87.9%
70.4%
25.9%
 HR
1.01[0.89-1.14]
0.79[0.63-0.99]
0.40[0.31-0.51]
PTU 300mg
88.2%
80.0%
33.3%
 HR
1.01[0.88-1.17]
0.90[0.70-1.16]
0.51[0.39-0.66]

@12wk
FT4 ≤5ng/dL
FT4 5-7ng/dL
FT4 ≥7ng/dL
MMI 30mg
100%
100%
87.0%
MMI 15mg
93.8%
87.0%
63.6%
 HR
0.94[0.89-1.00]
0.87[0.76-1.00]
0.73[0.57-0.93]
PTU 300mg
90.9%
80.0%
57.1%
 HR
0.91[0.82-1.00]
0.80[0.67-0.98]
0.66[0.51-0.85]

FT4 5-7ng/dLではMMI 30mg/dのほうが早く正常範囲に落ち着かせることが可能.
8wk後のFT4正常範囲の率は同等.
早期に落ち着かせたい場合はMMI 30mg/dが勧められる.

副作用頻度:

N
副作用頻度
薬剤変更
肝障害
皮疹
好中球減少
MMI 30mg
130
30.0%
21.5%
6.6%
22.3%
0
0.7%
PTU 300mg
104
51.9%
37.5%
26.9%
22.1%
4.8%
0
P

0.007
<0.001
0.972
0.016


MMI 15mg
137
13.9%
7.3%
6.6%
6.6%
0.7%
0
P

0.001
0.908
<0.001
>0.999


ヨウ化KとMMIを併用することで, 甲状腺機能正常化までの期間を短くできる
また, MMIの初期投与量も15mgに出来る可能性がある.
134例の未治療バセドウ病患者を4群に割り付け, 比較. (Clinical Endocrinology (2010) 72, 845–850)
① MMI 30mg
② MMI 30mg + ヨウ化K
③ MMI 15mg
④ MMI 15mg + ヨウ化K
ヨウ化Kは50mg錠を用い(ヨウ素38.2mg), FT4が正常化するまで投与し, その後は終了.
MMIは継続し, 徐々に減量. 5mg/2dの維持量で6ヶ月間正常が維持できれば終了とした.

薬剤終了後1年以上フォローし, 再燃を評価

アウトカム: FT3,FT4の正常化を達成した期間と割合

ヨウ化K使用群での使用期間の比較.
4-5年フォローでの再発率
再発率はヨウ化K併用群で高い印象もあるが, 有意差はなし.
ヨウ化K併用により, MMI 15mgでも迅速な甲状腺機能正常化が得られる.
ただしその分MMI投与期間は短くなるので再発リスクも高くなる可能性がある.

副作用:
 薬疹 2週間程度で出現, 軽症は抗ヒスタミンで対応,
    中等症ならば薬剤の中止を.
 肝障害 2ヶ月以内に発症, PTUで重症例が多い
 無顆粒球症 MMIでは投与量依存, >=30mg/dayで注意. PTUでは用量に無関係
       2か月以内の発症が多い, 投与群の0.1-0.3%

まれな副作用として, ANCA関連血管炎, 薬剤性ループス, 薬剤性筋炎がある

薬剤性ループスについては [Hospitalist ~病棟総合診療医~: 薬剤性ループス、血管炎について]を参照

抗甲状腺薬と筋炎.
 抗甲状腺薬自体で筋炎症状を来すことがある. また, 関節炎や皮疹を伴い, Lupus-like syndromeを呈する.
 薬剤と関係なく, 急激な甲状腺ホルモンの変化で筋肉痛, 筋けいれんを来す例もあり, その場合は治療開始後1-3ヶ月程度で生じることが多い.
 日本人での報告例が多い.

副作用 Major
頻度
備考
多関節炎
1-2%
Antithyroid arthritis syndrome
ANCA関連血管炎

無顆粒球症
0.1-0.5%
軽症はGraves disease自体であり
他の血液障害
血小板減少, Aplastic anemia
免疫性肝炎
0.1-0.2%
PTUで多い
胆汁うっ滞
MMIで多い
低プロトロンビン血症
PTUのみ. 殆ど無し
低血糖
Insulin-autoimmune syndrome
膵炎
1例のみ


副作用 Minor
頻度
備考
皮膚症状
4-6%
じんま疹, Macular reaction
関節痛
1-5%
関節炎の前駆症状の可能性もあり
消化管症状
1-5%

味覚, 嗅覚異常
MMIのみ
唾液腺炎
MMIのみ

(N Engl J Med 2005;352:905-17.)

副作用: 無顆粒球症
 無顆粒球症は最も重大な副作用
 自己免疫性であり, Antineutrophil cytoplasmic antibodyが関与.
 顆粒球<500/µLで定義. MMIでは0.35%, PTUでは0.37%の合併率.
 治療開始後90日以内で多いが, 開始後1年経過してからの発症, 再発時の再投与での発症の可能性もあるため注意が必要.
 また, 高齢者でよりHigh Riskとなる.
 Graves’ diseaseでは一過性の顆粒球減少(<1500/µL)を認めるため, 両者の区別が重要. 薬剤性はより重度となる.
 モニタリングにて顆粒球<1000ならば薬剤を中止, 1000-1500/µLならばClose monitoringを継続する.
 初発症状として最も多いのが発熱, 咽頭痛. 上記症状には十分注意すべき.
 顆粒球減少に対して, G-CSFを使用しても良い. 顆粒球数改善までの期間短縮効果が見込めるが, Evidence levelは低い (Q J Med 2001;94:423-28)

副作用: 肝障害
 頻度は0.1-0.2%.
 PTU使用例では, 一過性に肝酵素上昇(1.1-6ULN)を認めるため, 判別が困難な場合がある.
 PTU使用〜肝障害まで平均3ヶ月であり, その辺りのLFTには注意.
 肝障害は肝不全〜死亡と重度となることもある. 知謀率は25-50%.
 PTUではアレルギー性肝細胞障害パターンであり, MMTでは胆汁うっ滞性肝障害パターンをとる. MMIの方が頻度は低い.

抗甲状腺薬の治療期間
治療期間は12-18ヶ月が基本.
 18ヶ月と6ヶ月の比較では再発率 37% vs 58%と前者の方が再発率が低い.
 12ヶ月と18ヶ月では35% vs 41%と有意差なし.
 再発率を考慮すると治療期間は12ヶ月でよく, 18ヶ月以上治療継続する必要は無し.
 ただし, それでも再発率は30-40%と高値となる.
(Cochrane Database 2010, Issue 1: CD003420. DOI: 10.1002/14651858)

治療終了後も定期的なフォローが必要
 2ヶ月毎の甲状腺機能フォローを6ヶ月間は継続.
 その後は頻度は少なくて良いが, 定期的にフォローする.
 問題なければ1年毎のフォローでOK. 基本的に一生涯フォロー.
(N Engl J Med 2005;352:905-17.)

治療後の再発
Graves diseaseでは治療後の再発率30-50%と高値
 病状の重症度, 症状が強いほど再発のriskが高い.
 治療終了時の抗体価も再発予測に重要.
 陰性化していればほぼ再発しないと言えるが, 高値の場合は30-50%で再発を認める.
 再発は治療終了後3-6moで最も高頻度となり, その間は2ヶ月毎の甲状腺機能フォローが必要.
 1-2yrでは再発リスクは一定となる.
 女性例では出産後に再発を認めることも多い.

>=7yrのGraves’ Disease 51名を評価(小児のStudy)したところ, 抗甲状腺薬開始後2年以内に寛解に達したのは29%のみ,
 初期のFT4; 6.13(3.10) vs 9.86(7.54)ng/dL
 初期FT3; 431(175) vs 561(225)ng/dL
 3か月以内に寛解に達した症例; 82% vs 29%と,
 初期FT3, FT4が低値なほど, 治療開始後の反応が良いほど寛解率は高くなる 
(Pediatrics 2008;121:e481-8)

抗甲状腺薬治療後のThyrotropin-R Ab, TS-Abの陰性化は,再燃のRiskを低下させることが分かっている (J Clin Endocrinol Metab 1994;78:98-102)

TBII(-)
TSAb(-)
Odds Reduction
81%[73-87]
77%[54-83]


抗甲状腺療法 その他

授乳中の抗甲状腺薬は?
 胎盤通過性はMMI > PTU
 継続投与では差はなく, どちらでも良い
 血中:母乳比はMMIで1:1, PTU 10:1 → 授乳中はPTUが推奨される

無機ヨード (5-10滴 q8hr)
 経済的, 簡便, 低毒性, 甲状腺障害なしとGOOD
 5%ヨウ素, 10%ヨウ化K → 1滴に8mgのヨード
 作用は数週間で消失(5-7日). 抗甲状腺剤の効果発現までのつなぎに良い
 抗甲状腺薬の30-60min後に投与すること

Beta-blocker
 プロプラノロール(インデラル®)が推奨される
 60-80mg PO q4hr, 80-120mg q6hr (国内; 60mg/day)
 カテコラミン↑症状に対する対症療法となり, 2-3日で症状緩和
 抗甲状腺薬効果発現までのつなぎとして用いる
 T4→T3変換阻害作用あり. CHF, Asthmaには禁忌

ステロイド剤
 ハイドロコルチゾン 100mg q8hr
 プロプラノロールと同様, 末梢でのT4→T3変換阻害あり. 即効性のT3減少作用あり

放射線; Radioiodine(I-131) PO
 2-6M以内に80%がHypothyroidismを発症 ⇒ T4持続内服が必要となる
 急性放射性甲状腺炎などの副作用
 放射線治療3-7日前には抗甲状腺薬は中止

 欧米, 西欧では1st-line treatmentになり得る.
  また, 薬物療法にて再発した場合の治療選択の1つ.
  妊婦や授乳婦, 今後6mo以内の妊娠予定は使用できない.
  至適Doseは400-600MBq 1回投与が望ましい. それ以下では治療失敗が増加する.
  600MBqでは1年以内の治癒率が85%だが, 甲状腺機能低下が60%/yrと<600MBq群よりも増加する.
 効果が不十分ならば初回投与後6-12mo後に2回目を考慮.
 それまで4-6wk毎に甲状腺機能チェックを行う. また, 甲状腺機能正常となればその後定期的に機能チェックを継続する.

 UKでは放射線療法前に抗甲状腺薬を併用するが, USAでは抗甲状腺薬を併用せずに治療を行う.
 併用では症状緩和効果が見込めるため, 心疾患や症状が強い患者では併用を考慮しても良い.
 併用する場合は放射線療法前5-7dには投薬を中止する必要あり. 治療失敗のリスクとなり得る.

 甲状腺眼症患者には放射線治療は×
  放射線治療により眼症が増悪する可能性あり. 活動性が低ければステロイド投与しながら放射線療法を行うことも可能だが, 活動性が高い場合は避けた方が無難.
  その場合は高用量ステロイドを2ヶ月間投与.

外科手術; Thyroidectomy
 甲状腺機能低下, 喉頭神経損傷の頻度は 1%以下 (経験豊富な外科医で)
 外科手術の適応 (Endocrinol Metab Clin N Am 36 (2007) 617–656)
絶対適応
組織所見で悪性腫瘍の疑い
副甲状腺機能亢進症など, 他に手術が必要となる病態が合併.
Radioactive iodine ablationが困難な場合;
 妊娠, 授乳中, <16yrの小児
抗甲状腺薬に耐えられない場合
巨大な甲状腺腫で圧迫, 閉塞を来している場合
相対適応
重度の甲状腺眼症を合併している場合
コントロールが困難なバセドー病
6-12mo先に妊娠を希望している女性
頻回の外来フォローが困難な場合
Radioactive iodine ablationで効果不十分