尿中タンパク量/尿中Cre 比を PCRと呼ぶ.
これは1日にCreが1g排泄されることを前提に尿中タンパクを推定する方法で, 随時尿PCRと24時間蓄尿によるタンパク尿の一致率は90-93%と非常に高い.
ネフローゼ症候群で大量のタンパク尿を認める場合も一致率89-94%と有用とされている
(Curr Opin Nephrol Hypertens 2008;17:600-603)
1日のCre排泄量が1gということは, 慢性腎不全患者では使用できない可能性があるが,
98名の非DM性慢性腎障害患者でPCR, 24時間蓄尿によるタンパク評価を比較したところ,
Cre 2程度, GFR 35-50程度ならば一致率は良好であった (BMJ 1998;316:504-9)
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全体
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PCR lowest
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PCR Middle
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PCR Highest
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PCR
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2.5[0.2-11.0]
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1.0[0.2-0.7]
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2.2[1.7-2.7]
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4.2[2.7-11.0]
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24hr蛋白尿
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2.8(1.9)
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1.3(0.7)
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2.9(1.6)
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4.3(1.9)
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Cre値(mg/dL)
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2.1(0.9)
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1.9(0.9)
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2.0(0.9)
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2.4(1.0)
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GFR
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48.6(20.8)
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54.9(19.4)
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53.5(21.6)
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35.8(15.8)
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安定したCKD患者145名において24時間タンパクと朝9時に評価したSpot尿のPCR変動(連日評価)を比較(Am J Kidney Dis 2012;60:561-566)
母集団のeGFRは,
≥60 32%,
30-60 44%,
15-30 22%,
<15 2%
PCRの変動; 日別のPCR一致率の評価;
PCR自体の変動は少なく, ほぼ一致する. PCRが高値ではそれなりに変動も大きい傾向.
24時間蓄尿のタンパク量とPCR値
24時間タンパク尿 と 初期のPCR値, 複数回測定したPCR値の範囲の表.
大まかには一致しているものの, やはりバラツキは大きい.
%のバラツキはタンパク尿が少ない程大きくなるが, 絶対値のバラツキは少ない.
タンパク尿が多い程絶対値のバラツキは大きい.
PCRでフォロー、評価する場合は複数回評価し, 平均値をとることが重要.
それよりも可能ならば最低一度は24時間蓄尿はすべきなのであろう.