この論文は総合診療にかかわらず, 非常に重要なものと思います.
(JAMA Intern Med. 2019;179(1):28-36. )
スペインにおける単一施設RCT.
急性期病棟に入院となった超高齢者 370例を対象とし, 通常の管理群(必要に応じたリハビリ)と運動療法群(1日2回の中等度の負荷運動, バランス, 歩行訓練)に割り付け.
・Baselineと退院時のFunctional capacityを評価
(自立のBarthel Index, Short Physical Performance Battery:SPPBを評価)
・患者は75歳以上でBarthel Index ≥60(0-100で評価. 多いほど自立), 介助の有無は問わず歩き回れる患者, コミュニケーション可能な患者
・除外項目: 6日未満で退院すると予測される患者, 重度の認知障害(Global Deterioration Scale score 7など), ターミナル, コントロール不良の不整脈, 急性肺血栓塞栓症, 最近の心筋梗塞, 最近のMajor surgery, 3ヶ月以内の四肢骨折既往
運動療法群では, 1日に2回, 1回20分程度の運動を5-7日間連日行う(土日祝日関係なし).
・運動は負荷運動, バランス運動, 歩行が含まれる.
アウトカムは
介入前と退院時のSPPB(バランス, 歩行速度, 下肢筋力を0-12で評価: 多いほど良好)
入院2wk前と退院時のBIを評価
意義のある変化はSPPBで1点, BIで5点以上の変化で定義.
二次アウトカムはMMSE, 気分障害を比較
母集団
アウトカム:
・通常の管理群はSPPBは不変, BIは低下.
運動療法群では双方とも改善を認める.
・MMSEや抑うつ症状も改善する
合併症
・入院期間は有意差なし
・転倒は運動療法群で認めるものの, 有意差はない
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高齢者の急性疾患入院における積極的な運動療法の意義を評価した重要なRCT
また通常の管理で1-2週間の入院でどの程度ADLが低下してしまうかを評価した論文でもある.
運動療法はADL以外にもMMSEや感情障害の改善効果も見込める.
導入には病院自体, 看護師, リハなど様々な部署への働きかけが必要なところではあり, なかなか難しいかもしれません.
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2019年1月11日金曜日
2019年1月10日木曜日
急性疾患入院患者における院内DVTの頻度
ICU管理ではDVT予防は一般的なマネジメントであるが、
非ICUにおける急性疾患入院患者での予防については明確な推奨はない。
そもそもそのような患者群ではDVTリスクも低いと考えられている
実際の感覚としてもあまり多くないように思う
AURELIO: 急性疾患にて5日以上入院した患者において, 入院時・退院時に圧迫下肢静脈エコーを施行した報告
(Mayo Clin Proc. 2019;94(1):37-43 )
・イタリアからの報告
・内科病棟に急性疾患で入院した患者を対象.
抗凝固療法中の患者, 入院4wk前, 入院2wk以内に外科手術を施行した患者, ICUから内科病棟に移動した患者, 入院時に症候性のDVT, PEを認める患者は除外
母集団
・入院時にエコーを行い, DVT(+)例は除外
>> 除外されたのは1.9%[1.3-2.8]
・残りの1170例において, 退院時にも下肢静脈圧迫エコーを行い, 入院中のDVT発症率を評価した.
アウトカム:
・1170例中、250例(21%)で非経口の抗凝固療法にて予防を行なっていた
予防群と非予防群の比較
・入院期間は13±8日間
退院時のエコーにて近位部DVTを認めたのは3例(0.025%)
・頻度にして1/5017患者・日
・3例中、2例が予防を行なった患者群で発症
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内科の急性疾患入院患者における, 入院中のDVT発症率は0.025%と非常に低い
入院時のDVT発見率の方が高いくらい(1.9%)
非ICUにおける急性疾患入院患者での予防については明確な推奨はない。
そもそもそのような患者群ではDVTリスクも低いと考えられている
実際の感覚としてもあまり多くないように思う
AURELIO: 急性疾患にて5日以上入院した患者において, 入院時・退院時に圧迫下肢静脈エコーを施行した報告
(Mayo Clin Proc. 2019;94(1):37-43 )
・イタリアからの報告
・内科病棟に急性疾患で入院した患者を対象.
抗凝固療法中の患者, 入院4wk前, 入院2wk以内に外科手術を施行した患者, ICUから内科病棟に移動した患者, 入院時に症候性のDVT, PEを認める患者は除外
母集団
・入院時にエコーを行い, DVT(+)例は除外
>> 除外されたのは1.9%[1.3-2.8]
・残りの1170例において, 退院時にも下肢静脈圧迫エコーを行い, 入院中のDVT発症率を評価した.
アウトカム:
・1170例中、250例(21%)で非経口の抗凝固療法にて予防を行なっていた
予防群と非予防群の比較
・入院期間は13±8日間
退院時のエコーにて近位部DVTを認めたのは3例(0.025%)
・頻度にして1/5017患者・日
・3例中、2例が予防を行なった患者群で発症
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内科の急性疾患入院患者における, 入院中のDVT発症率は0.025%と非常に低い
入院時のDVT発見率の方が高いくらい(1.9%)
2019年1月8日火曜日
VTE治療ではApixabanの方がRivaroxabanよりも好ましいかも
静脈血栓症の治療ではワーファリン, DOACなど様々ある
治療レジメ間を比較したMetaは多数あり,
(JAMA. 2014;312(11):1122-1135.)
(Thrombosis Research 133 (2014) 1145–1151)
治療レジメ間を比較したMetaは多数あり,
(JAMA. 2014;312(11):1122-1135.)
(Thrombosis Research 133 (2014) 1145–1151)
| プラザキサ | イグザレルト | エリキュース | リクシアナ | クレキサン+ワルファリン | |
| Dabigatran 150mg BID | Rivaroxaban 15mg BID 3W→ 20mg/d | Apixaban 10mg BID 7d→5mg BID | Edoxaban 30-60mg/d | Enoxaparin 1mg/kg BID 5日間+ワーファリン | |
| 死亡リスク | 1.00(0.67-1.50) | 0.97(0.73-1.27) | 0.79(0.53-1.19) | 1.05(0.83-1.33) | 1 |
| 再発性静脈血栓塞栓症 | 1.12(0.79-1.60) | 0.90(0.68-1.20) | 0.84(0.60-1.18) | 0.89(0.71-1.12) | 1 |
| 再発性肺塞栓 | 1.04(0.59-1.85) | 1.08(0.74-1.57) | 1.06(0.69-1.65) | 0.88(0.65-1.20) | 1 |
| 再発性深部静脈血栓症 | 1.17(0.70-1.93) | 0.70(0.45-1.09) | 0.61(0.36-1.06) | 0.91(0.64-1.29) | 1 |
| 重大な出血 | 0.76(0.49-1.18) | 0.55(0.38-0.81) | 0.31(0.17-0.54) | 0.85(0.60-1.21) | 1 |
VTE治療効果や再発予防効果はどれも変わりはないが,
出血リスクがDOACで低い報告が多い.
Net-work Meta-analysisではRivaroxabanでは出血リスクが高い報告もある
(BMJ 2013;347:f5133)
米国におけるTruven Health Market Scan commercial, Medicare Supplement claims databaseを用いた後ろ向き解析.
(Lancet Haematol 2019; 6: e20–28 )
・2014-2016年に新規に診断されたVTE症例で, Apixaban, Rivaroxabanにて治療を開始された患者群 15254例を解析.
・初期に他の抗凝固薬を使用していた患者は除外.
15254例中, 3091例でApixabanを, 12163例でRivaroxabanを使用.
Propensity score-matched analysisにおいて, 両群のVTE再発リスク, 出血リスクを比較
アウトカム
・ApixabanはRivaroxabanと比較してVTE再発リスクや出血リスクが有意に低い.
・サブ解析では, 高齢者でApixaban投与により, よりVTE再発リスクが低下する.
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直接比較した報告はなく, Net-work Metaや後ろ向きStudyの解析の結果なのであくまでの可能性, ということになりそうですが, Apixabanの方が出血リスクは低いのかもしれません, という話
2019年1月4日金曜日
SGLT-2阻害薬は第二選択にせねばならないのか?
抄読会にて, あたらしい2018年のADA, EASD 2型糖尿病ガイドラインのあらましを勉強しました.
(Diabetes Care. 2018 Dec;41(12):2669-2701. doi: 10.2337/dci18-0033.)
Management of Hyperglycemia in Type 2 Diabetes, 2018. A Consensus Report by the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD).
(Diabetes Care. 2018 Dec;41(12):2669-2701. doi: 10.2337/dci18-0033.)
Management of Hyperglycemia in Type 2 Diabetes, 2018. A Consensus Report by the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD).
メトフォルミンが第一選択なのは以前と変わらず.
新しく, SGLT-2阻害薬やGLP-1作動薬の優先順位があがり, 心血管イベントリスクが高い患者では第二選択に推奨されています.
個人的には, メトフォルミンは第一選択で使用していますが, 第二選択でSGLT-2阻害薬やGLP-1作動薬は使用していません.
後者は良い薬剤と思いますが, 現時点では注射薬しかありません.
前者は診療する患者群が高齢者で, 高度肥満患者が少ないため, そもそも選択肢に挙がりませんでした. 比較的若い, 肥満を伴うDM患者では使用しています.
前者は診療する患者群が高齢者で, 高度肥満患者が少ないため, そもそも選択肢に挙がりませんでした. 比較的若い, 肥満を伴うDM患者では使用しています.
この個人的なマネージメントは修正する必要があるのか?
そこでSGLT-2阻害薬と心血管イベントアウトカムについて評価した主要なStudyを復習してみました.
EMPA-REG: Empagliflozin(ジャディアンス®)のRCT
(N Engl J Med. 2015 Nov 26;373(22):2117-28.)
2型DM患者 7020例を対象としたDB−RCT.
通常の治療 vs Empagliflozin 10mg, 25mg/dを使用した群に割つけ心血管イベントリスクを比較.
・患者は2型DMで, BMI≤45, eGFR≥30ml/min, 心血管疾患既往があり,
過去12wkに血糖降下薬の使用歴がなく, HbA1c 7.0−9.0%
または血糖降下薬使用歴があり, HbA1c 7.0−10.0%を満たす患者群
母集団
・アジア人は20%強含まれている
・母集団のBMIは30.7±5.2, 30.6±5.3
アウトカム
・Empagliflozin使用群では有意に死亡リスク, 心血管イベントリスクが低下.
心血管由来の死亡リスクは HR 0.62[0.49−0.77], NNT 45.5
・具体的な項目では, 心不全入院リスクが有意に低下を認める.
また心血管死亡リスクの低下も認められる.
サブ解析:
・HbA1c <8.5%, BMI<30で特に有意差あり
CANVAS, CANVAS-R trial: Canagliflozin(カナグル®)のRCT
(N Engl J Med 2017;377:644-57.)
2型DM患者を対象とし, canagliflozin vs Placeboに割付け, 心血管系イベント, 死亡例リスクを比較したDB-RCT
2型DM患者を対象とし, canagliflozin vs Placeboに割付け, 心血管系イベント, 死亡例リスクを比較したDB-RCT
・患者は2型DM(HbA1c ≥7.0%, ≤10.5%)で
30歳以上 且つ 症候性の動脈硬化性疾患の既往がある患者
50歳以上 で以下の2つ以上のリスク因子を有する患者(DM既往が10年以上ある, 降圧薬使用下でsBP>140mmHg, 喫煙, アルブミン尿あり, HDL<38.7mg/dL)
さらに上記に加えてeGFR ≥30mL/min/1.73m2を満たす患者を対象
・上記患者群を
CANVAS trialでは, canagliflozin 300mg, 100mg, placeboの3郡に割付け,
CANVAS-Rではcanagliflozin 100mg(wk13より300mgに増量可) vs Placeboに割付け, 心血管イベント, 腎機能を評価
母集団
・アジア人は12-13%程度含まれる. 母集団のBMIは32.0±5.9
アウトカム
・心血管死亡, 心血管イベントは有意に低下するが, 細かく見ると有意差があるのは心不全入院のみ.
・アルブミン尿や腎機能低下リスクは有意に低下する
サブ解析
・有意差はないものの,
BMI<30, HbA1c ≥8%, アジア人, 心血管疾患の既往(-)では心血管イベント抑制効果は認めない
・β阻害薬や利尿薬使用患者でよりアウトカム改善効果が期待できる
DECLARE-TIMI58: Dapagliflozin(フォシーガ®)のRCT
(Dapagliflozin and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes. DOI: 10.1056/NEJMoa1812389)
2型DMで動脈硬化性疾患リスク, 罹患がある患者を対象とし, DapagliflozinとPlaceboに割り付け, 心血管イベントリスクを比較したDB-RCT.
・患者は40歳以上の2型DMで, HbA1c 6.5-12%, CCr ≥60mL/min, 動脈硬化性心血管疾患や, そのリスク因子を有する患者*
*男性55歳以上, 女性60歳以上で, 高血圧, 高脂血症, 喫煙者の1つ以上を満たす患者で定義.
・上記患者をDapagliflozin 10mg vs Placeboに割り付け比較
SGLT-2阻害薬以外の血糖降下薬は使用可.
母集団
・アジア人は12.7%, 母集団のBMIは32.1±6.0, 32.0±6.1
アウトカム
・心不全入院は有意に低下する
腎機能増悪リスクも有意に低下.
サブ解析ではBMI別に評価したものはない
----------------------------------
これらの報告から得る印象ですが,
・SGLT-2阻害薬は心不全リスクを有意に低下させるのは明らかであること,
・虚血性心疾患リスクについては本当にリスクを低下させるのかはよくわからない.
・Studyのほぼ全てがBMI30前後の肥満〜高度肥満患者群を対象としているため,
高齢者で, そこまで肥満が強くない, むしろ痩せ気味なDM患者に対して優先順位を上げて使用せねばならないかというと, それは違う.
ということで, 今のマネジメントを変える必要は乏しいと思いました.
比較的若く, 肥満患者では良い薬とは以前から思っています.
アウトカム
・心血管死亡, 心血管イベントは有意に低下するが, 細かく見ると有意差があるのは心不全入院のみ.
・アルブミン尿や腎機能低下リスクは有意に低下する
サブ解析
・有意差はないものの,
BMI<30, HbA1c ≥8%, アジア人, 心血管疾患の既往(-)では心血管イベント抑制効果は認めない
・β阻害薬や利尿薬使用患者でよりアウトカム改善効果が期待できる
DECLARE-TIMI58: Dapagliflozin(フォシーガ®)のRCT
(Dapagliflozin and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes. DOI: 10.1056/NEJMoa1812389)
2型DMで動脈硬化性疾患リスク, 罹患がある患者を対象とし, DapagliflozinとPlaceboに割り付け, 心血管イベントリスクを比較したDB-RCT.
・患者は40歳以上の2型DMで, HbA1c 6.5-12%, CCr ≥60mL/min, 動脈硬化性心血管疾患や, そのリスク因子を有する患者*
*男性55歳以上, 女性60歳以上で, 高血圧, 高脂血症, 喫煙者の1つ以上を満たす患者で定義.
・上記患者をDapagliflozin 10mg vs Placeboに割り付け比較
SGLT-2阻害薬以外の血糖降下薬は使用可.
母集団
・アジア人は12.7%, 母集団のBMIは32.1±6.0, 32.0±6.1
アウトカム
・心不全入院は有意に低下する
腎機能増悪リスクも有意に低下.
サブ解析ではBMI別に評価したものはない
----------------------------------
これらの報告から得る印象ですが,
・SGLT-2阻害薬は心不全リスクを有意に低下させるのは明らかであること,
・虚血性心疾患リスクについては本当にリスクを低下させるのかはよくわからない.
・Studyのほぼ全てがBMI30前後の肥満〜高度肥満患者群を対象としているため,
高齢者で, そこまで肥満が強くない, むしろ痩せ気味なDM患者に対して優先順位を上げて使用せねばならないかというと, それは違う.
ということで, 今のマネジメントを変える必要は乏しいと思いました.
比較的若く, 肥満患者では良い薬とは以前から思っています.
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