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2018年11月26日月曜日

高TG血症に対するイコサペント酸エチル

Cardiovascular Risk Reduction with Icosapent Ethyl for Hypertriglyceridemia. N Engl J Med
REDUCE-IT: 心血管疾患や糖尿病+心血管疾患リスク因子があり, 且つスタチンを使用し, LDL-C41-100mg/dLである患者で, さらにTG 135-499mg/dLを満たす群8179例を対象としたDB-RCT.
・患者は45歳以上で心血管疾患既往がある群
  50歳以上で糖尿病+1つ以上の心血管疾患リスクがある群 ,
  スタチンを使用しLDL-C 41-100mg/dL且つTG 135-499mg/dLを満たす
・重症心不全, 重症肝疾患, HbA1c >10.0%, 冠動脈カテーテルや手術を予定している患者, 膵炎の既往(急性・慢性), 魚介類へのアレルギー歴がある患者は除外.

上記患者群を
Icosapent ethyl 2g bid vs Placeboに割り付け, 心血管イベントリスクと比較.
・70.7%が二次予防としての投与群.
フォロー期間は4.9

母集団

アウトカム:

A: 心血管死亡, MI, Stroke, 冠動脈再灌流療法, UAPのリスクは有意に介入群で低下する
 4.9年のフォローにおいてARD 4.8%[3.1-6.5], NNT 21[15-33]

アウトカム別の評価でも, ほぼ全ての項目で有意差を認める.

サブ解析
・特に二次予防において有用と言える

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心血管疾患既往があり, さらにスタチン投与下でもTGが高値の場合はイコサペント酸エチルを考慮する.
もしくはリスクが高い患者では一次予防も考慮するか.

2018年11月22日木曜日

症例: 70歳台男性, 難治性肺炎, CO2貯留

病院受診歴なし, 喫煙は20-30 pack-yの70歳台男性.

3週間前より咳嗽を自覚. 持続するために近医受診し, XPで肺浸潤影を指摘.
内服抗菌薬を開始. その後も改善乏しく, 1週間前より入院加療となりABPC/SBTが開始された.

その後も肺炎の改善が得られず, 意識障害が進行. PaCO2 110mmHgと高値であり, 転院となった.

来院時GCS E1V1M4, RR 26, SpO2 79%(8L), BP 120/50, HR 128bpm
呼吸は浅く, 両側のAir入りは不良. Wheeze聴取せず両肺で湿性ラ音を聴取.
胸部XPでは両側びまん性の斑状影+

胸部CTでは以下のような所見:

やたら気管支壁の肥厚と小葉中心性陰影が目立つ印象.
また中枢気管にも違和感を感じ, 縦隔条件でじっくり見直すと,

中枢気管の全周性の壁肥厚が顕著.

抗菌薬に反応しない増悪する病態.
全周性の中枢気管〜末梢気管まで壁肥厚が強い, 気管気管支炎

さてこの病態は?























この時点である疾患を疑い, 気管内吸引を行いグラム染色へ.
すると以下のような所見を認めた.













診断
 アルペルギルス性気管気管支炎
 (おそらく)偽膜性アルペルギルス性気管気管支炎(Pseudomembranous Aspergillus tracheobronchitis)


アルペルギルスによる気管気管支炎
(The Scientific World JOURNAL (2011) 11, 2310– 2329)


侵襲性肺アスペルギルス症の一部に侵襲性気管気管支炎が含まれ, この中には潰瘍形成や偽膜形成のパターンがある.

アスペルギルス気管支炎 148+8例のLiterature review
(Medicine 2012;91: 261-273)
・背景疾患は悪性腫瘍, 血液腫瘍幹細胞移植, 臓器移植, 自己免疫性疾患COPD, 慢性肺疾患など.
免疫抑制療法中の患者も多い.

臨床症候と画像所見
・症状は呼吸器症状, Wheeze, Stridor, 血痰など.
・画像では気管気管支壁肥厚や肺浸潤影が認められるが, 約半数が正常
([Am J Med Sci 2013;346(5):366–370.] )

気管支鏡所見
・偽膜形成や閉塞病変, 潰瘍性病変が認められる.
・原因菌はA fumigatusが多い.
([Am J Med Sci 2013;346(5):366–370.] )

(Clin Microbiol Infect 2010; 16: 689–695)の論文では, 気管支鏡所見から, 侵襲性アスペルギルス性気管気管支炎を4タイプに分類
・Type I: 粘膜の炎症, 粘膜発赤, 表在性の潰瘍があり, 偽膜を形成しているパターン
・Type II: 炎症や潰瘍が深部達し, 基質層や気管軟骨の障害, 気管構造の破壊を認める
・Type III: 著明な偽膜形成やポリープ, 壊死性物質により, 気管内腔の50%以上を閉塞している病態
・Type IV: 上記の混合型(2タイプ以上)


2018年11月16日金曜日

サルコイドーシスの診断スコア

サルコイドーシスは基本的に臨床所見, 組織診断, そして除外診断からなる.
国内では厚生労働省の診断基準があり, 難病指定などでも必要ではあるが, 海外では診断基準はない.

Cincinnati大学のSarcoidosis clinic, 7ヶ月間で組織診断で確定されたサルコイドーシス症例を前向きに評価.
(CHEST 2018; 154(5):1052-1060)
・同時期に同施設でサルコイドーシス以外の疾患を診断された患者群をControlとし, サルコイドーシスに関連する組織所見, 臨床症状・所見を評価.
スコアはWASOG organ involvement criteriaで各臓器所見*をbiopsy positive, Highly probable, at least probable, possibleで分類し評価.
さらに, Lofgren症候群, ALP上昇を加えた.
 Lofgren症候群(肺門部LN腫大, 結節性紅斑 or 関節周囲炎), 生検所見陽性と同等と評価
 ALP≥3ULNで他に原因がない場合は肝臓のat least positiveと同等と評価

Derivation cohortより, 点数計算は
・Biopsy陽性 5
Highly probable 3
at least probable 2
Possible 0点 としたときに最も診断能が良好

臨床スコア: 生検無しでの評価. 
生検スコア: 臨床スコア+生検所見

*WASOG Sarcoidosis Organ Assessment Instrument
(Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis 2014; 31: 19-27)




患者は980例を対象. このうち600(サルコイドーシス450)でスコアを作成し, 残りの380(サルコイドーシス103)Validation.
・アジア人はほぼ無し


疾患と診断スコアの分布

臨床スコア3点で感度89.8%, 特異度88.0%
生検スコア6点で感度99.3%, 特異度100% でサルコイドーシスを示唆

臨床スコアとサルコイドーシスのOR

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典型的な所見を1つでも認めれば可能性はかなり高いが, 確定診断には至らない.
複数部位で典型的な所見を認める, もしくは組織で非乾酪性肉芽腫が認められれば, ほぼ確定診断が可能という解釈となる.

他の疾患の除外も同様に重要なので, まあ実際いつもやっているのとあまり変わらないといえば変わらない.

2018年11月14日水曜日

幼若血小板

幼若血小板分画: IPF(immune platelet fraction)

幼若血小板は末梢血にRNAが残存している血小板で血小板減少の評価において, 骨髄不全か血小板の破壊亢進かの鑑別に有用な検査の1
・正常値は自動機械カウントで1.3-9%
 韓国人の評価では, 男性で0.5-3.2%, 女性で0.4-3.2%程度とばらつきが多い
 大体<10%程度と考えておく.
・DICTTP, ITPなど末梢血での血小板破壊が亢進している病態では, IPFは上昇する.
 血小板減少症例の評価ではITP群で16.3%, ITP7.6%
 小児例では>9.4%は感度88%, 特異度85.7%ITPを示唆する報告がある
(Front. Med. 4:146. doi: 10.3389/fmed.2017.00146 )

2ヶ月~21歳までのPLT<5万を満たす小児患者のReview.
(PediatrBloodCancer.2017;e26812. )
・ITP97, 骨髄不全が11, 悪性腫瘍が126, 他の血小板減少が38
IPF>5.2%ITPと骨髄不全を感度93%, 特異度91%で鑑別可能

また, IPFは重症出血リスクにも関わる.
重症出血リスク因子
PLT<1万はリスクだが
 さらにIPFが低い場合(IPF≤10%)は高リスクとなる

化学療法後のPLT減少56, 骨髄不全22, ITP105, 先天性巨大血小板症(HM)27例でIPFを評価した報告
(Sci Rep. 2017 Jun 13;7(1):3355.)
・各患者群の年齢, PLT, MPV

IPFの分布: ITPHMではIPFは高値となる.

・ITP患者群では12.3%[2.4-65.6]
 HM群では29.8%[4.6-65.9]
さらにIPF<17.4%は感度70%, 特異度90%ITPHMの鑑別に有用

骨髄不全(白血病, MDS, AA) 58, ITP 47, Control 97例において, IPFと網状PLT(rPT)を前向きに評価した報告
(Br J Haematol. 2017 May;177(4):612-619.)
・骨髄不全, ITP患者ではPLT<7万を満たす
IPF
Control群で2.6%[0.9-8.5]
ITP群で16.2%[2.6-45.9], 
骨髄不全群で9.9%[2.4-34.1]
・骨髄不全でも10%近くなることはある. 

血小板減少を呈した231(ITP 62例と非ITP症例169)IPFを評価した報告
(Pak J Med Sci. 2016;32(3):575-579.)
・各群におけるMPV, IPFの分布

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いつの間にか院内検査の血算機械が新しくなり, IPFも院内で評価可能になっていました.
いままでMPVで代用していましたが, 血小板数が少ない場合には評価困難なことも多かったです.
・IPFの正常値は大体<10%程度. 
 血小板減少で>10%となる場合は骨髄産生の亢進, 末梢血での消費・破壊を考慮 →大体ITPのことが多い.
 低値の場合は骨髄抑制, 骨髄不全を考慮する.
・若いPLTは止血機能も高いため, 血小板低下+IPF上昇よりも血小板低下+IPF低下が最も出血リスクが高いため注意が必要. あくまでも簡便な評価の1つですけども.