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2012年9月9日日曜日

アジアの壊死性筋膜炎ではKlebsiella pneumoniaeも重要

壊死性筋膜炎の起因菌の代表例は溶連菌だが, アジアではKlebsiella pneumoniaeも同等に多い原因菌らしい

Clin Infect Dis 2012;55:930

1997-2010年に台湾の大学病院にて治療された壊死性筋膜炎134例のRetrospective cohort.
134例のうち88例が単一菌の感染症。内訳は,


Monomicrobial

Polymicrobial

Streptococcus pyogenes
12%
嫌気/好気の混合
15%
Klebsiella pneumoniae
11%
その他
10%
MRSA
8%


MSSA
6%
培養陰性
14%
Vibrio vulnificus
7%


Escherichia coli
4%


Aeromonas hydrophilia
4%


その他
13%
100%


と, Klebsiella pneumoniaeとS pyogenesがほぼ同等の頻度.

K-Pによる壊死性筋膜炎とS pyogenesによるものの比較では, その発症年齢, 性別, 症状に大きな差は無し。四肢切断率も同等。
K-Pでは80%が血液培養陽性となる一方, S pyogenesでは31%と低頻度,
また, K-Pでは遠隔部位の膿瘍形成が27%で認められる(脳, 肝, 肺, 腎, 腹腔内)一方, S pyogenesでは遠隔部位の膿瘍は認めなかった点で差を認めた。

ちなみに, アジアのKlebsiella pneumoniaeは欧米と異なり, ムコイドタイプが多く, 毒性も高い。従って肝膿瘍や全身の膿瘍形成を来す事があり得る。文献での報告例もほとんどがアジア地域での報告となる。
このStudyではムコイドタイプは8/10とやはり高い。遺伝子異常も認められた。

一応, 肝膿瘍やこの様に全身に播種しえるムコイドタイプのK-P感染症の場合は10-15%で眼内炎を伴う報告もあり, 機能予後の面からはチェックが必要となる。
ムコイドタイプのチェック方法は, 培養コロニーをすくって, 5mm以上の粘液糸を認めればその可能性が高いと判断できる。(Clin Infect Dis 2012;54:303)