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2022年2月10日木曜日

抗ARS抗体陽性のILD症例. 抗体別の特徴は?

 抗ARS抗体: Antiaminoacyl-transfer RNA synthetase抗体.

・抗Jo-1抗体(抗histidyl−tRNA-synthetase), PL7抗体(抗threonyl-), PL12抗体(抗alanyl-), OJ抗体(抗isoleucyl-), 抗EJ抗体(抗glycyl−tRNA-synthetase), 抗KS抗体, 抗Wa抗体など含まれる

・抗ARS抗体が陽性となる疾患群はASS(Antisynthetase syndrome)や抗ARS症候群と呼ばれる.

・ASSは間質性肺疾患, 炎症性筋症, レイノー現象 ± 機械工の手を特徴とする自己免疫性疾患


日常診療で検査可能な「抗ARS抗体」には5種類の抗体を評価する検査方法.

・含まれるものは抗Jo-1抗体, 抗PL-7抗体, 抗PL-12抗体, 抗EJ抗体, 抗KS抗体.

・自費検査になるが, 各個別の抗体を評価することも可能. 3万円くらい.


抗ARS抗体が陽性となったILD症例において, 個別の抗体間でどのような違いがあるのだろうか?


北京Chaoyang Hospのリウマチ膠原病科において,
2017年1月〜2019年6月に診療した抗ARS抗体陽性のILD症例 84例を後ろ向きにReview

(Medicine 2021;100:19(e25816).)

・抗Jo-1抗体が36例で最多(43%), 


 次いで抗PL-7抗体(26%), 抗EJ抗体(14%), 抗PL-12抗体(11%), 抗OJ抗体(6%)と続く

・抗Jo-1抗体や抗PL-7抗体陽性例では,
 筋炎や関節炎, 機械工の手, レイノーなどASSで認められる筋炎や皮膚関節所見を伴いやすい.

・抗PL-12抗体陽性例では, 筋炎や関節炎は少ない.

・抗OJ抗体陽性例ではほぼそれら所見は認められず.


画像所見

・抗Jo-1抗体, 抗PL-7抗体, 抗EJ抗体例ではNSIPパターンが最も多い

・抗PL-12抗体例ではOPパターン

・抗OJ抗体例ではUIPパターンが主となる.


画像所見の経過

・増悪傾向となりやすいのは抗Jo-1抗体や抗PL-7抗体陽性例.

 一方で改善する傾向があるのもその2つ.

 他は一定の経過であることが多い.


前述の北京Chaoyang Hosp.の呼吸器科, 集中治療科において, 2017年12月〜2019年3月に診療した抗ARS抗体陽性ILD患者 108例を後ろ向きにReview

(BMC Pulm Med (2021) 21:57)

・抗Jo-1抗体陽性例が33例で最多,


 次いで抗PL-7抗体 30例, 抗EJ抗体 23例, 抗PL-12抗体 13, 抗OJ抗体 9

・機械工の手は抗Jo-1抗体で半数以上で認められる.
 皮膚所見陽性例は抗Jo-1抗体,  抗EJ抗体例で多い

・抗Ro-52抗体陽性合併は抗Jo-1抗体, 抗EJ抗体陽性例で多い

CTパターンは,

・抗Jo-1抗体ではOP > NSIPが主.

・抗PL-7抗体はNSIPが多いが, UIPパターンも認められ,
 治療反応性も最も悪い.

・抗EJ抗体はOPパターンがおよそ8割を占める

・抗PL-12抗体ではNSIP > OPパターン

・抗OJ抗体ではOPパターンが主.


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抗ARS抗体陽性のILD症例の特徴としては,

・画像所見はOPやNSIPとなることが多い.

 抗体間で傾向性はありそうだが, ばらつきもありなんとも.

 UIPとなりえるのは抗PL-7抗体や抗OJ抗体.

・機械工の手や筋炎, 皮膚筋炎に関連した皮膚症状が多いのは抗Jo-1抗体と抗EJ抗体, 抗PL-7抗体

 逆にそれらが少ないのは抗PL-12抗体, 抗OJ抗体

・ILDの進行リスクが高そうなのは抗Jo-1抗体や抗PL-7抗体.


という傾向があるか