(JAMA Neurol. 2019;76(5):580-587. )
単一施設において, 2013-2017年にSIHの精査を行われた患者のMRI所見を, ブラインドされた3名の読影医が評価
・患者は臥位で改善し, 起立時に増悪する頭痛で受診し, SIHの評価(画像, 髄液リーク)を行われた患者
・所見はSIH+CSFリーク, 起立性頭痛でリークなし, 健常コントロール群の3群で評価した.
・所見は9項目の定量評価所見, 7項目の定性評価所見を評価し,
SIH診断に寄与するスコアを作成.
スコアは前向きCohort(2017-2018年)にてValidationを施行した.
・評価項目:
定性的評価
静脈洞の拡張, 海綿間静脈洞の拡張, 硬膜造影, 中脳の下降, 脳表の鉄沈着, 硬膜下水腫, 下垂体上部の形(凸, 凹, 平坦)
定量的評価
下垂体高, 橋中脳角, 鞍上槽, 前橋槽, 中脳の下降, venous-hinge angle, 乳頭橋角, 中脳扁桃陥入, area cavum veli interpositi(中間帆腔)
SIH 56例, 起立性頭痛+リーク(-)が16例, Controlが60例
ValidationはSIH 20例で行われた.
Derivationにおける母集団
評価した画像所見より, SIH+リークに関連性が強いのは以下の6項目
これら所見よりスコアを作成
・5点以上はSIH+リークを強く示唆する
SIHにおける所見のシェーマ
太字はスコアで採用された所見
スコアのカットオフと感度, 特異度
-------------------------------
低髄圧症候群を疑った時の評価ポイントとして押さえておく.
単純MRIでも硬膜造影以外は評価できる.
特に専門は絞っていない内科医のブログ *医学情報のブログです. 個別の相談には応じられません. 現在コメントの返事がうまくかけませんのでコメントを閉じています. コメントがあればFBページでお願いします
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2019年5月18日土曜日
2019年5月15日水曜日
フェブキソスタット筋症
慢性+急性腎障害でCr 6台, UA 20mg/dLで入院した患者.
背景が不明で, 当初腫瘍崩壊症候群も視野にいれ, 緊急性もあるため, 大量補液+フェブキノスタット60mgを開始した.
結果的に高血圧緊急症であり, 降圧管理にて速やかに改善
(症例自体は以下参照:
http://hospitalist-gim.blogspot.com/2019/05/40.html
http://hospitalist-gim.blogspot.com/2019/05/40_11.html)
ところが, ほとんどのLabが改善する一方, 入院3-4日目からCKのみ単独上昇を認めた.
入院時400程度 → Day 3には6000, Day 5には3万台へ.
高血圧緊急症やTMAとCK上昇は直接的な関係は考えにくく,
その全てが電解質異常や原疾患が原因となる.
全身状態は改善しており, 上昇タイミングも遅い為, おそらくは他合併であろうと考えた.
そこで原因となり得るのは入院後開始したフェブキソスタット.
この薬剤を中止したところ, 2日後にはCKは9000台, その後速やかに正常化した.
------------------------------------
フェブキソスタットと筋症, 筋炎, 横紋筋融解症
あまり報告例はないが, 急性経過の報告では同様の症例があった.
CKD+高尿酸血症患者(73歳男性)において, アロプリノールからフェブキノスタットに変更後数日で筋力低下, CK 7000台の上昇, 精査にて下肢帯の筋炎所見を認めた症例報告
・薬剤の中止にて速やかにCK, 所見は改善
(Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics, 2014, 39, 328–330)
慢性経過の筋症, 筋炎, 横紋筋融解症については, 台湾より後ろ向き解析がある
(Clin J Am Soc Nephrol 12: 744–750, 2017.)
Xanthine oxidase阻害薬は主にアロプリノールとフェブキソスタットがあるが, 後者は肝代謝であり, 腎不全患者で使用しやすい.
・アロプリノールよりも副作用が少なく, 使用しやすい報告や意見もあるものの, 一部の患者で筋症状(筋痛~筋力低下, 筋けいれん, 横紋筋融解)の報告もある.
台湾において, Febuxostatを使用している1332例を後ろ向きに評価した報告.
・使用理由の大半は痛風でGFR<45mL/minのCKDがある患者や他の薬剤でUA<6.0mg/dLを達成できない患者
・薬剤を>1ヶ月使用した患者を対象とした
Febuxostat関連筋症の定義は, ACC/AHA/National Heart, Lung and Blood Institute Clinical AdvisoryのStatin関連筋症の定義を一部変更し, 以下のように定義.
・Febuxostat関連筋炎は筋症状+CK上昇(3-10ULN)で定義
・横紋筋融解症は筋症状 + CK>10ULNで定義
・筋症は上記2つを合わせたもの
アウトカム
・1332例で, Febuxostat使用期間は224日[86-441.5]
CKDは1222例(91.7%)で, eGFR 20.8mL/分[9.0-35.4]
・41例で使用後に筋症を認め, その全例でCKDを合併.
全体で3.1%, CKD患者の3.4%
・頻度はCKD患者のうち, 0.013[0.01-0.02]/100pt-日
(参考: スタチン関連筋症の頻度は, 0.097/100-年, Placebo群との比較では0.005/100-年の報告がある[Current Opinion in Lipidology 2007, 18:401–408])
筋症合併例と非合併例の比較
・筋症を認めるまでの期間は303日[166-515]と数カ月〜2年程度
筋炎と横紋筋融解症例
・筋炎が37例, 横紋筋融解症が4例
Febuxostat関連筋症のリスク因子
・eGFRが低いほど, 筋症のリスクになり得る.
eGFR<12.4mL/分は, ≥29mL/分と比較して, Adjusted ORは4.21
・また, Subグループ解析では,
<65歳の若年者の高度腎機能低下症例でリスクが高い.
StatinやFibrateの併用はあまりリスクにはなりにくい
--------------------------------
フェブキソスタットはスタチンと同様に筋症, 筋炎, 横紋筋融解リスクになりえる
特にCKD合併患者でのみ報告されており, eGFRが低いほどリスクも増加する可能性が高い
急性経過で生じる横紋筋融解症もあり, 覚えておくと良いかも
背景が不明で, 当初腫瘍崩壊症候群も視野にいれ, 緊急性もあるため, 大量補液+フェブキノスタット60mgを開始した.
結果的に高血圧緊急症であり, 降圧管理にて速やかに改善
(症例自体は以下参照:
http://hospitalist-gim.blogspot.com/2019/05/40.html
http://hospitalist-gim.blogspot.com/2019/05/40_11.html)
ところが, ほとんどのLabが改善する一方, 入院3-4日目からCKのみ単独上昇を認めた.
入院時400程度 → Day 3には6000, Day 5には3万台へ.
高血圧緊急症やTMAとCK上昇は直接的な関係は考えにくく,
その全てが電解質異常や原疾患が原因となる.
全身状態は改善しており, 上昇タイミングも遅い為, おそらくは他合併であろうと考えた.
そこで原因となり得るのは入院後開始したフェブキソスタット.
この薬剤を中止したところ, 2日後にはCKは9000台, その後速やかに正常化した.
------------------------------------
フェブキソスタットと筋症, 筋炎, 横紋筋融解症
あまり報告例はないが, 急性経過の報告では同様の症例があった.
CKD+高尿酸血症患者(73歳男性)において, アロプリノールからフェブキノスタットに変更後数日で筋力低下, CK 7000台の上昇, 精査にて下肢帯の筋炎所見を認めた症例報告
・薬剤の中止にて速やかにCK, 所見は改善
(Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics, 2014, 39, 328–330)
慢性経過の筋症, 筋炎, 横紋筋融解症については, 台湾より後ろ向き解析がある
(Clin J Am Soc Nephrol 12: 744–750, 2017.)
Xanthine oxidase阻害薬は主にアロプリノールとフェブキソスタットがあるが, 後者は肝代謝であり, 腎不全患者で使用しやすい.
・アロプリノールよりも副作用が少なく, 使用しやすい報告や意見もあるものの, 一部の患者で筋症状(筋痛~筋力低下, 筋けいれん, 横紋筋融解)の報告もある.
台湾において, Febuxostatを使用している1332例を後ろ向きに評価した報告.
・使用理由の大半は痛風でGFR<45mL/minのCKDがある患者や他の薬剤でUA<6.0mg/dLを達成できない患者
・薬剤を>1ヶ月使用した患者を対象とした
Febuxostat関連筋症の定義は, ACC/AHA/National Heart, Lung and Blood Institute Clinical AdvisoryのStatin関連筋症の定義を一部変更し, 以下のように定義.
・Febuxostat関連筋炎は筋症状+CK上昇(3-10ULN)で定義
・横紋筋融解症は筋症状 + CK>10ULNで定義
・筋症は上記2つを合わせたもの
アウトカム
・1332例で, Febuxostat使用期間は224日[86-441.5]
CKDは1222例(91.7%)で, eGFR 20.8mL/分[9.0-35.4]
・41例で使用後に筋症を認め, その全例でCKDを合併.
全体で3.1%, CKD患者の3.4%
・頻度はCKD患者のうち, 0.013[0.01-0.02]/100pt-日
(参考: スタチン関連筋症の頻度は, 0.097/100-年, Placebo群との比較では0.005/100-年の報告がある[Current Opinion in Lipidology 2007, 18:401–408])
筋症合併例と非合併例の比較
・筋症を認めるまでの期間は303日[166-515]と数カ月〜2年程度
筋炎と横紋筋融解症例
・筋炎が37例, 横紋筋融解症が4例
Febuxostat関連筋症のリスク因子
・eGFRが低いほど, 筋症のリスクになり得る.
eGFR<12.4mL/分は, ≥29mL/分と比較して, Adjusted ORは4.21
・また, Subグループ解析では,
<65歳の若年者の高度腎機能低下症例でリスクが高い.
StatinやFibrateの併用はあまりリスクにはなりにくい
--------------------------------
フェブキソスタットはスタチンと同様に筋症, 筋炎, 横紋筋融解リスクになりえる
特にCKD合併患者でのみ報告されており, eGFRが低いほどリスクも増加する可能性が高い
急性経過で生じる横紋筋融解症もあり, 覚えておくと良いかも
2019年5月11日土曜日
続 症例: 40歳台男性、意識障害
前 http://hospitalist-gim.blogspot.com/2019/05/40.html
というわけで, Spontaneous TLSを疑ったものの, 腫瘍が見つからず空振り.
TLSと同時に鑑別に挙げていたMAHA(Microangiopathic Hemolytic anemia)を考慮した.
ちなみにPLTは低値なものの, INR, APTTは正常範囲. D-dimer 高値からもMAHAを考慮
MAHAはTMA(thrombotic microangiopathy)とも呼ばれ, 微小血管の血栓症を呈する病態.
微小血管内の血栓症+溶血, 塞栓症症状を呈し, 主にTTPやHUS, atypical HUSなど含まれる.
主なTMA
*Complement-mediated TMAはいわゆるatypical HUSと呼ばれる.
Shiga toxin関連TMAがいわゆるHUS(ST-HUS)で, 他のTTP以外の病態は二次性HUSと呼ばれることが多い.
atypical HUSと二次性HUSは論文によっては一緒くたにされていることもあり.
・この症例では薬剤歴なし. 同様のTMA既往歴なし, 家族歴なし.
・低栄養や偏食もなし.
Vit B12欠乏や葉酸欠乏でもTMA様病態となるが, この場合は網赤血球が低下する(ほぼ全例でRPI<3を満たす)ものの, この患者では網赤血球は9万, RPI>3と増多していた.
(Transfusion and Apheresis Science 57 (2018) 102–106 )
・背景を探ると数年前より高血圧の指摘があるが放置.
眼底所見では高血圧性網膜症の所見がしっかりとあり,
エコーでは心臓の全周性のLVHが認められた.
救急の管理中にBP 220/150となることも多く, 高血圧性のMAHAを考慮した.
しかしながら末梢血での破砕赤血球は明らかではなかった.
・また, 意識障害については頭部MRIにて後頭葉のT2WI High Intensityを, 髄液検査では髄液タンパク150mg/dL. 細胞増多無しであり, 高血圧性のPRESを考慮した.
-------------
入院後, 前術のTLSを精査, 否定しつつ降圧療法を施行し, その12h後にはLDHやBilのピークアウト, PLTの上昇傾向が認められた.
補液により利尿もつき, それに伴いUAも有意に低下(24→15mg/dL).
血液濃縮が改善され, Hbは最終的に11台まで低下した.
その後も血圧管理を継続し, Crを除きLabは正常化, 状態は安定している.
上記経過より, 高血圧緊急症によるMAHA, PRESと判断した症例であった.
ちなみに, 補体は正常. ADAMTS13活性は病勢や経過から測定していない.
--------------------------
高血圧緊急症によるTMA
・高血圧緊急症でもTMAを生じるが, その数は少なくあまりまとまったデータも乏しい.
高血圧緊急症症例におけるTMA合併例と非合併例を比較した報告
(Clinical and Experimental Hypertension, 33(2): 77–83, (2011) )
・症状は頭痛や呼吸苦, 視覚障害が多い. 他には血痰など.
・重度の高血圧緊急症では高度腎障害を伴うが,
TMA合併の有無で異なるのはTMA合併例ではLDHがより高値, PLTが低下する点.
・また, TMA合併例のほうが血清アルドステロン値が高値となるデータもある(アルドステロン症を背景とする例が多い)
また, 最近高血圧性TMAにはatypical HUSを背景とするものがある報告が増えている
・高血圧性TMAと判断された8/17でCFH,CFI,MCP,C3遺伝子の変異あり(J Am Soc Nephrol 29: 2234–2243, 2018. )
もともと無症候性のaHUS素因がある患者で, 高血圧がトリガーとなってTMAが生じているのか, aHUS自体に高血圧を伴うバリアントがあるのかは現時点では不明. 今後あきらかになるかもしれない.
高血圧緊急症を伴うaHUSと伴わないaHUSを比較した報告
(Haematologica. 2019 Mar 19. pii: haematol.2019.216903. doi: 10.3324/haematol.2019.216903. [Epub ahead of print]
Impact of hypertensive emergency and complement rare variants on presentation and outcome of atypical hemolytic uremic syndrome.)
・高血圧緊急症を伴うaHUSでは神経障害が多く, 腎予後も悪い
--------------------------
TLSにしろMAHAにしろ、緊急性を伴う病態で, 突如救急でやってくる病態です.
外来で来たこともありました.
背景疾患もわからず, 症状も非典型的で, Lab異常が顕著, という感じで診療することが個人的に多く, 対応しつつ, できる検査を素早く行い, いざという時は血漿交換をためらわない姿勢が求められます.
その割には稀なので, 知識も抜けがち.
常に素振りしときたいところです.
というわけで, Spontaneous TLSを疑ったものの, 腫瘍が見つからず空振り.
TLSと同時に鑑別に挙げていたMAHA(Microangiopathic Hemolytic anemia)を考慮した.
ちなみにPLTは低値なものの, INR, APTTは正常範囲. D-dimer 高値からもMAHAを考慮
MAHAはTMA(thrombotic microangiopathy)とも呼ばれ, 微小血管の血栓症を呈する病態.
微小血管内の血栓症+溶血, 塞栓症症状を呈し, 主にTTPやHUS, atypical HUSなど含まれる.
主なTMA
*Complement-mediated TMAはいわゆるatypical HUSと呼ばれる.
Shiga toxin関連TMAがいわゆるHUS(ST-HUS)で, 他のTTP以外の病態は二次性HUSと呼ばれることが多い.
atypical HUSと二次性HUSは論文によっては一緒くたにされていることもあり.
・この症例では薬剤歴なし. 同様のTMA既往歴なし, 家族歴なし.
・低栄養や偏食もなし.
Vit B12欠乏や葉酸欠乏でもTMA様病態となるが, この場合は網赤血球が低下する(ほぼ全例でRPI<3を満たす)ものの, この患者では網赤血球は9万, RPI>3と増多していた.
(Transfusion and Apheresis Science 57 (2018) 102–106 )
・背景を探ると数年前より高血圧の指摘があるが放置.
眼底所見では高血圧性網膜症の所見がしっかりとあり,
エコーでは心臓の全周性のLVHが認められた.
救急の管理中にBP 220/150となることも多く, 高血圧性のMAHAを考慮した.
しかしながら末梢血での破砕赤血球は明らかではなかった.
・また, 意識障害については頭部MRIにて後頭葉のT2WI High Intensityを, 髄液検査では髄液タンパク150mg/dL. 細胞増多無しであり, 高血圧性のPRESを考慮した.
-------------
入院後, 前術のTLSを精査, 否定しつつ降圧療法を施行し, その12h後にはLDHやBilのピークアウト, PLTの上昇傾向が認められた.
補液により利尿もつき, それに伴いUAも有意に低下(24→15mg/dL).
血液濃縮が改善され, Hbは最終的に11台まで低下した.
その後も血圧管理を継続し, Crを除きLabは正常化, 状態は安定している.
上記経過より, 高血圧緊急症によるMAHA, PRESと判断した症例であった.
ちなみに, 補体は正常. ADAMTS13活性は病勢や経過から測定していない.
--------------------------
高血圧緊急症によるTMA
・高血圧緊急症でもTMAを生じるが, その数は少なくあまりまとまったデータも乏しい.
高血圧緊急症症例におけるTMA合併例と非合併例を比較した報告
(Clinical and Experimental Hypertension, 33(2): 77–83, (2011) )
・症状は頭痛や呼吸苦, 視覚障害が多い. 他には血痰など.
・重度の高血圧緊急症では高度腎障害を伴うが,
TMA合併の有無で異なるのはTMA合併例ではLDHがより高値, PLTが低下する点.
・また, TMA合併例のほうが血清アルドステロン値が高値となるデータもある(アルドステロン症を背景とする例が多い)
また, 最近高血圧性TMAにはatypical HUSを背景とするものがある報告が増えている
・高血圧性TMAと判断された8/17でCFH,CFI,MCP,C3遺伝子の変異あり(J Am Soc Nephrol 29: 2234–2243, 2018. )
もともと無症候性のaHUS素因がある患者で, 高血圧がトリガーとなってTMAが生じているのか, aHUS自体に高血圧を伴うバリアントがあるのかは現時点では不明. 今後あきらかになるかもしれない.
高血圧緊急症を伴うaHUSと伴わないaHUSを比較した報告
(Haematologica. 2019 Mar 19. pii: haematol.2019.216903. doi: 10.3324/haematol.2019.216903. [Epub ahead of print]
Impact of hypertensive emergency and complement rare variants on presentation and outcome of atypical hemolytic uremic syndrome.)
・高血圧緊急症を伴うaHUSでは神経障害が多く, 腎予後も悪い
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TLSにしろMAHAにしろ、緊急性を伴う病態で, 突如救急でやってくる病態です.
外来で来たこともありました.
背景疾患もわからず, 症状も非典型的で, Lab異常が顕著, という感じで診療することが個人的に多く, 対応しつつ, できる検査を素早く行い, いざという時は血漿交換をためらわない姿勢が求められます.
その割には稀なので, 知識も抜けがち.
常に素振りしときたいところです.
2019年5月9日木曜日
症例: 40歳台男性、意識障害
受診歴, 内服歴なし.
40歳台男性, 3日前からの体動困難, 食事摂取不良あり
搬送当日, 呼びかけへの反応不良, 見当識障害あり救急要請となった.
BP 168/120, HR 101reg, RR 22, SpO2 98%(RA), BT 37.6度
身体所見上は特記すべき所見なし.
項部硬直もなし. 脳神経所見も問題なし.
血液検査にて,
WBC 26000(Neu 84%), Hb 16.4g/dL, PLT 7.6万,
UA 24mg/dL, LDH 2300IU/L, AST/ALT 168/62, ALP/GGT 231/56, T-Bil 2.1mg/dL(D-bil 0.4)
BUN/Cr 63/6.2mg/dL, Na 148, K 3.2, Cl 98, P 4.3, Mg 3.2, Ca 9.2
CRP 1.3mg/dL
と, 著明な腎障害, LDH高値, UA高値を認めた.
エコーや身体所見にて溢水所見なし. 血液ガス検査ではアシドーシスなし, Lac 3.2程度.
-----------------------
著明なUA, LDHの上昇, 腎障害があり,
まず緊急性から, Tumor lysis syndromeを疑った.
Tumor Lysis Syndrome(TLS)
腫瘍細胞の崩壊による細胞内容物の漏出に伴う症候群
・高K血症, 高P血症, 低Ca血症, 高尿酸血症を来す.
・腫瘍細胞量の多い悪性腫瘍に対する化学療法がトリガーとなって生じることが主.
腫瘍は血液腫瘍(NHL, Lymphocytic leukemia, MM, AML, CML)の治療開始後での報告が主だが, 固形腫瘍でも増殖の速い肺小細胞癌, 精巣腫瘍, Neuroblastoma, 乳癌で生じ得る.
・治療関連では化学療法施行後12-72hで生じることが多い
・主に電解質異常による不整脈, 意識障害, 痙攣
高尿酸血症による腎障害
乳酸アシドーシスが主な病態. 致死的にもなりえる.
(J Family Med Prim Care. 2018 Sep-Oct;7(5):1116-1119.)
TLSの診断基準: Cairo-Bishop基準
化学療法におけるTLSのリスク因子
(Arch Pathol Lab Med. 2019;143:386–393)
TLSリスクと化学療法における対応
(Arch Pathol Lab Med. 2019;143:386–393)
TLSの対応
・電解質異常, 高尿酸血症に対して逐一対応. 全身管理を行う.
さて, 今症例では化学療法の既往はなく, 治療に関連するTLSではない.
治療に関係なく発症するTLSを「Spontaneous TLS」と呼び, その大半が血液腫瘍(急性白血病)
([West J Emerg Med. 2019;20(2)316–322.] )
・倦怠感や脱水, 痙攣, 不整脈, 悪心嘔吐を認め, 受診する
・ケースレポートでは消化管腫瘍や肺癌, 婦人科腫瘍, 前立腺癌などでの突発性TLSの報告はある
TLSが初発症状となった悪性腫瘍の3例のLab
(J Family Med Prim Care. 2018 Sep-Oct;7(5):1116-1119.)
・腫瘍はALL, Burkitt lymphoma, Plasma cell leukemia
・UAは非常に高値となり, 腎不全も高度. アシドーシスも強い.
1999-2002年に急性腎障害でChang Gung Memorial Hospitalを受診した患者を後ろ向きにReviewでは
(J NEPHROL 2004; 17: 50-56 )
・926例の急性腎障害患者のうち, Acute spontaneous TLSは10例で診断された(1.08%)
ASTLSはステロイドや化学療法の投与がない患者, UA高値, 尿中UA/尿Cr >1.0, LDH>500 U/L, 悪性腫瘍を認めた患者で診断.
・APTLS 10例のデータ
腫瘍は悪性リンパ腫が7例, 白血病, Leiomyosarcoma
・10例のLab. 透析を必要としたのは7/10であった.
-----------------------------
ということで, すぐに対応が必要なSpontaneous TLSを検討し, 即日以下検査を施行したところ
全身CT → Massなし
骨髄穿刺, 生検 → AMLや骨髄増殖性疾患を示唆する所見なし.
ということで空振り・・・
さてなんだろう。つづきは明日。
40歳台男性, 3日前からの体動困難, 食事摂取不良あり
搬送当日, 呼びかけへの反応不良, 見当識障害あり救急要請となった.
BP 168/120, HR 101reg, RR 22, SpO2 98%(RA), BT 37.6度
身体所見上は特記すべき所見なし.
項部硬直もなし. 脳神経所見も問題なし.
血液検査にて,
WBC 26000(Neu 84%), Hb 16.4g/dL, PLT 7.6万,
UA 24mg/dL, LDH 2300IU/L, AST/ALT 168/62, ALP/GGT 231/56, T-Bil 2.1mg/dL(D-bil 0.4)
BUN/Cr 63/6.2mg/dL, Na 148, K 3.2, Cl 98, P 4.3, Mg 3.2, Ca 9.2
CRP 1.3mg/dL
と, 著明な腎障害, LDH高値, UA高値を認めた.
エコーや身体所見にて溢水所見なし. 血液ガス検査ではアシドーシスなし, Lac 3.2程度.
-----------------------
著明なUA, LDHの上昇, 腎障害があり,
まず緊急性から, Tumor lysis syndromeを疑った.
Tumor Lysis Syndrome(TLS)
腫瘍細胞の崩壊による細胞内容物の漏出に伴う症候群
・高K血症, 高P血症, 低Ca血症, 高尿酸血症を来す.
・腫瘍細胞量の多い悪性腫瘍に対する化学療法がトリガーとなって生じることが主.
腫瘍は血液腫瘍(NHL, Lymphocytic leukemia, MM, AML, CML)の治療開始後での報告が主だが, 固形腫瘍でも増殖の速い肺小細胞癌, 精巣腫瘍, Neuroblastoma, 乳癌で生じ得る.
・治療関連では化学療法施行後12-72hで生じることが多い
Chemo後~出現
| ||
高K血症
|
6-72hr
|
腎不全で増悪
|
高P血症
|
24-48hr
|
腫瘍細胞中のP濃度は通常の3倍.高PがCaと結合し, 低Caを来す.また腎結石を生じ, 腎不全にも関与
|
高尿酸血症
|
尿細管内に結晶化し, 腎不全を来す
|
・主に電解質異常による不整脈, 意識障害, 痙攣
高尿酸血症による腎障害
乳酸アシドーシスが主な病態. 致死的にもなりえる.
(J Family Med Prim Care. 2018 Sep-Oct;7(5):1116-1119.)
TLSの診断基準: Cairo-Bishop基準
化学療法におけるTLSのリスク因子
(Arch Pathol Lab Med. 2019;143:386–393)
TLSリスクと化学療法における対応
(Arch Pathol Lab Med. 2019;143:386–393)
TLSの対応
・電解質異常, 高尿酸血症に対して逐一対応. 全身管理を行う.
さて, 今症例では化学療法の既往はなく, 治療に関連するTLSではない.
治療に関係なく発症するTLSを「Spontaneous TLS」と呼び, その大半が血液腫瘍(急性白血病)
([West J Emerg Med. 2019;20(2)316–322.] )
・倦怠感や脱水, 痙攣, 不整脈, 悪心嘔吐を認め, 受診する
・ケースレポートでは消化管腫瘍や肺癌, 婦人科腫瘍, 前立腺癌などでの突発性TLSの報告はある
TLSが初発症状となった悪性腫瘍の3例のLab
(J Family Med Prim Care. 2018 Sep-Oct;7(5):1116-1119.)
・腫瘍はALL, Burkitt lymphoma, Plasma cell leukemia
・UAは非常に高値となり, 腎不全も高度. アシドーシスも強い.
1999-2002年に急性腎障害でChang Gung Memorial Hospitalを受診した患者を後ろ向きにReviewでは
(J NEPHROL 2004; 17: 50-56 )
・926例の急性腎障害患者のうち, Acute spontaneous TLSは10例で診断された(1.08%)
ASTLSはステロイドや化学療法の投与がない患者, UA高値, 尿中UA/尿Cr >1.0, LDH>500 U/L, 悪性腫瘍を認めた患者で診断.
・APTLS 10例のデータ
腫瘍は悪性リンパ腫が7例, 白血病, Leiomyosarcoma
・10例のLab. 透析を必要としたのは7/10であった.
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ということで, すぐに対応が必要なSpontaneous TLSを検討し, 即日以下検査を施行したところ
全身CT → Massなし
骨髄穿刺, 生検 → AMLや骨髄増殖性疾患を示唆する所見なし.
ということで空振り・・・
さてなんだろう。つづきは明日。
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