Clin Infect Dis 2012;55:930
1997-2010年に台湾の大学病院にて治療された壊死性筋膜炎134例のRetrospective cohort.
134例のうち88例が単一菌の感染症。内訳は,
Monomicrobial
|
|
Polymicrobial
|
|
Streptococcus pyogenes
|
12%
|
嫌気/好気の混合
|
15%
|
Klebsiella pneumoniae
|
11%
|
その他
|
10%
|
MRSA
|
8%
|
|
|
MSSA
|
6%
|
培養陰性
|
14%
|
Vibrio vulnificus
|
7%
|
|
|
Escherichia coli
|
4%
|
|
|
Aeromonas hydrophilia
|
4%
|
|
|
その他
|
13%
|
計
|
100%
|
と, Klebsiella pneumoniaeとS pyogenesがほぼ同等の頻度.
K-Pによる壊死性筋膜炎とS pyogenesによるものの比較では, その発症年齢, 性別, 症状に大きな差は無し。四肢切断率も同等。
K-Pでは80%が血液培養陽性となる一方, S pyogenesでは31%と低頻度,
また, K-Pでは遠隔部位の膿瘍形成が27%で認められる(脳, 肝, 肺, 腎, 腹腔内)一方, S pyogenesでは遠隔部位の膿瘍は認めなかった点で差を認めた。
ちなみに, アジアのKlebsiella pneumoniaeは欧米と異なり, ムコイドタイプが多く, 毒性も高い。従って肝膿瘍や全身の膿瘍形成を来す事があり得る。文献での報告例もほとんどがアジア地域での報告となる。
このStudyではムコイドタイプは8/10とやはり高い。遺伝子異常も認められた。
一応, 肝膿瘍やこの様に全身に播種しえるムコイドタイプのK-P感染症の場合は10-15%で眼内炎を伴う報告もあり, 機能予後の面からはチェックが必要となる。
ムコイドタイプのチェック方法は, 培養コロニーをすくって, 5mm以上の粘液糸を認めればその可能性が高いと判断できる。(Clin Infect Dis 2012;54:303)