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2012年7月9日月曜日

脳梗塞による構音障害

脳梗塞による構音障害は8-30%で認められる.
(NEUROLOGY 2001;56:1021–1027)
構音障害単独の脳梗塞は全体の1.5%程度. 
(J Neurol Neurosurg Psychiatry 2004;75:231–234)


脳梗塞による構音障害 101例の解析では, 
全脳梗塞(1160例)中 8.7%が構音障害(+).
構音障害のみの場合(Isolated dysarthria)は15例. 全脳梗塞中 1.3%の頻度.

(Cerebrovasc Dis 2007;23:331–338)

脳梗塞のタイプは半数以上がラクナによるもの.
病変部は, テント上が45.6%, テント下が54.4%程度と大体半々となる.
(NEUROLOGY 2001;56:1021–1027)
Etiology

ラクナ梗塞
52.9%
心原性塞栓
11.8%
アテローム性
4.4%
その他(血管炎等)
2.9%
混合性
19.1%
不明
8.8%


脳梗塞の部位と他に合併する症状
(68例の解析; NEUROLOGY 2001;56:1021–1027)
他の症状
テント上(31)
脳幹(23)
小脳以外(54)
小脳(6)
小脳+脳幹(8)
Total(68)
錐体路徴候
27
22
90.7%
-
2
75.0%
中枢性顔面麻痺
20
19
72.2%
-
1
58.8%
上肢麻痺
19
21
74.1%
-
1
60.3%
下肢麻痺
13
19
59.2%
-
1
48.5%
歩行失調
4
9
24.1%
4
8
36.8%
姿勢失調
3
8
20.4%
4
8
33.8%
片側感覚鈍麻
9
5
25.9%
-
3
25.0%
中枢性舌麻痺
6
9
27.7%
-
-
22.1%
四肢失調
1
5
11.1%
2
5
19.1%
眼振
-
1
1.8%
1
4
8.8%
中枢性口蓋麻痺
1
1
3.7%
-
1
4.4%
核間眼球運動麻痺
-
-
-
-
2
2.9%
嚥下障害
-
1
1.8%
-
1
2.9%
ホルネル徴候
-
2
3.7%
-
-
2.9%

(101名の解析; Cerebrovasc Dis 2007;23:331–338)

テント上(63)
脳幹(21)
テント下(7)
小脳(4)
小脳, 脳幹(6)
Total(101)
Pure dysarthria
12
-
1
-
2
15
錐体路徴候
46
21
6
-
6
79
中枢性顔面麻痺
42
21
6
-
5
74
上肢麻痺
40
16
6
-
4
66
下肢麻痺
38
12
6
-
4
60
片側感覚障害
8
2
2
-
1
13
歩行失調
3
7
-
3
4
17
舌麻痺
2
5
-
-
-
7
測定障害
1
1
-
4
3
9
眼振
-
2
1
1
3
7
眼球運動障害
-
3
1
-
-
4
視野障害
2
2
1
-
-
5
嚥下障害
2
6
1
-
1
10
ホルネル徴候
-
2
1
-
-
3

構音障害を来す脳梗塞部位



Isolated Dysarthriaを来した例はいずれもラクナ梗塞で, そのほとんどがテント上.
(15例中13例. のこり2例が小脳+橋)