視神経は頭蓋内と交通しているため, 頭蓋内圧亢進において視神経の所見は出やすい.
一般的なものは視神経乳頭浮腫だが, 実際はこの所見は急性期では出ず, 臨床上使用できるかどうかは怪しいこともある.
そこで、眼球エコーによる視神経鞘径(ONSD)の拡大が注目されている.
ONSDの測定方法
閉眼状態で, 上眼瞼にゼリーと塗布し, 体表エコープローブを用いて評価.(7.5-15Hz)
頭蓋内圧正常の患者群ではONSDは5mm以下であり, 5mmを超える場合は頭蓋内圧亢進ありと判断. 感度 88%, 特異度 93%.
以下はEvidence;
31名の重症頭部外傷(GCS≤8), 持続ICPモニター必要な患者と31名のControl患者でONSDを評価(prospective, single blinded). (Intensive Care Med (2007) 33:1704–1711)
7.5MHzのLinear probeを使用し, 眼瞼の上からエコーを施行.
ICP亢進の定義は最初の48hrで30分以上のICP >20mmHgが持続.
Outcome; 31名中ICP亢進は15例.
Group
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ONSD
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重症外傷+ICP正常 16名
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5.1±0.7mm
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重症外傷+ICP亢進 15名
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6.3±0.6mm
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Control 31名
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4.9±0.3mm
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ER, 神経内科ICUの患者で持続ICPモニターをしている15例のProspective blinded cohort.
計38回の眼エコーを行い, ONSDとICPの関連を評価.
ICP>20mmHgを頭蓋内圧亢進と定義. (ACADEMIC EMERGENCY MEDICINE 2008; 15:201–204)
ONSDのカットオフと頭蓋内圧亢進に対する感度, 特異度は
ONSD
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Sn
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Sp
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>5.0mm
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88%[47-99]
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93%[78-99]
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>4.5mm
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100%
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63%
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補足ですが、ICP 20mmHgとは27cmH2Oになります。
髄膜炎や脳炎でそこまでICPが上昇すれば分かるかもしれませんが、そういうことはあまり無いのでそのような疾患では使えそうも無いですね。
ICUや在宅ですぐにCTに動かすのが難しい人、透析中患者の意識障害とかでは使えるかも。
あとは、『血圧が高いんです』というよくある主訴で救急を受診した患者で高血圧緊急症評価に使えるかもしれません。