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2012年10月29日月曜日

2012年10月24日水曜日

Precordial Catch Syndrome

18歳男性、主訴胸痛
 特に既往のない男性. 16歳の頃からたまに左前胸部痛を自覚していた。
 疼痛は急速発症で、明らかなトリガーは無し。疼痛は30秒程度持続し改善してゆく経過。疼痛頻度は月1回未満。
 疼痛時は非常に痛みが強く、呼吸や体動ができなくなる。放散痛、動悸、冷汗は無し。

この症例は私自身ですが、最近の外来で良く同じ様な患者さんを診るのでこの際まとめてみます。

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Precordial Catch Syndrome (Southern Medical Journal 2003;96:38-41)

小児や若年に多い良性の胸痛
 左前胸部に多く, 限局性の鋭い疼痛. 呼吸にて増悪する.
 疼痛は数秒〜数十秒で消失する.
 肋間筋由来の疼痛と言われている.
 1955年にMillerとTexidorにより10例の報告が出され, Miller自身もPrecordial Catch Syndromeを認めていた.

小児の胸痛で心臓内科紹介された380名中, 15%がPrecordial Catch syndromeであった.
 その内心臓由来の胸痛は1%程度であり, 小児期の胸痛が重大な疾患である可能性は非常に低い (Cardiol Young 2012;Jul 5:1-7)

Precordial Catch Syndromeの特徴


突如発症
胸痛は30秒~3分で治まる. >30minは非常に稀
安静時の発症が多いが, 睡眠時には無い
突如発症で, 完全に治まる
限局性
他に随伴症状が無い
鋭い, 刺される様な疼痛
他に身体所見で異常がない
深呼吸で増悪する



 どの年代でも出現して良いが, 6-12歳が最も多い. また性差は無し

予後は良好で, 治療の必要なく自然に消失する.
(Southern Medical Journal 2003;96:38-41)

2012年10月23日火曜日

再発性のTIAはStrokeリスクにはならない. Capsular warning syndromeが重要


Neurology® 2012;79:1356–1362


1000例のTIA患者のCohort study.
その内170例が7日以内にTIAの再発を認めた.

両群における7日以内のStroke発症率を評価すると,

 全体的なStroke発症率は孤発性TIA群で9.2%, 再発性TIA群では10.6%と同等.
 TIAのタイプ(Cardiac emboli, Large artery arteriosclerosis, Small-vessel disease)では, Small vessel diseaseによるTIAはStroke発症率が高くなる. またABCD2 scoreでも発症リスクを評価することは可能だが, 孤発性か再発性かでリスクを評価することは困難.

 Capsular warning syndromeを認めるTIAは他のTIAと比較してStroke発症リスクが非常に高い.
 Capsular warning syndromeは内包の症状 = 片麻痺を認めるTIAのこと.

 TIA後30日以内のStroke発症率;
Afや50%以上の頸動脈狭窄は特にStrokeリスク因子にはならないか、なったとしても極僅かのみ. それよりもCapsular warning syndromeの方がよっぽどリスクになっている.

 片麻痺を認めるTIAは高頻度で脳梗塞へ移行するため、要注意ということは覚えておきましょう. 

2012年10月19日金曜日

高山病の予防目的のアセタゾラミド

高山病; Acute mountain sickness, high altitude headache
高所にて生じる肺水腫や脳浮腫で, しばしば致命的となる.
多い症状としては頭痛, 悪心, 嘔吐, めまい, 倦怠感, 不眠症状が主で, 3000mに満たない高所でも生じる.
予防としてはゆっくりと登山することが推奨されているが, 3000mを超える登山の場合は薬剤的予防が勧められる.

高山病の薬物予防; Acetazolamide (BMJ 2012;345:e6779)
3000m以上の登山を行う群をAcetazolamide vs Placeboに割り付け, 高山病の頻度を比較した11 RCTsのMeta-analysis.
(Acetazolamide 250mg, 500mg, 750mg/d)
Outcome;
Acetazolamideは有意に高山病のリスクを低下させる. また, Doseは250mgで十分.


Dose
Control
Acetazolamide
RR
NNT
250mg
35%
19%
0.54[0.39-0.74]
6[5-11]
500mg
30%
14%
0.47[0.36-0.62]
7[6-9]
750mg
56%
20%
0.35[0.21-0.57]
3[3-5]
Total
33%
16%
0.47[0.39-0.57]


この情報ニーズあるのかな?

2012年10月17日水曜日

Yellow nail; 黄色爪


1週間の咳嗽を主訴に来院した80台男性.
COPDの既往あるのみ. 身体所見もShort trachea, 樽状胸, 全肺野で呼吸音の減弱あり, COPDに矛盾しない.

手を診ると, 左手のみ爪に異常あり, 右は正常.
左手の爪は肥厚しており, 粗造. 肥厚部位が黄色に見える. さてこの所見は?

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Yellow nail;
 爪の増生が緩徐となり, 積み重なったような肥厚を示し, 黄色に見える所見.
 リンパ流のドレナージ障害が主な原因となる.

 このYellow nailとリンパ浮腫もしくは慢性呼吸障害を合併した例をYellow nail syndromeと呼ぶ.

Yellow nail syndrome 41名の解析では,
 発症年齢は61歳[18-82], 男女比は同等.
 合併所見としては, リンパ浮腫, 慢性咳嗽, 胸水貯留, 気管拡張, 慢性副鼻腔炎, 再発性肺炎.

 また別の報告では, Yellow nail syndromeに付随する疾患, 所見は, 以下のものが挙げられる.

(Am J Med 2009;122:1085-7)
Major; yellow nail, lymphedema, pleural effusions
他の肺病変
 気管支拡張症, 再発性肺炎,乳糜胸
 Chyloptysis, 睡眠時無呼吸,
 Pulmonary lymphoma
 好酸球性気管支炎, 嚢胞性肺疾患,
腎臓
 ネフローゼ症候群(minimal change)
 黄色肉芽腫性腎盂腎炎, 乳び尿,
上気道病変
 鼻炎, 副鼻腔炎, 喉頭浮腫
心臓
 心嚢液貯留
眼病変
 結膜炎, 胸膜炎
CNS
 意識障害
耳病変
 閉塞性角化症
その他
 非免疫性胎児水種
消化管病変
 腸リンパ管拡張症, 蛋白漏出性胃腸症
 乳び性腹水

悪性腫瘍
 胆管癌, 乳癌, 喉頭癌, NHL, 子宮癌
 胆嚢癌, 転移性肉腫, メラノーマ
 Mycosis fungoides

免疫系
 Selective antibody deficiency
 Macroglobulinemia, Raynaud現象
 甲状腺炎, SLE, RA


Yellow nailの原因疾患(Am J Med 2009;122:1085-7)
Yellow Nail Syndrome
DM, MI, CRF
関節リウマチ(金製剤, ペニシラミン剤)
Brown snake bite
悪性腫瘍 (乳癌, 喉頭癌, non-Hodgkin’s,
 子宮癌, 胆嚢癌, 転移性肉腫, メラノーマ,
 Mycosis fungoides)
薬剤(4,4’ methlenediamine,
 Phenazopyridine,
 divalproex, griseofulvin)
感染症; TB, HIV


今回, COPD + 片側のYellow nail 
 >> 片側のリンパ流の障害を疑わせる病態でCOPDと関連があり, 咳嗽を来す疾患.
   言わずもがなですね。

爪は胸部XPほどにものを言う.