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2021年6月6日日曜日

不思議の国のアリス症候群

 Alice in Wonderland Syndrome

自己認識と外界との間にアンバランスが生じ,
 自分の身体のサイズ(全体, 部分的)を誤って認識したり,
 外界の空間を誤って認識したりする現象.

・頭が大きい, 手が大きい, 体全体が小さい/大きいなど,
 不思議の国のアリスのような世界観となるため,
 Alice in Wonderland Syndrome(AIWS)と呼称される.

・体性感覚の知覚症状のみのType A(9%程度)


 視覚的な錯覚のみのType B(75%程度)

 
両者が共存するType C(16%程度)に分類される

・側頭頭頂-後頭葉の交点(Temporoparietal-occipital carrefour)が関連している可能性が示唆されている

(Biomed Res Int. 2016;2016:8243145.)


AIWSで経験する可能性がある視覚的症状(メタモルフォーゼ)

(Neurol Clin Pract 2016;6:259–270)

・色の認識の異常: 白黒に見える, 単一色で見えるなど.

 物体の認識の異常: 
 動きが認識できない, 
 表面の皺が認識できない,  細かい部分が強調されるなど
, 輪郭が強調される, 波打つように見える
, 距離や大きさを誤認する, 平坦に見える, 長く見える
, 複眼のように物体が複数に見える
, ずれて見える・・・など様々な視覚症状がある.


・特に報告頻度が高いものは, 

 色の認識の異常,


 線や輪郭が波を打って見える


 物体が動いているように見える


 ものが実際よりも大きく/小さく見える


 ものが実際よりも遠く見える, といった症状


AIWSで経験する可能性がある身体, 非視覚的症状

(Neurol Clin Pract 2016;6:259–270)


・身体の一部が占める空間を誤って認識する(大きく/小さく)
, 身体の一部が大きく/小さく自覚する
, 身体の全体が大きく/小さく自覚する, 周辺環境/自分自身の現実感の消失
, 空気のなかを漂っているような感覚, 心理的時間の加速/減速
, 体が2つに分かれる感覚(通常, 真ん中から下部で分かれる)といった症状.

・特に報告の頻度が高いのは,

  現実感の喪失, 


 身体の一部/全体のサイズの変化


 心理的時間の加速


AIWSの原因: 成人では片頭痛やてんかん, 小児ではEBV感染症での報告が多い


169例の症例報告のReview

(Neurol Clin Pract 2016;6:259–270)

・原因は大きく8つのカテゴリーに分類される;

・感染症: 小児の原因の21.7%. 特にEBV感染症での報告が多い.


 CNS病変: 全体の7.8%
PNS病変


 発作性神経疾患: 全体の31%. 特に片頭痛が27.1%. 成人で特に多い


 精神疾患


 薬剤性


 違法薬物, 毒物


 その他



成人の片頭痛患者におけるAIWSの調査
(Cephalalgia. 2021 Apr;41(5):515-524. doi: 10.1177/0333102420968245.)
・頭痛クリニックを始めて受診した患者全例でAIWSについて調査.
・1.5年間に210例が受診し, このうち40例で1回以上のAIWSエピソードが認められた.
・このうち, 38/40が前兆を伴う片頭痛であった.
・31例が頭痛の1h以内にAIWSを認めている.
・AIWSの持続時間は40分(5分〜4時間まで)

AIWSの症状
・身体の認識サイズの異常, 視覚上のサイズ, 距離の異常が多い
 複数の症状を伴うものが90%