神経診察、人工呼吸器Weaningを行うことを "Daily interruption of sedation"と呼ぶ.
もしくはSAT(Spontaneous Awaking Test)と呼ぶ.
その際呼吸器設定をA/C, SIMVからCPAPやPSのみ, T-tubeに変更し, 経過観察し,
問題なければ抜管を施行する流れとなる.
鎮静を中断し, そのままストレスがなければオフのまま. ストレスが強い場合は元の量の半量から開始する. ストレスとは頻脈, 血圧変化, 呼吸数変化, 焦燥感等で判断.
128名の人工呼吸器管理中 & 鎮静中の患者を, Intervention群(Daily interruption) vs Control群(必要時にSedationを中断)に割り付けたRCT. (NEJM 2000;342:1471-7)
結果は,
Outcome
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Intervention
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Control
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P
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人工呼吸管理期間(d)
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4.9[2.5-8.6]
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7.3[3.4-16.1]
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0.004
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ICU滞在期間(d)
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6.4[3.9-12.0]
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9.9[4.7-17.9]
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0.02
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Midazolam平均速度(mg/kg/hr)
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0.032[0.02-0.05]
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0.054[0.03-0.07]
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0.06
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Propofol平均速度(mg/kg/hr)
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1.9[0.9-2.6]
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1.4[0.9-2.4]
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0.41
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呼吸器管理期間やICU滞在期間は有意に短縮される.
ICUで人工呼吸管理中の430名のRCT. (JAMA 2012;308:1985-1992)
Opioid and/or BenzodiazepineでLight sedationに維持する群(呼びかけで体動, 開眼する程度)
vs. 上記+毎日鎮静offとし, 覚醒. 覚醒後ストレスが無い場合はそのまま鎮静はoffとし, 再開する場合は半量から開始.
●抜管のアセスメントは毎日以下をチェック.
覚醒, 吸引時に咳嗽あり, PaO2>60mmHg, Sat≥90%, FiO2 ≤0.4, PEEP≤10, RR≤35, 換気量≤15L/min, カテコラミン使用(-), 虚血性心疾患無いことを満たした状態で,
●アシストoffを1時間施行し, 以下を満たさなければ抜管.
RR≥35, Sat<90%, HR>140, ΔHR >20%, sBP<90, >180, 発汗, 不安出現.があれば中断.
結果は,
Daily interruption
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Light sedationのみ
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抜管までの期間(d)
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7[4-13]
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7[3-12]
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HR 1.08[0.86-1.35]
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ICU滞在期間(d)
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10[5-17]
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10[6-20]
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MD -3.17[-6.89~0.55]
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ICU死亡率
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23.4%
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24.9%
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RR 0.94[0.67-1.32]
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院内死亡率
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29.6%
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30.1%
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RR 0.98[0.73-1.31]
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ARDS
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41.8%
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37.3%
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RR 1.12[0.88-1.42]
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カテコラミン使用
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56.8%
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62.2%
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RR 0.91[0.78-1.07]
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腎透析
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23.5%
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17.7%
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RR 1.33[0.91-1.94]
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自己抜管
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4.7%
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5.8%
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0.82[0.36-1.84]
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体幹抑制
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76.4%
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79.4%
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RR 0.96[0.87-1.07]
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せん妄
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53.3%
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54.1%
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RR 0.98[0.82-1.17]
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再挿管(<48h)
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5.6%
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7.7%
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RR 0.73[0.35-1.50]
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気管切開
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23.2%
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26.3%
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RR 0.88[0.63-1.23å]
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両者で挿管期間, ICU滞在期間, 合併症, 予後に有意差は無かった.
現在SAT→SBT(spontaneous breathing test)の流れが一般的となっているが,
Light sedationに維持可能ならばそのままでアセスメントし, SBTに繋げるという手もあるということか。
問題はLight sedationに維持することが結構難しく, アメリカのICUは1ベット1人の看護師が付くが、日本ではそうはいかない。必然的にSedationの量が増加し、過鎮静となってしまうこともしばしばある。
そういう背景ではSATで毎日鎮静をリセットする方が合っているように思える。
増えすぎた鎮静剤も減らせるし。